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ミーントーンで弾いてみる [演奏]

各種音律の理屈は大方理解しましたので,とりあえず実験です。

kotenさんの最も初級の方法を使っています。安い楽器はナットが着脱できないため,ゼロフレットをつける方法になります。その為には,太さの異なる針金を何種類か用意する必要があります。

材質的には真鍮が一番よいと思われます。洋白線が入手できれば理想的ですが,それどころか,中々丁度よい太さの真鍮線が入手できません。あっても500gとか1kgとかムダに沢山買わないといけません。2・3種類ごく少量入手できればいいのですが。

はたと思いついたのが,屋内配線の被覆銅線の芯線です。これはVVFケーブルと言う許容電流18Aのものが直径1.6mm,23Aのものが直径2.0mmで太さ的に丁度良さそうです。茶室を作ったときに配線の切れ端が残っていましたので,1.6mmのものを使いました。ホームセンターで1m100円くらいで入手できます。柔らかすぎることが課題ですが,その分弾きやすいでしょう(多分)。
IMGP2299.JPG

針金の断面は丸いままでもいいのでしょうが,座りを考慮して,断面を半月状(というか切り欠いた円)に削りました。1.6mmのものを長さに切って端部処理した後,ガムテープに貼り,サンドペーパーでゴシゴシしました。
IMGP2308.JPG

高さを1.6mmにしました。既存のフレット高が1.0mmなので,0.6mm上がります。
IMGP2310.JPG

針金が何種類も入手できないのと,電子チューナを持っていないので,きっちり計算値と寸法で攻めます。それで,弦長が精度よく決まる「ナット持ち上げ方式」をとることにしました(ゼロフレット方式でも弦長が1~2mm縮むだけですが)。

現在,捨て楽器を入れて5本あるのですが,3本がナット固定(何と61年河野も)なので,そうすると,使える楽器がメインの楽器2本のみです。メインのベラスケスはオープンGチューニングになっている(というか,あまりいじりたくない)ので,残るは,妻よりも長く連れ添っている野田さんだけです。ここは一肌脱いでもらうことにしました。
IMGP2314.JPG

昨日帰宅後から工作を始め,夜中に4フレットまでを取り付け,弾いていたらいい時間になっていました。5フレットは既存のフレット上におんぶです。これは上の銅線を0.4mm厚まで削りましたが,メンドウなので真鍮板か銅版を細く切って貼るのが良さそうです。ナットははがき2枚分持ち上げています。既存のフレットよりも0.6mm上がっていますから,0.2mmのはがき3枚上げないといけないのですが,2枚でやってみました。ビビるようだったらもう一枚ですが,大丈夫のようです(追記の通り,銅線による実際のフレット高は1.4mm程度でした)。

ハ長調やイ短調では全く違和感がありません。

低いソはそれほど気にならないだろうと思っていましたが,やはりギリギリに低いので,それ以上に下がると大変です。チューニングには気を使わないといけません。響きをよく聞くようになります。もちろん3度がびしっと決まるのを生かさないといけません。ソルの練習曲を弾いてみるとかなり合いそうです。ドミソの和音からソが抜けている曲などは,やはりミーントーン前提なのでしょうね。

とりあえず,昔のNHKテキストにあったノイジードラーのイタリア舞曲を弾いてみました。この楽譜はニ短調ですが,リュート曲を3カポで弾くので,本来の調(ヘ短調?)とは違うはずです。

前弾いたカルカッシの練習曲(Op.60-6)も弾いてみました。特にハ長調はよく響いて,2声を歌わせやすい感じがします。

ホ長調では響きが崩れるなど,オールマイティではないですが,ぴったりはまる曲には捨てがたい魅力はあります。ミーントーン専用楽器が一本あってもいいかもしれません。


追記
新フレットはゼリー状瞬間で接着しています。はがし液も購入していますので,失敗したらこれではがしてやり直します。

実際に使った銅線は1.6mmのものでしたので,訂正しました。更に一部削っていますので,フレット高さは1.4~1.5mm程度です。ナットの持ち上げは,ハガキ2枚でちょうど良かったわけです。

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Cecilia

ご苦労様です。
nyankomeさんのブログでリュートのフレット取り付け作業を見せていただいたことがありますが(弦で作っていらっしゃいましたね。)、ギターだと金属なので大変ですね。
ノイジードラーのイタリア舞曲、かっこいいですね。
気に入りました。
by Cecilia (2011-02-14 08:55) 

Enrique

Ceciliaさん,nice&コメントありがとうございます。
リュートやバロックギター,ヴィオラダガンバなどでは,フレット・ガット(専用もしくは使い古しの弦)を巻くようです。定期的に交換しないとけませんが,可動式なのは便利です。今回これも試そうかと思いましたが,既存のフレットがあるので,かなり太いガットが要ります(kotenさんはテニスラケットのガットも使っていました)。
ミーントーンではフレットが比較的まっすぐになりますので,試しやすいです。
この時点ではチューニングがあまり良くありませんので,とりあえず弾いてみて,あまり違和感のないものをやってみました。
by Enrique (2011-02-14 10:36) 

REIKO

ギターの改造(手術?)、お疲れ様でした!
きれいな響きですね~!
(平均律より)「響きの輪郭がクッキリする」「和音のヌケが良い」感じがしませんか?
また曲により、「古風」「素朴」「荘厳」などの雰囲気が加味されると思います。
狭い五度も、それだけ鳴らすと気になるかもしれませんが、純正な長三度と一緒なら、耳は純正の方に気を取られる?ので、音楽としては欠点にはならないと思います。
(ミーントーン前提で作られた曲なら、その辺は上手く書かれてるはず)
このギターで色々聴かせてくださいね、楽しみにしています♪
by REIKO (2011-02-14 20:51) 

Enrique

REIKOさん,コメントありがとうございます。
驚愕のKBIIレポートの興奮も覚めやらぬ今,何を今更とアホみたいなものですが,まあ永く使われた音律ですし,これで少し遊んでみたいと思います。本格的な曲を弾くにはもう少しフレットを増やさないといけませんが,たしかに独特な魅力があります。どうもギターでは5度は弾かない方がいいみたいで,純正の3度で十分な響きです。たしかにそれらしい曲では,うまく逃げていますね。
ゆくゆくは純正律もやって見たいと思っています。
by Enrique (2011-02-14 21:38) 

koten

ああぁぁ! 初音ミクの調教にかまけていたらいつの間にやらEnriqueさんがこんな記事を書いていたとは!(爆)・・駄目ですよEnriqueさん、古典調律関係の記事書いたら私のブログのコメント欄でどんどん宣伝しちゃってくださいよ、全くもう(笑)。

 で、本題ですが、ここの演奏ではどうも3弦の調弦(ないしフレッティング)が怪しいかな、と感じました。ミーントーンの5度は思ったより狭い旨を仰ってましたけど、ミーントーンの5度は所謂『受忍限度のギリギリの値』ですので、それより少しでも「狭く」なると「可成りの違和感」が生じます。ですので、Enriqueさんには不本意かも知れませんが、最初は電子チューナーで精密に図って調整されることを(結構強く(笑))お薦めします。まずは『受忍限度ギリギリ』の5度がどのようなものかを体に染みこませることが良いのではないかと思います。「精密に調整された(狭い)5度」であれば、そんなには気にならなくなるはずですので。

by koten (2011-02-18 17:46) 

koten

補足:一般論として、「3弦」は音程が上がりやすいです。ですので、古典調律化を行う場合は、3弦の「ゼロフレット」、いわゆるナット(←ヘッド側)部分の「弦離れ」の部分を他より多めに確保する(つまり1フレット側に延設する)と、上手く行く場合が多いです。御参考まで。
by koten (2011-02-18 17:51) 

Enrique

kotenさんコメントありがとうございます。
フレットつけて,弾き出したのですが,正直チューニングには苦労しました。
そうですね特に3弦は和音弾きながら合わせたりしてみましたが,見切り発車しています。しっくり来ていません。従来の楽器のチューニングのクセが身に付いていますので。従来のスキルはあまり役に立たないですが,色々試しています。電子チューナ導入を含め検討してみます(けっこう頑な)。フレッティングが合っていれば,長3度を聞いて,オクターブで攻め上がるのが良さそうです。この段階ではオクターブも怪しいものがあります。
何分音律実践初日です。また弾いてみますので,聞いてみてください。
by Enrique (2011-02-18 20:34) 

koten

 ミーントーン関係の2つの記事、コメント先に書いていたらnice押すの忘れてしまいました(汗)、すみません。
 余談ですが、Enriqueさんは御自分の過去記事のサイトを見つけ出すのがお得意そうですが(笑)、何かコツとかあるのでしょうか。小生もEnriqueさんを見習ってコメントレス等で「それについてはここで記事にしましたので・・」と格好良く?指摘したいのですが、記事数が増えてくるとどうにも探し当てるのに時間が掛かってきてイカンですね(泣)。ブログ移行とかすると自己記事検索機能とかも充実するのでしょうかね・・。

by koten (2011-02-19 19:14) 

Enrique

kotenさんniceと追加コメントありがとうございます。
nice忘れは私もよくやります。先にコメント書くと忘れますね。かといって,先にnice押すと,速くコメントを書かないといけないみたいなアセリ(笑)が。。。
過去記事の検索は,検索ボックス(私の場合は左上の)で検索しています。文章内のキーワードを覚えていれば大概これで見つかります。これでダメな場合は,タグがあればタグで,最後は日付です。Googleとかで検索しても結構ヒットしますね。
本文と違いコメント欄ではテキストリンクが出来ず,URLの表示リンクなのが難点ですが。
ブログ移行って,有料の方ということですか?多少いいのでしょうが大差ないような。。。
by Enrique (2011-02-20 01:25) 

koten

なるほど、検索ボックスですか(私の場合は右上)。私も最初はこのボックス使っていたのですが、自分のブログだけでなく他人(ひとさま)のブログも含めた検索がなされてしまいますよね・・なので可成りユニークなキーワードでないと辛いなって感じちゃいますね。まぁ私の記事自体は可成りユニークだとは思いますが(爆)。
前回書いた「ブログ移行」とは、so-netのIDでログインできるようにする機能のことです。これをすれば何か格上のサービス提供がされるみたいなことが書いてあったので、so-netのIDを取得したのですが、どうも上手くログインできないんですよね(泣)。
by koten (2011-02-20 11:33) 

Enrique

kotenさん,再コメントありがとうございます。
そういえば,私も通常のユーザで開始したのですが,勝手に自分の記事内につくリンクが消せるというので移行したような記憶があります。
そう内容違わないと思っていましたが,たしかに私の場合は検索機能は自分の記事のみからですね。あと左に「これ見よがし」にタグクラウドがありますが,これも結構強力です。小さい文字のタグなら一発で記事は捕まります。kotenさんの場合は文字通りユニーク(記事と一対一)ですから,これで見付かるのでは?
so-netユーザーだけなのかな~?と思ったり。ちなみに私はso-netユーザです(その前はbiglobeでしたが)。so-netのメール・アドレスの前半がユーザIDになっています。プロバイダ使用料のポイントとブログの広告ポイントなどが一体化しています。いつも使わないで期限切れにしていますが。
by Enrique (2011-02-20 12:22) 

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