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タンバリンかタンブリンか(続編) [その他]

「タンバリンかタンブリンか」はかなり興味を持っていただいた様です。


いただいたコメントから想像するに,「タンブリンなんて知らんぞ」というご意見の方が多かった様に感じますが,逆に当方が「タンバリン」に違和感を持ったきっかけをハタと思い出しました。

水前寺清子の「真実一路のマーチ(1969年)」です。
「タンバリン・タンバリン・タンバリン」と連呼しています。



ひょっとしたら,これが当該年代の皆さんの記憶に「タンバリン」と吹き込まれたのではないかと想像します(その前から「タンバリン」と教わったというかたもいらっしゃるかも知れませんが)。

作詞の星野哲郎は,「タンブリン・タンブリン・タンブリン」ではカッコ悪いと見たのでしょう。何分「学校で歌謡曲なんて歌っちゃいけません。」と言う時代ですから,歌謡曲の方だって学校音楽に準拠する必要もありません。まあ,学校で習う事柄なんて儚いものです。


指導要領.png
「学習指導要領小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編」
現在も小学校でタンブリンは健在でした。
最新版の文部科学省の「学習指導要領小学校学習指導要領(平成29年告示)」には具体的な楽器名とかは書かれていませんが,「学習指導要領小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」の「1第1学年および第2学年の目標と内容」p.45には以下の様な記述があります。

<同ページ下から五行を引用>
   指導に当たっては,即興的に音を選んだりつなげたりする過程において,声や身の回りのさまざまな音の特徴を取り上げるようにし,どのような面白さがあるのかについて気付くようにすることが大切である。例えば,「タンブリンは,打ったり振ったりこすったりすると,音の高さ,長さ,音色が違って面白い」など,様々な音の特徴に気付くように促すことなどが考えられる。

とあります。
わざわざ,「タンブリン」の記述があるので,その様に呼ばせたいという並々ならぬ意思が感じられます。
他の楽器名としては,鍵盤ハーモニカ,オルガン,リコーダーくらいで,オーボー(オーボエ)の記述はありませんので,学校で教材的に使う楽器以外は,教科書会社がその時代の標準的な呼称を用いれば良さそうです。前回取り上げた作曲家名にしてもそんなところでしょう。具体的な作曲家名は書かれていませんので,ドビッシーかドビュッシーかは現在の学習指導要領からは読み取れません。


前回も書きましたが,カタカナ表記はコロコロ変わるものもあります。例えば,カタカナ表記が定まっている様に思われるベートーベン(Beethoven)だって,将来ドイツ語の発音に忠実に「ベートホーフェン」などとなる可能性も無くはないでしょう。



今回の記事の要約:
・小学校ではタンブリンと習っているはずなのに,多くの方はタンバリンとなっているようだ。それは,歌謡曲の影響もあるのではないか?
・(どちらが正しいかどうかは別として)文部科学省の学習指導要領(解説編)では現在もタンブリンで通している。カタギの教師ならばそう教えたはず。
・他の楽器名に関しては現在の学習指導要領では確認できない。楽器名の他,作曲家名のカタカナ表記なども今後変わる可能性はある。
以上

後注
本記事では文部科学省のサイトにある学習指導要領でチェックしましたが,教科書に記載される楽器名や作曲者名を含めた音楽用語一般は「教育用音楽用語」に準拠するはずです(そうしないと検定合格しません)。現在ネット上で確認できるのは当方が既に成人していた昭和53年のもののみで,既にかなり現代風になっています。当方が習った頃は,それ以前の昭和25年の「楽典編」および昭和27年の「第2編」,もしくは昭和40年のそれら合本に拠っているはずですので,タンブリン以外の楽器名や作曲家名に関しては,これを確認しないと明確な結論は出せません。
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よしあき・ギャラリー

水前寺清子の歌、気が付きませんでした。^^;
by よしあき・ギャラリー (2023-09-18 06:24) 

Enrique

よしあき・ギャラリーさん,この歌はたぶんお聴きになっていると思います。
文部(科学)省の「教育用音楽用語」では,改訂を重ねても戦後一貫して「タンブリン」ですが,世の中の方が「タンバリン」になっています。むろん「教育用音楽用語」のほうも改訂の度に変わるものもあるので,どちらがどうとも言えないのですが。
歌で「タンバリン」と連呼しているのに違和感を持ったのをはっきりと記憶しているので,記事にしてみました。
by Enrique (2023-09-18 09:55) 

REIKO

曲の最初の方はイマイチ覚えがありませんでしたが、タンバリン…を連呼する箇所は「あ~、聴いたことある」の歌でした。
確かにこの歌でタンブリンよりもタンバリンに馴染んでしまった世代はあるかもしれません。
ところで今日の午前中、ふと目にしたEテレの幼児向け番組で、紙皿やペットボトルのキャップなどを使い「タンバリン」を作るのをやっていました。
テロップには「タンバリン」の下に少し小さく「タンブリンともいいます」と注が…NHK的には(いつ頃からは知りませんが)「タンバリン」のようです。
by REIKO (2023-09-18 14:19) 

Enrique

REIKOさん,
戦後一貫してタンブリンの文科省がいつまで頑張るか分かりませんが,NHKに反目されては分が悪いかも知れませんね。
文科省はタンバリンと書く教科書会社にはわざわざタンブリンと修正させています。マスコミには総務省なら睨み利かせられるかも知れませんが,一般大衆を味方につけた?NHKが,文科省の指導に楯突くとは。やれやれ。

当方も文科省の回し者ではないですが,同省的にはタンブリン一択で,タンバリンは明らかな間違いなのです。しかし昨今のNHK的には,(文科省と学校で習った事を覚えている極く一部の国民がそう言っているだけだ!)という事なのでしょう。

学校ではタンブリンと習ったはずなのに誰もがタンバリンだと言い,NHKもそれに迎合して来た。どうする?文科省!
by Enrique (2023-09-18 20:33) 

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