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オンとオフについて [演奏技術]

ここで言うオンとオフは,左手の押弦についてです。

先日受けたレッスンで,離した指で鳴っている弦を触ってしまうという悩みを告白したところ,「オフできてないのでは?」という指摘を受けました。

ハッとしました。
特に昔取り組んでいた曲を弾く際,どうしても悪い弾き方とセットで思い出しています。

それは無理からぬことです。
運動動作として思い出せば,よく練習した曲ほどその弾き方を運動動作として思い出してしまいます。音がきちんと出ないと,力を込める。力を入れた状態で一生懸命練習する。さすがに弾き慣れると多少力が抜けて何となく弾けた状態になりますが,それでも時々ミスる。そんな状態だったと思います。
むろん,弾けないところは部分練習して何とか仕上げるわけですが。
左手の脱力の問題もありますが,どうもオンとオフを明確に意識していないところにも問題があったようです。難しい所ほど力を抜いて合理的に弾かなければならないのに,力を入れ息を詰めて弾いているかつての自分を発見します。ひどい時は顔まで歪んでいました。

如何に過去の自分(の弾き方)と決別するか?
弾き方を改善したつもりで,新しい曲は新しい自分で弾けても,過去に弾いた難しめの曲を引っ張り出すと,過去の自分が無意識に戻っています。特にそう言う場合は意識的に取り去らないといけないと思った次第です。ラクに弾ける感覚をデフォルトにしないといけません。

プレゼンテーション1.png
Fig.1. オン・オフをごく単純化した図。デジタル信号ではありませんが,左手の荷重を掛けた状態がオン,抜いた状態がオフです。オン・レベルは最大でも腕の重みくらいのものでしょう。移動時にも荷重が残っていると,演奏がギクシャクしたり擦過音が発生します。
必要ない指はオフにしていないといけません。力を入れたままむやみに離すのではなく,オフにする(荷重を取り去る)という感覚が大事ですが,当方が昔取り組んだ曲を引っ張り出すと,単にオフにすればいいところを,オンのまま指を上げていることが時々あります。その結果,大事な音に触ってしまったり,擦過音を発生させてしまったりの,余分(ネガティブ)な仕事をしてしまいます。力を入れないと弾けないという人がいますが,むろん弾かないところに力を入れる必要はないわけです。往々にして弾かないところに力が入り,擦過音が出たり,弾くところに悪影響が出ているものです。オンとオフの意識はかなり重要なことだと今更ながら再認識した次第です。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

私もオンとオフの力加減は大変重要だと思います。特にオフの力加減も適切でないと、次の動作がスムーズに行きません。オンにばかり集中しがちですが、オフにも目を付けられたのはさすがですね。(^^;

by たこやきおやじ (2020-10-06 01:24) 

Enrique

たこやきおやじさん,
普段ある程度は抜いているつもりではありますが,完全に取り去る感覚が普通にできることが必要だと思っています。うるさくいえば,力というよりも重みの伝達のオンオフです。極論を言えばオンモードではなくてオフモードの移動部分を重点的に練習すべきでしょう。
力を入れて押さえるのはまだしも,最悪は力を入れて指を上げている状態ですが,特に昔頑張って弾いた曲などは案外それをやってしまいます。
by Enrique (2020-10-06 05:51) 

通りすがり

カルレバーロの左手の練習が効きます。オフできちんと脱力できていないと移動時に摩擦音出るのでダメだとすぐ分かります。故に低音弦からまずはじめてというパターンで時々やってます。
by 通りすがり (2020-10-11 07:39) 

Enrique

通りすがりさん,
なるほど,オフ専用の練習というのは余り意識していませんでしたが,この手の練習を低音弦でやればそれになりますね。ご指摘ありがとうございます。
by Enrique (2020-10-12 07:15) 

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