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技術の改善の方法〜アニーリング〜 [演奏技術]

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またまた,理工学用語を引っ張り出してきました。
アニーリングです。

元々は金属学で使われた言葉で,「焼きなまし」のことです。一旦高温にしてからゆっくり冷ますことで,加工などに伴う内部の歪みを取り除く処理のことです。近年ではコンピュータの計算手法の一つとしてこのアニーリングを模倣した方法が使われて大きな効果をあげています。

元々は高温状態(無秩序状態)からじわじわ下げて来て,常温の安定状態に落ち着かせることです。
乱数を用いて各計算ポイントを高温状態にしてから,計算の条件での常温状態の安定点に落ち着かせる手法です。

この手法を楽器の技術や演奏に当てはめてみるのです。
下手くそな演奏でも,それなりに安定しているということはローカルミニマに引っ掛かった準安定状態だということです。その状態でこちょこちょやっていても余り改善しません。一旦高温状態にしてからじわじわ安定点に持って来ることが必要だと思います。

具体的に高温状態とはどういうことでしょうか。ハチャメチャをやれと言われても難しいものです。
一つは,極端にやってみることに対応すると思います。
実際のアニーリングでは何らかの転移温度(状態がガラッと変わる点)よりも温度を上げる必要があります。アニール前の状態と言うのは,準安定(そこそこの安定点)なので,技術などをちょこっと改善しようとしても容易に元に戻ってしまいます。少しやり過ぎなくらいに極端にやってみる事が肝要だと思います。
また,以前も挙げましたが,楽器を反対に構えてみるとかで違和感を色々感じてみることも高温状態に対応するかもしれません。

根本的な改善をするためには,より高温に(激しく)する必要があります。くれぐれも火傷にはご用心ですが。
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アヨアン・イゴカー

理屈はなるほどと思いますが、どうも自分の場合、どの動作がannealingに当るか、思いつきません。HANNONあたりを疲れるまで練習した後、焼きなましになるのかもしれませんが。
by アヨアン・イゴカー (2017-12-10 23:45) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,アニーリングは私の様な長年ヘンな演奏癖が付いた人間のリセットには良いのかなと思った次第です。練習量は必要ですが,何十年分もの癖を直すのに,また何十年も掛かったのでは非効率です。そのキーが温度です。高温状態は時間が速く流れる事に相当しますから,癖を直す時間短縮になります。
仰るように,何をやる事が高温相に相当するかです。
渋滞の状態を低温相だとすると,車間距離をあける事で高温相になり,渋滞が解消します。
はっきりとした高温相の処方箋を得ていませんが,極端・デタラメ・大きな音・ゆっくり,などがキーワードになるのではないかと思っています。
全くデタラメをやると言うのも難しいものですが。

by Enrique (2017-12-15 17:36) 

シロクマ

お久しぶりです。面白い気づきですね、エナジーミニマムにしても、この着眼点も。
爪を変えるだけで私は定常状態が乱されます。真剣に爪の接点を感じながら、拍を感じてゆっくり弾くと、今までの雑多な弾き方がデフラグされる感じで、客観的に「出てきている音楽」を評価できます。
まあ自分に最適な爪を知ってると思い込んでしまっている方なら爪を変えるなんて心情的に難しいかも知れませんが、、(笑)。
by シロクマ (2017-12-19 16:54) 

Enrique

シロクマさん,お久しぶりです。
ヘンな例えを連発しておりますが,「原点に戻って再検討してみる」ことでも良いのかもしれませんが,より多面的な見方の方が良いと思った次第です。基礎基本からの大きな見直しとともに実際面では非常に細かい視点も重要ですね。
確かに爪の当たり方はかなり微妙なものがあって,形・長さ日々微調整中です。加齢で爪の形も変わるので,それへの適応も必要です。

by Enrique (2017-12-20 10:08) 

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