タンバリン現象 [その他]
「タンバリンかタンブリンか」の記事の反応は驚きでした。
最初の記事で当方が予想した答えとしては,
「学校ではタンブリンと習ったが,タンバリンの方が一般的なのでは?」
くらいに思っていましたが,
「学校でタンバリンと習った」とコメントいただく方,
「タンブリン」なんてあり得ない別物だという方。
学校では「タンブリン」と言うことになっていると記事に書いても,殆どの方が迷いなく「タンバリン」一択のようです。私の家族でも聞いてみましたが,みな「タンバリン」。娘などXで友人に聞いてみた様ですが,「タンブリン」ゼロで,「タンバリン」が8割,後の2割が知らないとの事でした。
「タンバリン勢」強烈です。
学校で習った「タンブリン」なんて言うと,村八分に遭いそうな勢いです(笑)。
これは心理学では有名な現象らしいです。
「記憶は都合よく書き換えられる。」という。
「自分はそんなもん何も都合よくなんかしていないぞ!」と思われるでしょう。
全くその通りです。多くの人にとってタンバリンかタンブリンかなんてそんなもの取るに足らない事なのです。それがまず大きな一つのポイントです。
その上で,何か都合良い事があるのでしょうか?おそらく,語呂が良いのでしょう。
「ブ」よりも「バ」の方が言いやすく,u音よりもa音の方が明るい感じがする,などでしょうか。
「ブ」音はイメージがよくない。ブ○,ブタ,ブアイソ,ブサイク,ブクブク,ブリブリ,無礼,無骨,etc.,漢字だと「無」や「不」や「負」に当てられるネガティブ・イメージです。
むろん「バ」音にもよくないものがありますが,敢えてよさそうなものを挙げれば,
バス,バランス,バー,バラエティ,バーゲン,バリバリ,バンバン,薔薇,etc., 漢字だと「馬」とか「場」とか「葉」とか「羽」とか,少なくともネガティブ・イメージはありません。
言いやすさや語感からして,文科省サイドの「タンブリン勢」は多勢に無勢です。
しかし,あれほど「タンバリン」だと言い張っていた妻が白状しました。
「学校では『タンブリン』と習ったが,みんなが『タンバリン』と言っていたのでそう言うのかと思った」と。
それが正直なところだろうと思います。むろん,多くの人が正直に言っていないという訳でもなさそうです。殆どの人にとっては取るに足らない事なので,「よく覚えていない」のが正直な答えなのですが,「タンバリン」と(習ったと)確信している人も,取るに足らない事なので無意識に記憶が変わっているのです。
ここまで書いても,当方が極端な都市伝説を唱えていると思われるといけませんので,証拠を上げておきましょう。
既に指摘した,文科省の「教育用音楽用語」や「学習指導要領(解説編)」には「タンブリン」となっています。これは戦後一貫しています。
文科省的には「タンバリン」は間違いで,それでは教科書検定に合格しないのです。学校では「タンブリン」一択で,もし「タンバリン」と教える教員がいたら,もぐりなのです。
当該楽器を作っているメーカーは,何という製品を作っているのでしょうか?
楽器最大手ヤマハさん,何と「タンブリン」は売れ行き芳しくないのか,生産中止になっています。小学校などの需要はまだまだあると思うのですが。
全音さんは販売中の様です。
鈴木楽器さん,
キクタニさん,
以上,国内メーカーは,「タンブリン」を作っています。学校に納入しないといけないので,勝手に名前を変えるのはまずいのです。教科書もそうですから,勝手に変えたら文科省から指導が入るはずです。最大手のヤマハさんが撤退する中,国内メーカーは「タンバリン」圧力によくぞ耐えて頑張っているものです。「タンバリン」と明記する安い海外製のものはバンバン売れる様です。
学校で習った「タンブリン」が,人々の頭の中でいつの間にか「タンバリン」になっているというのが当方の印象なのですが,当ブログの読者の方々も含め,全く逆の印象を持つ人も少なくないようです。曰くもともと「タンバリン」だし,そう習ったのに,今になって「タンブリン」なんておかしい。今後,そんな変な言い方も増えてくるのでは?という感じです。
教えた先生自体がタンバリン・バイアスが掛かっていた可能性も否定できません。国語辞典もタンバリンが優勢です。しかし,音楽の授業で習う前に,国語辞書で調べて「タンバリン」と覚えた人はどのくらいいるのでしょうか?国語学者は音楽の授業などに興味はなく(国語学者じたいも音楽では習ったはず),文部(科学)省の「教育用音楽用語」は無視しているようです。当方はむろん言いやすい方で良いと思うのですが,小学校では「タンブリン」と習うのに,それが全く浸透せずに,多くの人が(最初から)「タンバリン」だという現象は驚くべき現象だと思った次第です。
以前,「何かよくわからないがすごそう」と皆が思う効果を,「ジンクピリチオン効果」と作家の清水義範氏が名付けたと分子生物学者の近藤滋氏が言っているという記事を書きましたが,こちらの「タンバリン化効果」もなかなかのものだろうと思います,とりあえず,「タンバリン効果」とまでは分析が進んでいないので,当方はとりあえずこの,「学校では『タンブリン』と習ったはずなのに,迷いなく『タンバリン』となる現象」を「タンバリン現象」と名づけることにしました。
今回の記事の要約:
・当該楽器を殆どの方が「タンバリン」と呼び,学校でそう習ったというが,文部(科学)省は,昔から「タンブリン」としていた。
・典型的な認知バイアス事例だと思われるが,この誤解を解くのは難しそうなので,文科省の教科書修正事例,楽器メーカーの製品名称等の証拠を挙げた。
・当方はこの現象を,「タンバリン現象」と呼ぶこととした。
最初の記事で当方が予想した答えとしては,
「学校ではタンブリンと習ったが,タンバリンの方が一般的なのでは?」
くらいに思っていましたが,
「学校でタンバリンと習った」とコメントいただく方,
「タンブリン」なんてあり得ない別物だという方。
学校では「タンブリン」と言うことになっていると記事に書いても,殆どの方が迷いなく「タンバリン」一択のようです。私の家族でも聞いてみましたが,みな「タンバリン」。娘などXで友人に聞いてみた様ですが,「タンブリン」ゼロで,「タンバリン」が8割,後の2割が知らないとの事でした。
「タンバリン勢」強烈です。
学校で習った「タンブリン」なんて言うと,村八分に遭いそうな勢いです(笑)。
◆
これは心理学では有名な現象らしいです。
「記憶は都合よく書き換えられる。」という。
「自分はそんなもん何も都合よくなんかしていないぞ!」と思われるでしょう。
全くその通りです。多くの人にとってタンバリンかタンブリンかなんてそんなもの取るに足らない事なのです。それがまず大きな一つのポイントです。
その上で,何か都合良い事があるのでしょうか?おそらく,語呂が良いのでしょう。
「ブ」よりも「バ」の方が言いやすく,u音よりもa音の方が明るい感じがする,などでしょうか。
「ブ」音はイメージがよくない。ブ○,ブタ,ブアイソ,ブサイク,ブクブク,ブリブリ,無礼,無骨,etc.,漢字だと「無」や「不」や「負」に当てられるネガティブ・イメージです。
むろん「バ」音にもよくないものがありますが,敢えてよさそうなものを挙げれば,
バス,バランス,バー,バラエティ,バーゲン,バリバリ,バンバン,薔薇,etc., 漢字だと「馬」とか「場」とか「葉」とか「羽」とか,少なくともネガティブ・イメージはありません。
言いやすさや語感からして,文科省サイドの「タンブリン勢」は多勢に無勢です。
◆
しかし,あれほど「タンバリン」だと言い張っていた妻が白状しました。
「学校では『タンブリン』と習ったが,みんなが『タンバリン』と言っていたのでそう言うのかと思った」と。
それが正直なところだろうと思います。むろん,多くの人が正直に言っていないという訳でもなさそうです。殆どの人にとっては取るに足らない事なので,「よく覚えていない」のが正直な答えなのですが,「タンバリン」と(習ったと)確信している人も,取るに足らない事なので無意識に記憶が変わっているのです。
◆
ここまで書いても,当方が極端な都市伝説を唱えていると思われるといけませんので,証拠を上げておきましょう。
既に指摘した,文科省の「教育用音楽用語」や「学習指導要領(解説編)」には「タンブリン」となっています。これは戦後一貫しています。
タンバリンと誤記述する教科書会社にはタンブリンと修正させています。
文科省的には「タンバリン」は間違いで,それでは教科書検定に合格しないのです。学校では「タンブリン」一択で,もし「タンバリン」と教える教員がいたら,もぐりなのです。
◆
当該楽器を作っているメーカーは,何という製品を作っているのでしょうか?
楽器最大手ヤマハさん,何と「タンブリン」は売れ行き芳しくないのか,生産中止になっています。小学校などの需要はまだまだあると思うのですが。
全音さんは販売中の様です。
鈴木楽器さん,
キクタニさん,
学校でも使用される。 キクタニ 皮付きタンブリン 24㎝ TMB-24
- 出版社/メーカー: キクタニ
- メディア: エレクトロニクス
◆
学校で習った「タンブリン」が,人々の頭の中でいつの間にか「タンバリン」になっているというのが当方の印象なのですが,当ブログの読者の方々も含め,全く逆の印象を持つ人も少なくないようです。曰くもともと「タンバリン」だし,そう習ったのに,今になって「タンブリン」なんておかしい。今後,そんな変な言い方も増えてくるのでは?という感じです。
教えた先生自体がタンバリン・バイアスが掛かっていた可能性も否定できません。国語辞典もタンバリンが優勢です。しかし,音楽の授業で習う前に,国語辞書で調べて「タンバリン」と覚えた人はどのくらいいるのでしょうか?国語学者は音楽の授業などに興味はなく(国語学者じたいも音楽では習ったはず),文部(科学)省の「教育用音楽用語」は無視しているようです。当方はむろん言いやすい方で良いと思うのですが,小学校では「タンブリン」と習うのに,それが全く浸透せずに,多くの人が(最初から)「タンバリン」だという現象は驚くべき現象だと思った次第です。
◆
以前,「何かよくわからないがすごそう」と皆が思う効果を,「ジンクピリチオン効果」と作家の清水義範氏が名付けたと分子生物学者の近藤滋氏が言っているという記事を書きましたが,こちらの「タンバリン化効果」もなかなかのものだろうと思います,とりあえず,「タンバリン効果」とまでは分析が進んでいないので,当方はとりあえずこの,「学校では『タンブリン』と習ったはずなのに,迷いなく『タンバリン』となる現象」を「タンバリン現象」と名づけることにしました。
今回の記事の要約:
・当該楽器を殆どの方が「タンバリン」と呼び,学校でそう習ったというが,文部(科学)省は,昔から「タンブリン」としていた。
・典型的な認知バイアス事例だと思われるが,この誤解を解くのは難しそうなので,文科省の教科書修正事例,楽器メーカーの製品名称等の証拠を挙げた。
・当方はこの現象を,「タンバリン現象」と呼ぶこととした。
以上
わたし、モグリでもいいです(@^▽^@)
今の若い人達は知らないかもしれませんが、
歌手の水前寺清子が歌っていた『真実一路のマーチ(1969年)』では、
確か、明確に「タンバリン」と歌っていました。
♪タンバリンリンリン、タンバリン♫ ♪タンバリンリンリン タンバリン♫
と連呼です( ̄∇ ̄)
作詞はかの有名な故星野哲郎氏です。
by U3 (2023-09-22 12:27)
Enrique さん
タンバリン(タンブリン)一つで、奧が深いです。
学校で習った名称なんて、覚えてないです。
ただ、U3 さんが仰るとおり、当時は、50%以上の人が見ていた年末の国民的歌謡番組での普及効果が高いのだと思います。
それ以後、殆どのヒトが、タンバリン一択になったのだと思います。
多分、タンブリンと聞いても、タンバリンと脳内変換して聞いていると思います。
by kiyo (2023-09-22 15:37)
U3さん,
いやー,タンバリン効果すごいですね。改めて確信しました。
星野哲郎作詞の水前寺清子の歌の件は 17日の「タンバリンかタンブリンか(続編)」で書いた通りです。当該年代の方々に与えた影響はあるとREIKOさんにコメントいただいている通りです。
U3さんがモグリなのではなく,水前寺清子と星野哲郎に勝てなかった音楽の教師のほうです。
by Enrique (2023-09-22 15:57)
kiyoさん,
U3さんのコメントでも書きましたが,
17日の「タンバリンかタンブリンか(続編)」の記事にその件は書いております。ご指摘通りだと思います。
https://classical-guitar.blog.ss-blog.jp/2023-09-17
by Enrique (2023-09-22 16:02)
Entiqueさん、
奧が深いです。
発音記号や、その音声ファイルを聞くと、「タンブーリン」と聞こえますね。
また、wikiから、『タンバリンの原義が「小さな太鼓(タンブール+指小辞イン)」』とあるので、タンブリンが近い発音な気がしますね。
結論:
正解は、タンブリン、または、タンブリーンだが、某歌謡曲によって、幅広くタンバリンと歪められてしまっている。
by kiyo (2023-09-23 19:03)
kiyoさん,
おっしゃる通りなのですが,
敢えて発音には立ち入らず,学校でどう習ったか?それを皆さん覚えていらっしゃるかだけに絞りました。
前記事で書いた歌謡曲の影響は大きいと思いますが,それも根拠があっての事でしょう。国語辞典にはそう書いてありますし,アメリカ帰りのハイカラさんなどがそれっぽく言っていたのかもしれません。
英語のみ「タンバリン」っぽく,大元のアラビア系からヨーロッパ語でもタンブーラン,タンブリンが多く,英語でもテァンバゥリーンといった感じでしょう。ちなみに韓国では,タンバリンでもタンブリンでもなく,「テンボリン」と呼ぶそうです。カタカナやハングルで表す限界でしょう。
by Enrique (2023-09-25 21:14)