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太陽光発電生活に慣れる [日常]

今期,昨年まで非常用レベルだった太陽光発電を実用レベルに増強しました。
パネルと蓄電池の追加,ハイブリッド・インバーターの導入です。特に後者の導入により,いちいち手動で切り替えなくて便利な反面,今までの様にちょこまかセコい使い方はできないのは玉に瑕です。

自前で徐々に出力を増やしてきた感覚としては,普通に市電*を使う日常生活と同様な何不自由ない電気消費生活を送ろうとすると,かなり余裕を持った装置仕様としないとダメそうだというのが分かります。

逆に言えば,小さな安いシステムでも,生活の方を工夫すれば何とかなるとも言えます。


当方の最初の目的は,非常用電源とか,山中などの商用電源が使えない場所での電源確保を試す事でしたが,システムの容量を増加させてきますと,十分電気代の節約にも使えそうです。

節電の2方法は,ピークカットとピークシフトです。
家庭用の電気料金の決まり方は,基本料金+使用量ですから,一般家庭でのピークカットとピークシフトはブレーカーが落ちないようにという事です(大規模施設などの契約ですと前年のピーク電力で次年度の契約が決まります)が,太陽光発電の場合は,ピークシフトが有効です。

余った電気は蓄電池にためるわけですが,そちらがフル充電になっていると,捨てざるを得ません。
ちょうど,HVやEVの車載電池が満杯だと下り坂やブレーキングで発生する回生電力を回収できないのと同様です。したがって車載バッテリーのSOCは決して満杯にせず,20%から80%あたりでマネジメントするのが普通です。


太陽光発電の場合,天候が晴れの場合,朝のうちに蓄電池を殆ど使い切って日中もなるべく使いつつも蓄電池を満充電し,日の入りと共に電気使用を控えるというのがうまい使い方です。

当家の場合,電気を食うのは,電子レンジ,電気炊飯器,掃除機,ヘアドライヤー,屋外のガーデン・シュレッダーやヘッジトリマー,電気カンナ・丸鋸などの電気工具類です。

コンセントを分けておくというのも,原始的ながら有効です。
市電のブレーカーを落として,夜間は完全に蓄電池生活というのも,究極の選択にはなります。むろん基本料金がありますので,市電使用をゼロにしても料金はゼロになるわけではありませんが,契約を続けるならば,市電のほうをイザという時の非常用電源にしておくというのも良さそうです。


当方のはパネル1枚からスタートして,徐々に容量アップを図っていますので,どのくらいの仕様がムダの無い最適なものか?をドキドキしながら探っている事になります。

売電ができた時代なら(現在も出来ますが値は安い),昼間に余った分はすべて売電して夜間は市電を使うという手が使えました。発電電力をムダなく活用できたわけです。

反面,災害時など,インバータなどを含み買電売電の潮流をコントロールするパワーコンディショナー(略称:パワコン)の電源に市電を使っているので,自家発電をしながら停電したら使えないという,何やら倒錯したシステムでした。憎まれ口を叩けば,私費を投じて電力会社の下請け仕事をしている様なものです。

大量にパネルを張った新しいお宅を見かけますが,うまく使い切っているのかしら?と余計な心配をしてしまいます。日中大量に発電しても,売電価格は安いですから,売るよりも使った方が有利なワケです。しかし,蓄電も100%になって使い切れなれば,太陽光発電電力を絞る(いわば電力を捨てる)しかありません。現在,売電は捨てるよりはマシな最後の手段となるわけです。


昔から言います。「分からなければ金を出せ」と。
当方は電気専門ですので,なるべく金を出さない方針です。

妻ほか家人の電気知識は皆無なので,説明に苦労します。
妻は,「使いたい時に使えないのでは意味がない」と言います。むろん便利な生活を送るのと,効率的なムダのないエネルギー使用とは,うまくバランスをとらないといけません。

妻含め,一般人に感じるのは,定量性の欠乏問題です。消費電力の大きなものもごく小さなものも同列に捉えてしまうのです。
消費電力の大きさは機器により極端に異なります。エアコンや電子レンジは1kWから2kWも食います。テレビは0.1kWから0.2kW程度,冷蔵庫もそんなものです。1/10程度です。ケータイの充電などはさら一桁程度小さいです。照明も昨今はLEDですから低消費電力です。

電力消費量W[kWh]は,電力P[kW]と時間t[h]の掛け算で発生します。

\[W= P t \] 電子レンジは消費電力[kW]は大きいですが,そう長時間使うわけではない(せいぜい数分でしょう)ので,消費電力量[kWh]としては大したことはありません。当家の機種の消費電力の1.4kWを6分間使うと,電力消費量は0.14kWh(140Wh)ですが,レンジ機能(ヒーター加熱も高周波加熱と同電力として)を30分使うと,使用時間に比例して5倍の700Whの電力消費量となります。

電気釜の電力消費量も大きいです。自動の火力調整により電力使用量も変化しますので分かりにくいですが,当家の機種(東芝RC-SV18)の1回の炊き上げにかかる消費電力量のカタログ値は,236Whとなっています(下図仕様参照:但書きでは,600g約4合のご飯を炊いた時)。消費電力が1300Wですので,フルパワー食うのは炊き始めの10分以内のはずです。

仕様書.png
当家の電気炊飯器の仕様
ただ,クルマの燃費などでもそうですが,大体カタログ値というものは理想的な条件での数値なので,実際にはもう少し食うと思われます。年間電力消費量というものが,144kWhとなっていますので,それを365回で割り算すると,1回あたりは,394Whとなります。こちらは保温時に要する電力使用量も入れているのでしょう。

ヘアドライヤーも消費電力は1.2kW程度と電子レンジ並みに大きいですが,長時間使う人は少ないでしょう。太陽光発電をしている場合は使う時間帯に留意してもらわないといけません(朝使ってもらうのはいいのですが,夜は少なめにしてもらいます)。


こういうものは普段は殆ど気にはしませんが,太陽光の発電電力をムダなく使い,市電からの電力使用量をなるべく減らそうとすると,使用機器を上手に組み合わせる必要があります。冷蔵庫は消費電力が小さいと言いましたが,四六時中年中動いているわけですから,上式で時間t[h]が長くなりますので,バカになりません。コンプレッサーが回った時に大きく消費しますので,頻繁には開けないなどの留意が必要です。

電気は何にでも使える上質なエネルギー源ですから,これを直火代わりに使うというのは一番勿体無い話です。熱関係は電力消費が大きいですから,極力日中に使い,パソコンやスマホ関係は余り気にする必要がないと,まあ当たり前の話です。

なお,ネット上には電気に関する間違った情報が溢れています。単なる単位の間違いだけでなく(それを間違っていると内容も当然怪しい可能性が高いです)。電子レンジの電力を何Wのレンジという「高周波出力」でみているものがありますが,当然の事ながら電源電力を使って内部で高周波出力を作っているわけですから,消費電力はそれよりも大きく2倍程度食います。また電力[W]と電力量[Wh]との違いというイロハのイもお分かりになっていない記事も多いので,参照する際はご注意の程。

*中国語で電力会社の主契約電力の事。便利なのでこの語を使っています。市内電車ではありません。
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ロートレー

24時間稼働の冷蔵庫、冷凍庫は、適正規模の低消費電力のものを選択する必要がありますね^^
by ロートレー (2024-04-29 08:11) 

Enrique

ロートレーさん,
電力消費からいうと全くその通りですね。ただ(厄介なことに)冷蔵庫などは大きさで電力消費があまり変わらないという性質があります。小型のものは効率が低く,大型になるにつれ効率が高くなるからです。
とは言え,大型低消費電力型はモノが高いので,ムダに大きなものは必要ないですね。
by Enrique (2024-04-29 09:44) 

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