SSブログ

「讃歌 ドビュッシーの墓」を弾いてみました [演奏]

この曲の解説色んな演奏家の演奏をYouTubeから集めてみましたが,自分でも弾いてみました。

EnriqueAutographSmall.png
ファリャ(1876-1946)自身のピアノ譜から還元して書いた楽譜からです。世の中で弾かれている楽譜は多分リョベート版が多いと思いますので,少し違うと思います(譜例1)。
FallaHomenaje.PNG
譜例1.ファリャのギター曲「讃歌 ドビュッシーの墓」冒頭。
(ピアノ版を参考にギター譜に還元したもの。)

ハバネラの付点のリズムに,やはりハバネラの三連符が付くわけですが,頻繁に(poco)affr.が付いて走っては,a tempoで付点のリズムに戻ると言う挙動を繰り返します。このリズムが余り得意で無いところに,また余り得意で無いスペイン風な歌い方が続きます。

何かへんてこりんな曲だなと思っていましたが,弾いているうちに,なかなかの佳曲だと思う様になりました。以前も書きましたが,古い全音の楽譜の裏の小船幸次郎の解説では,「ファリャとしてはそれほど打ち込んだ作品ではなかったかも知れないが,ギターとしては唯一のオリジナル曲であり貴重である。」という書き方をしていましたが,むしろファリャはこれをけっこう一生懸命書いて,かつ結構気に入っていたのではないか?とも思われます。ギターで書いた音そのままにピアノ版に編曲していますし,管弦楽版まであります。

管弦楽版は以下のものです。ピアノ版とともにギターで演奏する時の参考に出来ると思います。
ファリャのギター曲はドビュッシー(1862-1918)へのオマージュですが,ファリャはのちにこれを含め,4人の作曲家へのオマージュ組曲(Homenajes)にしています。

第一曲目が「E. F. Arbósの名によるファンファーレ」(譜例2)。エンリケ・フェルナンデス・アルボス(1863-1939)はファリャの先輩格にあたるスペインの作曲家・ヴァイオリニスト。アルベニスのピアノ組曲「イベリア」を管弦楽に編曲したので有名。
Homerajes1.png
譜例2.「E. F. Arbósの名によるファンファーレ」冒頭


第二曲目が,ギター曲「ドビュッシーへのオマージュ」の管弦楽版(譜例3)。
Homenajes2.png
譜例3.「ドビュッシーへのオマージュ」の管弦楽版冒頭


短いファンファーレ(Rappel de la Fanfare(譜例4))を挟んで,
Fanfare.png
譜例4.Rappel de la Fanfare.


第三曲目が,ポール・デュカ(1865-1935)へのオマージュ(譜例5)。デュカはもちろん有名作曲家ですが,ギターでおなじみのポンセやロドリーゴの先生でもあります。
Homenajes3.png
譜例5.ポール・デュカへのオマージュ


第四曲目が,ペドレリアーナ(Pedrelliana(譜例6))。フェリペ・ペドレル(Felipe Pedrell Sabaté, 1841-1922)はファリャの作曲の先生でした。
Homenajes4.png
譜例6.ペドレリアーナ(Pedrelliana).

nice!(27)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 27

コメント 2

Cecilia

素晴らしいです!先日聴かせていただいた名演奏家の動画の演奏にもひけをとらないと思いました。
先日の記事でたくさん聴いたので私もこの曲に慣れてきました。
by Cecilia (2021-03-16 19:59) 

Enrique

Ceciliaさん,有難うございます。
リョベート編のギター譜ではなくピアノ譜と一部オケ譜を参考に弾いてみました。少し速めでなるべくオリジナル忠実のつもりです。もう少しリズムのキレと速度の揺らしが出来たらなーと思っていますが,過分なお褒めをいただき嬉しいです。
by Enrique (2021-03-16 22:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。