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5月6日週の「古楽の楽しみ」から [日常]

連休最終日の5月6日(月)からの週の「古楽の楽しみ」では,
「通奏低音を味わう」というテーマです。

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「通奏低音(バッソ・コンティヌオ )とは,一言で言えばポピュラー音楽の「ベース・ランニング」で,ベース音が常時動いていて,それに合う和声付けがなされて合奏が成立するものです。ベースランニングにコード進行が加わるポピュラー音楽を例にしましたが,むろんこちらが元祖な訳です。ガンバやチェロのベース音と共にチェンバロやリュート,バロックギターなどがそれに和声付けをします。

バロック期の音楽では,上声のメロディよりも,むしろ通奏低音が音楽の基礎を作っている訳です。
よくセレモニーなどで掛かる,バッハのG線上のアリアとか,パッヘルベルのカノンなどがその典型例として取り上げられます。

パッヘルベルのカノンに至っては,「カノン進行*」とまで呼ばれる,現代のヒット曲の鉄板コード進行にまでなっています。

以前も取り上げた事があり,ここで敢えて取り上げるまでも無いですが,

D-A-Bm-F#m-G-D-Em/G-A-D
(ハ長調なら,C-G-Am-Em-F-C-Dm/F-G-C)

ですね。

実際には数字付き和音で示され,現代のコードネームとほぼ同じ様な役割をはたします。通奏低音のみの楽譜から,和声楽器の奏者が即興でつける事もあります。

前置きが長くなりましたが,5月6日の放送「通奏低音を味わう(1)」では,
まず,マラン・マレの「サント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘」が掛けられました。
ガンバで奏される3つの音の通奏低音が,まるで現代のミニマル音楽かの様に執拗に繰り返されますが,実に心地よい音楽です。

2曲目は,カプスベルガーの「カポーナ」テオルボの独奏ですが,やはりバスが執拗に繰り替えされます。「カポーナ」とはチャコーナ(後のシャコンヌ)とも近い舞曲の様です。

3曲目は,ファルコニエーリの「フォリアス」合奏ですがバロックギターが活躍します。

4曲目は,コレッリの「バイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 作品5第7」でした。有名な「フォリア」を含む曲です。爽やかな順次進行が美しいです。

5曲目は,有名なパッヘルベルの「カノンとジーグ ニ長調」。
安川智子さんは,パッヘルベルのカノンを掛けた後に,カノンと驚くほど似た曲があった(しかもそちらの前らしい)ということで,6曲目にパーセルの「グラウンド上の3声部(パーセル作品番号731)が紹介されていました。なお「グラウンド」とは通奏低音というよりは,オスティナート・バスとのことです。

「元祖」の方は,確かにカノンの基歌?という雰囲気でした。本歌取りの人気が本家を凌いでしまうということなのでしょうか。

つづく,本家?のパーセルの「メアリー女王の誕生日のためのオード」から「祭壇を飾れ」をリュート伴奏のソプラノ,さらにオルガンが加わって「グラウンドに基づく夕べの賛歌『今や太陽はその光を隠し』」,チェンバロ独奏の「新しいグラウンド ホ短調」が掛かりました。

なお同放送は,2024年5月13日(月)午前6:55までNHKの「らじる★らじる」ウェブ・ページ上に聞き逃し配信があります。


*「パッヘルベルのカノン」の和声進行を指しているだけで,音楽用語的に正しくはありません。
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