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物事を多面的にとらえること [雑感]

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エナジー・ミニマムをとり上げて,ふと思いました。

力学的な運動は運動方程式を解けば求める事が出来ますが,エネルギーやらエントロピーやらの観点から俯瞰する事もできます。真理は別な面からみてもきれいな姿を見せてくれます。

物事を一面ではなく,多面的に捕えることは重要です。
その効用としては,理解が深まり間違いが少なくなること,でしょうか。
一元的なアプローチでは歯が立たない課題でも,多元的に攻めれば上手く行く事もあります。むろん正しい方法を複数使うことであり,間違った方法が併用されたら一遍にアウトです。デカルトは力学的法則により宇宙も生物も全て説明できると考えたようです。それまでの神秘主義に比べたら実に合理的近代的な考え方です。しかしながら現在,天体の運行などはアマチュアがパソコンで精密に計算できるレベルですが,複雑系の問題はスパコンの計算でもきりがありません。何年も先の日食や月食はいとも簡単に算出できますが,翌日の天気予報だって外れる事があります。地震は全く予測できていません。

試験問題では「別解」が顧みられなくなり,答えにたどり着ける最短を教えろというのが主流になっているようです。何でも記憶に頼るから,答えに到達する知識が少ない方が効率的だということなのでしょう。文字通り短絡的思考という事になります。どうせ同じ答えに辿りつくなら,簡単なのを一つ,というのが効率的学習法というものなのでしょう。しかし,ものごとを一面でしか見ない知識を沢山詰め込むよりも,少量でも多面的なものの見方を持つ方が遥かに大事だと思うのです。

音楽も多面的なものの集大成でしょう。数学的・科学的な要素も必要でしょうし,無論それだけではありません。ダ・ヴィンチの時代は,音楽も物理学も工学も一緒でした。

論理的思考は大事ですが,直感も大事です。そこには美しさの要素があります。美しくないものは間違っている可能性があります。しかし,美しく感じても論理的になぜ美しいかなど説明できないことが多いでしょう。これも物事の多面性です。論理と直感あるいは美とは軸が異なるのです。どちらか効率的なものだけに頼ったら,大きな間違いもおかすでしょう。

世の中に絶対的な答えはありません。根本的な原理原則を元に如何に実用的な解を得ていくかだろうと思います。効率的,役に立つ,実学においてそれを追い求める事は有用ですが,人間の活動として,それは何でしょうか?エナジー・ミニマムの別解は,何もしないことです。

お金もちになることとか,幸せになることとか。それらは軸が異なるという見方もあれば,ほぼ同じ軸だとの見方もあるでしょう。ものの見方にも多面性があるということです。

回り道をしたけども,ここに近道があった,というのでも良いではないでしょうか。最初から近道しか知らなかったというより,道草食った分そこに生えた人知れぬ野草も見て来た。人生の深みも増そうかというものです。むろん当方のギターがその一例であるのは言うまでもありません。
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アヨアン・イゴカー

>一面でしか見ない知識を沢山詰め込むよりも,少量でも多面的なものの見方を持つ方が遥かに大事

少し外れますが、自分自身の体験で言うと、子供の頃の味覚や色の好みは、明るくてはっきりしている物、味が濃い物である傾向がありました。大人になると、それがより素材そのもの、夫々の色、中間色などにも大いによさを感じるようになりました。
味や色のよさは、単純に割り切れないものがあることに深みを感じ、叡智を感じます。解答があるものばかりに接していると、自分自身の頭を使って思考することができなくなると思います。
広中教授がテレビで、アメリカの学校で自分の子どもに解答のない数学の問題を解いてくるように宿題を出した教師がいた、と言って憤慨していました。その時は憤慨するのももっともだと思っていましたが、今思えば、アメリカでは良い教育を随分昔からしていることが分かります。
生きるということは、人生とは解答のない問題を、死ぬまで追い続けていることなのかもしれないとも思います。
by アヨアン・イゴカー (2017-12-25 23:07) 

Enrique

私は解答のあるものでも,一つの解法だけではあまり使えないと思っています。むろん解答の無い問題に如何にあたりをつけるかは智慧の出しどころでしょう。
広中教授の件は知りませんでしたが,教師によるバラツキがあるのでしょう。良い先生に当たると素晴らしい教育が施されるように思います。そうでない場合はどうか?そちらの範疇での指摘なのかも知れませんが,仮に平均レベルが高くても画一的に自分の頭で考えさせない教育が良いとも思えませんね。
by Enrique (2017-12-26 07:04) 

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