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続・少しアブない話 [雑感]

実技指導のオジサンたちが話す「少しアブない話」続編です。

人生の達人たちでしょうから,ほのぼのとして決して危なくはないのですが。。。

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今回のお話は,仕事上での話の様です。
当方は実技はタッチしていないので,オジサンたちの話を総合して推測しますと,玉掛けをするには,どうも質量推定(みつもり?)とかいうのをやるようです。実習用のコンクリの塊にフック?かシャックル?のついたやつがでんとあります。

「この塊何kgぐらいだ?」と受講生に尋ねるらしいのですが,その答えがとんでもないと。
当方が実習現場を通る時にちら見したものは数十センチメートル角のコンクリ塊ですから,体積が0.2立米から0.3立米でコンクリが立米2.3トンとして,数百kgのものでしょう。実際は知りませんが,ひょっとしたらメジャーで寸法を測るのかもしれません*。

それを何十トンとかいう人がいるかと思えば,15kgとかいう人がいて,「そんならアナタ持てるはずでしょう。持ってごらん。」というと苦笑いしていると。おそらく,何にしろ数量を見積もるという習慣がなく,当てずっぽうに答えるだけなのでしょう。

やばいやばい。偶にクレーンが横転する事故とかありますが,玉掛けするものの質量を何桁も間違われたらかないません。クルマとかピアノとかあらかじめ質量がわかっているものなら良いですが,岩石とか,ぶ厚い鉄板とか,材木とか,寸法によって質量の変わるようなものを吊る場合には,おおよその質量がわかっていないと,ロープの選定すらできません。

以前教えていた玉掛けの力学編のテキストでは,以下の様な単位体積あたりの質量(密度)の表がありました(電気専門の私は資格チェックが意味もなく厳格化されて力学は教えられなくなりました)。体積がわかれば,それに密度を掛けて質量を求めます。

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各種物体の密度[トン/m3]。
むろん体積の求め方も載っていました。球の体積の公式となると,覚えている人も少なそうですが,何分概算ですので,一辺が球の直径に相当する立方体の体積のπ/6≒0.53ですから,球の体積はサイコロ型の半分チョイくらいの知識で十分なわけですが。

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各種形状の体積の求め方。
以前,玉掛けの力学を教えた時,モーメントとか重心,釣り合いとかの,もう少し高度?な話もしましたが,オジサンたちの話を聞くと,受講生の人たちは分かっていたのかな?と少々疑問ですが,何分○×テストですから,何とかなるのでしょう。

重要なのがロープの選定ですが,なんぼ安全率を6倍とかに大きくしているとは言っても,桁取りが出来ない人もいるのだそうですから,桁間違いをされたら大変危険です。桁を間違わないまでも,耐荷重を何割増やして下さいとか言っても,分からない人がいると嘆いていました。いずれも小学校程度の算数なのですが,皆さん少なくとも高校,中には大学を出ている方もいらっしゃるようです。


もっとも,実技講師のオジサンたちが,「東京電力の売上がいくらくらいだった?」とか話しているので,当方が「数兆円の規模だと思います」と言うと,別のオジサン「もうちょっとあったと思うがなー」。別にネットで調べれば直ぐ出そうですが,オトナ気ないのでガマンして,「十兆円までは行ってないと思いますよ」と当方。質量推定の様に大まかな数字を言っているのですが,どうもオカネの話となると概算はダメのようで,シビアになるようです。

何割増しの荷重が分からない受講生も,お金の話なら一割増しの消費税のついた値段なら分かりそうなものですが,どうなんでしょうか?聞きそびれてしまいました。


*後で聞いてみましたら,500kg以上の不定形のものを使ってくれと(県か厚労省から?)言われているそうでした。
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U3

私は建築端にいましたから、『玉掛け』の意味を知っていますが、専門外の人は「玉掛けって何のこと?」とちんぷんかんぷんかもしれません。
その玉掛けですが、風力発電のブレードの取り付けなどは、玉掛け免許があるだけで出来るというものではなく、長い経験とシビアな計算の上に成り立っているし、玉掛けの技術と直接の関係はありませんが、その時の気候(風雨雷など)まで計算にいれてやらなければならないので大変でしょうね。
by U3 (2023-09-03 10:29) 

Enrique

U3さん,
当方は電気関係のついでに玉掛けの力学を教えたのみで実技面は分かりません。むろん玉掛けは特殊技能?でしょうが,これだけでは仕事にはならず,通常の荷物を吊るだけでも,クレーン関係の資格も同時に無いと仕事にならないようです。色んな分野の方々が受講されています。各分野でさらにプラスアルファの専門性が必要でしょう。

軽い記事を書いたことがあります。
https://classical-guitar.blog.ss-blog.jp/2015-10-12

玉掛けの学科の内容は高校の物理程度ですが,資格として大学の機械系の力学の履修が必要とのことで(書類審査がムダに厳格化され),玉掛けはクビになり,電気系専門の当方は,教授内容がモーターなどの電気関係に限定されてしまいました。玉掛けやクレーン関係の講習受講や資格取得は作業者には義務付けられていますが,資格を持っているだけでは危なく,経験を要するものでしょう。

クレーン資格にも種類があり,当方が学科を教えているのは床上操作式と小型移動式です。前者は屋内なので天候は関係しませんが,移動式では天候等の留意も必要でしょう。雷もそうですが,送配電線近くでの安全な作業には多少電気の知識も必要です。
by Enrique (2023-09-03 22:30) 

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