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演奏のリセットについて~過去の自分との決別~ [演奏技術]

過去の自分との決別。具体的にどうすればいいでしょうか。

以前アニーリングについて記事にしました。
かつては金属の熱処理の話でしたが,近年コンピュータのシミュレーション技法にもアニーリングの考え方が取り入れられています。

アニーリングは温度が高いほど効果的ですが,むやみに高いと金属ならば溶けてしまい,元も子もありません。絶対温度で融点の半分ほどの温度でやるという経験側があります。

話をギターの演奏に戻して,極端な事を言えば,楽器を壊してしまって,しばらく止めるとかいった荒療治も考えられるわけですが,これはメルトダウンに近い事です。また,楽器を逆に弾く(体の非対称な歪みを矯正)とか,スクワットしながら弾く(演奏の余分な力を抜く)とか,まあかなり大変なものです。

かと言って,今まで通り弾いていたのでは,アニーリング効果はゼロです。

穏当な方法をいくつか考えてみます。

・昔弾いた曲は弾かない
カネンガイザーがアルハンブラを決して弾かない理由はこれだそうですが,当然最も簡単で効果はあるわけです。難点は,「かつての苦労は何だったの?」という虚しさでしょうか。

・異なった版の楽譜や使う
全く新たな気持ちで,新曲に取り組むつもりで取り組みます。しかしながら,幸か不幸か(この場合は不幸),よく練習した曲は手でも覚えているので効果は少ないかも知れません。また版が余り無い曲は,譜割りを変えたものを自分で作ったほうが良さそうです。あるいは自分のオリジナル版を作る。既にこれはやっています。

・全く別の練習方法をとる
かつてはやらなかった方法で練習してみます。超ゆっくり練習,スタカートをつけたりのアーティキュレーション練習,リズムバリエーション,声部ごとの練習,和音のみ取り出す練習,後ろから弾いてみる,などを徹底してやります。極力力を抜いた超脱力練習などもやります。
この辺が現実的な気がします。

かつて,アメリカ在住のブロガーの「やーさん」(初期は別のハンドルネームだったと思います)の「アメリカで開始したクラシックギター」の中で,色々変わった練習法の一つとして,ものすごく小さい音で弾いてみるというものがありました。その頃の私は,やはりしっかり大きな音で練習しないとしっかり脳にインプットされないと思っていたので,そんな練習法ダメとコメントした記憶があります。むろん,それをメインにしてはダメですが,特殊な目的の練習法としてはそれもアリなのかな?と今更ながら思っています。それはそうと,やーさんのブログは愛犬の死とともにパタリと途絶えてしまいましたが,カルフォルニアでお元気でしょうか*。

*この記事あたりでコメントいただいたのが最新だと思います。もう十年も経っております。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

私も「小さな音」で弾く練習を、今回のリハビリで重点に置きました。
しかし、ただ小さな音で練習するのではなく、何度も家内にチエックしてもらいました。家内を昔はバルエコなどの演奏会や、アマチュアの上手な人の演奏会などに連れて行きましたので、ギターの良い音は耳に残っている様です。これまでが、フォルテとすれば、今はメゾピアノ位だと思います。
私は学生時代、ギター部に入ってから、ホール等の広い所で弾くために大きな音でなければいけないと思い込みました。これが私の強すぎるタッチの諸悪の根源です。社会人になってからは、この悪癖は十分わかってはいたのですが、今日まで直すことが出来ませんでした。(^^;

by たこやきおやじ (2020-10-08 11:53) 

Enrique

たこやきおやじさん,
私の場合独奏もさることながら,他楽器とアンサンブルをやると,音が小さい小さいと散々言われ,如何に大きな音を出すかというのが命題の様でしたので,極小音で弾くという練習法は全くムダに思えました。
ただ,ここであげたような特殊な目的のための練習の一バリエーションとしてはありかなと思いますが,いつも小さな音で弾くというわけではありません。力みの無い強いタッチというのは常に大事だと思っています。
by Enrique (2020-10-09 07:16) 

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