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レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサの演奏 [雑感]

レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサはスペインの名ギタリストです。

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12月26日午前のNHK-FMの「名演奏ライブラリー」にレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサが取り上げられていました。

一般には余り知られていない名前ですので,番組では「アランフェスの初演者として知られる」と紹介されていました。わざわざ長ったらしい名前をフルネームで言うのは,弟のエドゥアルド・サインス・デ・ラ・マーサもギター演奏家・作曲家*だからで,サインス・デ・ラ・マーサだけではどちらか区別がつかないからです。

番組内容「スペインの名ギタリスト レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ」は以下の通りでした。
「マズルカ」
タレガ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(2分07秒)
<DOREMI DHR-7804>

「アランブラ宮殿の思い出」
タレガ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(3分35秒)
<DOREMI DHR-7804>

「夢」
タレガ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(3分36秒)
<DOREMI DHR-7804>

「エル・ビート」
レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(2分22秒)
<DOREMI DHR-7804>

「アランフェス協奏曲」
ロドリーゴ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ、(管弦楽)スペイン国立管弦楽団、(指揮)アタウルフォ・アルヘンタ
(19分57秒)
<ユニバーサル UCCD-1135>

「「マリサパロス」「カナリオス」」
サンス:作曲
レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ:編曲 (ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ (3分23秒)
<山野楽器 YMCD-1057>

「モーツァルトの主題による変奏曲 作品9」
ソル:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(5分34秒)
<山野楽器 YMCD-1057>

「ソレア」
レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(4分45秒)
<山野楽器 YMCD-1057>

「組曲 ニ短調」
ロベール・ド・ヴィゼー:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(11分00秒)

「エル・ロコ」
エドゥアルド・サインス・デ・ラ・マーサ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(2分20秒)

「ハバネラ」
エドゥアルド・サインス・デ・ラ・マーサ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(2分53秒)

「ある貴紳のための幻想曲」
ロドリーゴ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ、(管弦楽)マヌエル・デ・ファリャ管弦楽団、(指揮)クリストバル・ハルフテル
(22分44秒)
<RVC RCL-1057>

「前奏曲 第2番」
ヴィラ・ローボス:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(3分19秒)
<RCA ND 71736>

「田園曲」
ロドリーゴ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(3分54秒)
<RCA ND 71736>

「夢見る小道」
エドゥアルド・サインス・デ・ラ・マーサ:作曲
(ギター)レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
(5分16秒)
<RCA ND 71736>
最初の数曲は,むろん録音のせいもあるのでしょうが,古いセゴビアの演奏とあまり変わらず,演奏者を聞いていなかったら,セゴビアの古い録音?という雰囲気でしたが,後になるにつれて,レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサの演奏の独自性が聴こえて来ました。

当方には「ある貴紳のための幻想曲」が素晴らしく,今まで聴いたどの演奏より良い様に感じました。この曲に関しては,番組でははっきりとは触れられていませんでしたが有名なエピソードがあります。ロドリーゴが「アランフェス」を当時世界最高奏者と見なされていたセゴビアにではなく,レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに献呈・初演したことでセゴビアがヘソを曲げたので,謝罪の意味で改めてセゴビアにこの曲を献呈したのでした。たしか手塚健旨さんの現代ギターの記事によれば,セゴビアは新たに自分に献呈されたこの曲にも当初難色を示していたそうです。むろん後には「ある貴紳〜」はギター協奏曲としてセゴビアの重要なレパートリーになりましたが,「アランフェス」に関しては「調が高すぎてヒステリック」とか言って生涯弾こうとはしませんでした。

逆にレヒーノは,番組の紹介によれば,「何のわだかまりも無く」,このセゴビアへの献呈曲も弾いたと紹介されていました。むろん「わだかまり」とは,上のエピソードに他なりません。

レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサは完璧主義者?だったためか余り多くの音源は残されていません**。当方も聴いたのはこれが初めてでした。いつも通り,「ながら」でラジオを聴いていた放送だったので,録音もできませんでしたが,再放送が,1月4日(火)午後4時~5時55分にあるようです。ききのがさない様にしないといけません。


*ここで演奏された曲以外にも,ギターファンにおなじみのトレモロ曲「暁の鐘」も弟・エドゥアルドの作です。
**音源の少なさのみならず,単にアランフェスの初演者というだけでなく,全くギターを知らなかったロドリーゴの草稿を完璧なギター曲として仕上げた功績は大きいと思います。
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八犬伝

クラシックは、普段聞く習慣がありません。
Enriqueさんのブログで、色々と教えていただきましたので
来年は、聞いてみようかと思います。
by 八犬伝 (2021-12-27 12:20) 

Enrique

八犬伝さん,
かつて日本のクラシックのイメージは,ウィーン古典派などの音楽を姿勢を正して聴く様なものでしたが,もともと音楽は区別がつかないですし,ビートルズもクイーンも今ではクラシックです。
かつては音楽の父と言われたバッハも,多くのバロック作曲家の中の一人と見なされています。その方が本来の姿に近いと思います。
特にギターはクラシックと言ってもかなり他分野とクロスオーバーしていますので,聴きやすいと思います。
by Enrique (2021-12-28 08:40) 

oga.

ラジオでこんなの放送しているのですか! 要チェックだけど、ラジオを録音できる環境がない! ネットラジオはアプリで録音できるのかな?
クラシックは、テレビならNHKで木曜の夜に放送している「クラシックTV」と民放で土曜の朝に放送している「題名のない音楽会」が誰でも楽しめる内容だと思います。
by oga. (2021-12-29 00:56) 

Enrique

oga.さん,
当方はTVを殆ど見ずラジオ(NHK-FMを半世紀くらい)だけなので,TVでこんな放送やっていたのかと思うこともありますね。

かつて「名演奏家の時間」,いま「名演奏ライブラリー」で,聴いたギタリストとして記憶にあるのは,ブリーム,ブローウェル,イエペス,セゴビアでしょうか。他もあったかもしれません。

かつてはラジカセでポンと録音できたものですが,現在は少し面倒ですね。NHKはネット環境だと「らじる★らじる」で聴きますが,これに録音機能はないので,こんな記事を書いています。
https://classical-guitar.blog.ss-blog.jp/2014-08-19
当方のMacでも環境が変わっていますので,参考程度。著作権問題に関しては自己責任でお願いします。
by Enrique (2021-12-29 04:57) 

oga.

テレビの録画はレコーダーがあれば簡単にできますし、最近のテレビだとハードディスクを外付けすればこれまた簡単録画。さらに見逃し配信も加えると完璧です。
しかしラジオはラジカセもカセットデッキもない今となっては、録音して聴こうと思っても「うーん」となってしまいます。衰退する所以かも。ちょっと前にICレコーダーでFM留守録機能が付いたモデルが品薄になるほど売れたことがあったのですが、ラジオファンが飛びついたんでしょうね。
私はNHK(たぶんAM)の「まいにちスペイン語」という番組を1週間遅れでアプリで聴いてますが、放送局単位ででもこういうサービスやってほしいなあと思います。
by oga. (2021-12-30 18:33) 

Enrique

oga.さん,
クラシックギターもそうですが,ラジオもごく少数のファンが対象です。ラジオで録音機能をつけてもビジネスにはならない。TVではゴタごゴタの末ダビング対策が済んだので当たり前になりましたが,ラジオでは元々それをするほどの市場がないと言う事でしょう。ただ不便に思う人(多分年寄り)も少なくないと見えて,ラジカセは現在リバイバルしていて,ソニー,パナ,東芝などから出ています。
NHKラジオで聞き逃しサービスというのがありますが,全部が全部でもなく期間も限られますね。

by Enrique (2021-12-31 05:02) 

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