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エナジー・ミニマム [演奏技術]

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前記事で最急降下曲線などという科学用語を引っ張り出しましたが,ついでながら「エナジー・ミニマム」というのもあります。

こちらはさらに根源的でしょう。基本的な用語である「つりあい」も,「エナジー・ミニマム」で説明できます。バネにおもりをぶら下げると,位置エネルギーは下ほど低いわけですが,バネの弾性エネルギーは延びるほど大きくなりますので両者の和がミニマムになるところで止まるわけです。

水は高いところから低いところに流れ,通りやすいところに沢山流れます。電気回路だって,わざわざ抵抗の高いところに大きな電流は流れません。電気回路を支配するのはオームの法則ですが,誤解を恐れずに言えば,電気回路の電流はトータルの電力が最も少なくなるような分布になるわけです。

バネにおもりをぶら下げたり,オームの法則の適用で済む様な場合は何もエナジー・ミニマムで考えなくても済みますが,未知数が多数ある構造物の強度計算などは,エナジー・ミニマムないしはそれから派生した手法が有効となります。

前振りが長くなってしまいました。
ギターの奏法にこのエナジー・ミニマムの考え方をとり入れられないかとふと思うわけです。

楽器の保持:静的なつりあい ⇒ エナジー・ミニマム
演奏中の移動:意図的に動かすと言うよりも,安定点に落ち着かせる ⇒ エナジー・ミニマム

そもそも安定点とはエナジー・ミニマムの点です。物体が形を保つのも固体内の電子系のエナジー・ミニマムで安定しています。

もちろん,ヒトの体は高度な制御系ですが,制御系の基本は,倒立振り子です。
アレは本来安定でない状態のものを制御を効かせることにより安定化しているわけです。
演奏を一言で言ってしまえば,制御の巧みさという事になってしまいますが,構えも重要でしょう。
倒立振り子がぐにゃぐにゃしたら,何ぼ巧みな制御でも立たすのは困難でしょうから。
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