SSブログ

「NHK ギターをひこう」テキストについて〜阿部保夫編〜 [曲目]

まず,最近入手した1973年の阿部保夫編,後期分(10月から3月まで)です。
この年の前期分から番組名が,従前の「ギター教室」から「ギターをひこう」変更になり,当時日本のクラシックギター界の第一人者だった阿部保夫(故人ですので敬称略させていただきます)が再登場しました(すでに「ギター教室」で講師担当していました)。当方は,この辺りから視聴を開始しました。
IMG_3268.jpeg
このイラスト,どうみても真ん中の女性が弾いているのはフォーク・ギターでしょう。みな歌を歌っています。ギターと言えばこんなイメージだったのでしょう。それは現在でもあまり変わりませんが。
この年度に当方は安い楽器を母に買ってもらい,テキトウに弾いており,この時このNHKテキストは買っていませんでした。確か,上の姉とかは「コード弾き」の奏法と,ピアノなどと同じく「楽譜通りに弾く」奏法があるが,前者のほうが簡単でヨイとか言っていた記憶があります。お安い楽器は私専用という訳で無く,姉たちも使っていました。

当時はフォーク歌謡などが全盛の時代でした。
ギターと言えば歌の伴奏の道具として,コードを押さえて「ジャン・ジャン」とやるか,「チンチロ・チロロ」とスリーフィンガー。その辺の本にはスリーフィンガーは「高度な奏法」だとか書いてありましたが,所詮伴奏は伴奏。当方は直ぐ飽きてしまいました。放送を観ていていると,氏は歌の伴奏の例を挙げて,世間では,「こんな風に『ジャン・ジャン』とやる演奏が多いですが,もう少し工夫できないものでしょうか?」と仰っていたのを覚えています。

ひょっとしたら,前期も見ていたかもしれません。
ソルのOp.29-13の練習曲を弾いた小学生の男の子がいた記憶がありますが,それが前期だったか後期だったか記憶がありません。テキストにソルのOp.29-13は載っていませんので確認できませんが,最後の発表会だったかもしれません。確か氏は,「私も生で弾きます」と仰って,ソルの「魔笛変奏曲」のテーマを演奏された記憶はあります。


前置きが長くなりましたが,入手した後期分のテキストの中身を見てみます。
最初に著者のことばが載っています。
IMG_3271.jpeg
「根気良く練習を」
「ギターは一般にやさしいと思われ,楽器を手にしたらすぐにでも弾ける,と考えれている方が多い様です。」と始まります。そして,「〜中略〜何事もそうですが,基礎から根気良く練習を続ける事が,上達の早道です。」とあります。この辺は半世紀経た現在でも状況は全く変わっていなさそうです。

重要な事がそのあと書かれています。
「中級の方は,練習曲や独奏曲ばかりやらず,『毎日練習すべき基礎技巧』に書かれている,メカニックの練習もしてください。これは上達してからも続けられる事が大切です。」とあります。

当時,第一人者のおっしゃる事,非常によく分かります。
「毎日練習すべき基礎技巧」として著者は,以下のものや,いくつかの調での音階練習などを挙げています。むろん練習課題は古い内容をそのままやるべきではありませんが,基礎練習が大事という基本じたいに変化はないでしょう。

IMG_3272.jpeg
「毎日練習すべき基礎技巧」次のページには音階練習があります。
課題曲目は,独奏オンリーでは無く,二重奏があります。カルリのものと,シューベルトの有名な「セレナード」が載っています。

IMG_3269.jpeg
シューベルトの「セレナード」二重奏版。
これは貴重な楽譜ではないでしょうか?ただし運指の再検討は必要でしょう。
最近村治ご姉弟が二重奏されているこの曲「阿部編」とありますので,この楽譜ではないかと思います。

村治佳織さんのインスタグラムより。

nice!(29)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 29

コメント 2

U3

クラシック・ギターではありませんが、フラメンコ・ギターの、パコ・デ・ルシアのアルバム「Siroco」を聴きながらこれを書いています。
楽譜とかギターの奏法とか技巧とかよく分かりませんが、「聞くだけギター」の私は、生ギターのインストルメンタルナンバーか、時折カンテが入るフラメンコ音楽が好きです。
by U3 (2023-11-12 18:40) 

Enrique

U3さん,
パコ・デ・ルシアに関しては大昔記事にしたことがあります。
https://classical-guitar.blog.ss-blog.jp/2009-04-04-2
超絶ギタリストある事は間違いありません。ファンは沢山いらっしゃいますね。
クラシコとフラメンコの違いは,楽譜を使うか使わないかというのも一つの違いでしょう。スパニュッシュ・ギターとして共通点もあれば,全く違うところもあります。
クラシコ(クラシックギター)はクラシック音楽の中ではマイナーな存在。パコ・デ・ルシアは民族音楽としてもやはりマイナーだったフラメンコをポップス領域にまで拡大して多くのファンを生み出しました。
by Enrique (2023-11-13 11:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。