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ノーテーションソフトに関して [雑感]

ノーテーションソフトと言えば,一時期はFinaleとSibeliusでした。
最初に出たのがFinaleです。
当方は2007から使い始めました。

当初印刷原稿の入稿はすべてこれのデータだったらしく業界標準の様に使われていました。この手のソフトの元祖なので,当初はこれを使うしかなかったのです。

その為か,すごい殿様商売で,ソフトに明らかな不都合があっても,それを治そうともせず,ユーザーがそれを回避する裏技の様なものでなんとかするといった状態が続いていました。毎年の様にバージョンアップされ,その度にその料金を取るのですが,肝心のバグは治らず,見た目が少し変わったり音源再生などが少し変わったりするだけで,本来の機能の使い勝手はまるで改善されないと,殆どぼったくりソフト化していました。問い合わせても「あ,その機能は使えないですね。」とかまるでバグがあるのは当たり前の様な雰囲気でした。

当方は2007にフル版を購入して使いましたが,バージョンアップする気は起きず,しばらく使った後,もう少し使い勝手の良いものがあるのならと,Sibeliusに乗り換えました。Sibelius7は,Finale2007と比べれば長足の使いやすさでした。細部は比較しませんが,感覚的には楽譜入力のスピードは2・3倍アップしたという体感でした。普通のパソコン操作でできるカットアンドペーストやアンドゥーが普通にできるようになったからです。

当初Finaleで始めたギターの楽譜作成は私にとっては大変な労力でした。ギター譜は一段ですが,音が3つも4つも重なり,最高6個の和音を書かないといけません。1ページ作るのに2・3時間掛かるのはザラ。当然手書きの何倍もの時間が掛かりました。FinaleよりもSibeliusは数段使いやすいという情報を得て,Sibelius7に乗り換えました。業者サンもわきまえていて,Finaleを持っているユーザーにクロスグレード版とか称して安価にフルバージョンのSibeliusを販売してくれました。

長足の使いやすさでした。これで良いかな?と思っていたころ,当ブログを始めて,ブログ上に楽譜が載せれれば良いなと思ってサービスを探したところ,MusicXMLなる記述を使えば,web上に楽譜を表示できるのですが,ソネブロ上ではうまく貼りついてくれませんでした。そこでたまたまネット上で見つけたウェブアプリのNoteflightでした。楽譜の画像のみならず,楽譜データを貼り付けた上に,記事上でそれの演奏もできるのですから画期的です*。しかし(少なくとも日本では)あまり普及していないのか,殆ど見かけません。

むろん日本で普及していなくても困ることはないのですが,これの問題点は,無料で使えるのは25曲までなことで,メールアカウントで幾つでもできるにしても面倒です。もう一つの無料版での問題は,通常のアプリではワン・スタッフで4声まで扱えるのが,2声までに制限されるということです(有料ソフトの無料版のイヤらしいところですがビジネスなら仕方ありません)。大概の楽譜は2声でいけるのですが,やはりギター譜では4声使えないと書ききれない楽譜はあります(2段譜にすれば解決しますが,そのためにと言うのも本末転倒な話です)。むろん有料版にすれば曲数も声部の制約もなくなるのですが,少額と言え毎月のことですしムダな出費はしたくありません。

Musescore.png
MuseScore最新版(クリックでダウンロードページに飛びます)
そこへ行くと,無料のソフトMuseScoreは良さそうです。
このソフトは以前から知ってはいましたが,使ってみるとFinaleなみの使いにくさでした。仮にFinaleと同程度の使いにくさであっても,無料だから良しとしないといけないのですが,何分,時間の方が大事だと思っていました。最新版のMuseScore3を使ってみましたが,使い勝手の上ではFinaleレベルの操作しにくさはなく,コピペやアンドゥが普通に利いてSibelius並みになっています。これを使わない手はないかなと思っています。これから始める人は,これで十分かなと思います。

Danza.PNG
MuseScore3の入力画面。ほぼ思った通り譜面が完成します。


無料版では安心できない?という方には,FinaleもSibeliusもまだ現役でがんばっていますので購入は可能です。Finaleの使い勝手の改善はあまり期待できないと思いますが,現在でも最新バージョンをリリースしているようです。89年の発売以来26番目のバージョンだそうですが(当方が使った2007は15回目という事になります),最初から常に最新バージョンを購入して使い続けた人は,一体どれだけの出費をされたのでしょう?一方Sibeliusは98年の発売以来,9番目のバージョンだそうです。


*NoteFlightの楽譜演奏機能は,以下に示した当ブログ初期の記事[1]-[10]などで結構使いましたが,曲が無料範囲で満タンになってからは余り使っていません。

[1]「ブルグミュラーとドビュッシーのアラベスク
[2]「音楽の学校・Jazz第1回
[3]「フレージングについて
[4]「装飾音の弾き方
[5]「教会旋法を鳴らしてみる
[6]「カッコーの音程
[7]「セミのスケッチ
[8]「ソルのメヌエットと亀田のあられ
[9]「楽譜の電子化について~iPadなどで表示する際の実際面や注意点~
[10]「記譜ソフトについて
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コメント 6

Cecilia

まるで私のために書いていただいたような記事です。
MuseScore、是非試してみたいです。ただ、今楽器練習に割く時間とそれ以外の時間で忙しく、ゆっくりになると思いますが、またやってみて疑問点が出たらお聞きすることもあると思います。
この前久しぶりにFineleお試し版とIMSLPを利用しようと思ったらWinZipとかいうソフトをダウンロードする羽目になり、それが信頼できるのかどうかわからずそのままになっています。(たしかIMSLPを利用しようとしたらこれをダウンロードするようにと出てきました。)

by Cecilia (2021-01-27 06:42) 

Enrique

Ceciliaさん,
私にとって一番使い良いのはNoteflightなのですが,無料版は記事のとおりの制約がありますね。FinaleとSibelius以外にも最近はもっと良さそうなものが出てきていますので,チェックして見たいと思います。
ブログもそうですがパソコン関係をいじるのと,楽器の練習とはあまり両立しないので,時間と必要性がポイントですね。
私も時間がない時は紙の切り貼りでやったりします。

WinZipというのは,Windows用の圧縮・解凍ソフトですね。
FinaleやIMSLPに限らず,ファイルのダウンロードで使う汎用のものですので(変なサイトからやらないかぎり)それ自体は大丈夫です。
by Enrique (2021-01-27 08:07) 

たこやきおやじ

Enriqueさん

私もMuseScoreをダウンロードしてみました。サダノフスキー版のバッハのチェロ組曲第三番のプレリュードの18小節分を書いてみました。テキトーにいじり回しながらですが、2時間くらいで描けました。音符を書くだけなら大変簡単にできますね。まだスラーやタイ、テキストの入れ方等が分かっていませんが。(^^;

by たこやきおやじ (2021-01-28 13:14) 

REIKO

私はブログで楽譜が必要な時は、こちらで教えていただいたNoteflightで、モニタに表示された楽譜を画像キャプチャし、後は画像編集ソフトで必要な処理をして記事に利用しています。
簡単アレンジしたピアノ譜をNoteflightで浄書し、PDFで保存してコンビニのマルチコピー機で印刷したこともありますが、とても綺麗に出力されて便利だなと思いました。
いずれの場合も「用済み」のものは消してしまいますから、今のところ無料版でもOKですね。

ツイッターの知人ではDoricoってのを使っている人がいます。
以前Sibeliusを開発していた人が手掛けているそうで、特に文句言ってるのを聞いたこともないし、気に入っているのだろうと思います。

あとはオープンソースのLilyPondですね。
これはテキストファイルで記述するもので、ちょっと試したことあるのですが、HTMLやCSSをエディタで手打ちしてWebサイトを作るのと似ています。
文法を学ぶ必要があるため少々とっつきにくいですが、慣れると非常に使いやすく自由度が高いそうです。
派生音に色を付けたカラー版ピアノ譜をLilyPondで作り、ネットで販売している人がそう言っていました。
「タダ」なのも有り難いですし。
by REIKO (2021-01-28 20:40) 

Enrique

たこやきおやじさん,
確かに音符だけならスムーズだと思います,コピペをうまく使えば早いですね。音符入力モードのショートカットのNとescキーを適宜使えば早いと思います。

音符入力などよく使うものは上のメニュー,その他の細かいものは左側のメニューに殆ど入っています。
アーティキュレーションは左側のその項目があります。
スラーとタイは場所が違います。スラーは左側のメニューの「線」の中に,タイはよく使うからか上の真ん中辺に見えますね。
テキストも左側のメニューです。
よく使うものは限られますから,慣れると速くなりますね。

当方がギター独奏曲に使うのは,版が気に入らず一から書き直して自家版にしたい場合にやります。良い譜面があれば手間をかける必要はありませんね。
by Enrique (2021-01-28 21:54) 

Enrique

REIKOさん,
かつてはFinaleかSibeliusでしたが,今はいろいろ出てきて,後発のものほど優れているようですね。使いにくさでFinaleは横綱ですね。
やはりNoteflightは最も簡単ですね。
LilyPondはMusicTeXの様なものですね。ちょうどTeXで数式を書く様なもので,慣れている人は,マウス操作をこねこねやるよりもキー操作ですから速いかもしれませんね。私はあまり得意でないので使わないのですが,現在無料の良いものがありますね。
by Enrique (2021-01-28 21:55) 

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