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ミーントーンでソル [演奏]

昨年のいまごろ,「19世紀ギターに思う(ソルはミーントーンを用いた)」という記事を書きました。
何も確証あったわけではなくて,モーツァルトがミートーンを用いたということ,ソルの肖像画の楽器のフレットがどうも不均等に見えること,ソルの曲がギター曲で必ずしも弾きやすくないハ長調が多いこと位の根拠で書き綴っていました。

私は特に音律マニアではありませんが,ギターの調弦がぴったり合わないのに常々疑問を持っていました。正確なはずの電子チューナを使うと余計にしっくりきません。ギターの平均律フレットと純正律との食い違いだろうくらいの意識でしたが,この辺から興味を持ちだしました。なお電子チューナは古典調律をやるには必需品らしいですが,いまだに持っていません。

さて,私はどちらかというと純正律に興味があるのですが,まずは試しやすいミーントーンを仮フレットで試しています。ミーントーンといえば,「ソルはミーントーンを用いた」などと見てきたような事を書いたので,今回ソルを試してみる事にしました。しかしチューニングにはなかなか気を使います。やっと少し慣れてきて,ミーントーンらしい響きが出るようになって来ました。

ただし,ミーントーンのフレッティングになっているのは4フレットまでで,5フレット以降は平均律フレットのままです。そのため,ローポジションで弾ける曲を選んでいますが,これをオーバーする部分は無理やり下の平均律フレットを押えてごまかしています。

曲はOp35の「非常にやさしい練習曲集」です。やさしさからいけばOp60ですが,やはり曲としてのレベルは作品番号の若いほうに軍配が上がるようです。

今回Op35-1~5までを弾いてみました。何れも初級レベルとの事ですが,そうやさしくもないです。特にNo.5は今回初めて見ましたが,そうやさしくありません。大分とちっています。

非常にぴったりくる感じです。
ウルフを踏まないのはもちろんのこと,ドミソのソも同時には使っていないようです。

2/20追加
フレッティングとチューニングを再検討して再録音しました。比較してみてください。


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コメント 20

Cecilia

ソルの肖像画などのギターもまじまじと見てしまいました。
演奏を聴かせていただきましたがぴったり来る感じですね。

by Cecilia (2011-02-14 08:48) 

Enrique

Ceciliaさん,nice&コメント,聞いていただき,ありがとうございます。
ソルの肖像画の楽器のフレットも消されたり直されたりしているものもあります。以前の記事にのせたものは広く流布しているものですが,少しあやしいですね。ソルの若い時の肖像で,なかなかハンサムです。
私の楽器はモダンギターなので,音が延び過ぎますが,その分音律の違いがよりはっきりするかも知れません。
by Enrique (2011-02-14 10:30) 

夢笛myu

全部聞かせていただきました。前にもkotenさんのところで書きましたが、最初は5度の狂い(狭さ)が非常に気になります。ところが5曲続けて聴いている間にも自分の耳が慣れてくるのが判ります。あと、op35-5のように音が伸びて重ならない曲では、殆ど気になりません。といいうかこういう曲の場合は、音律の違いはあまり問題にならないのかも・・・。
by 夢笛myu (2011-02-14 12:23) 

Enrique

無笛myuさん,コメント,聞いていただき,ありがとうございます。
慣れないと狂って聞こえ,なかなかチューニングが決まりませんでした。
ドミソドと同時にやるととても聞けませんので,ドミドの方がはるかに美しいですね。
たしかに最後のは3度音程なので得意技ではありますが,音がずれながら走るので,たしかに響きはあまり聞いていません。同時にやればかなり違うのでしょうが。
by Enrique (2011-02-14 13:14) 

REIKO

どれもピッタリはまり!だと思いました!
やっぱり実際に音に出してみると「あ!コレだコレ!」(笑)みたいな感じで分かるのでは?
「う~~ん?」っていうのは、違うんですよね。
by REIKO (2011-02-14 21:05) 

Enrique

REIKOさん,聞いていただきコメントありがとうございます。
REIKOさんからお墨付きをもらって,ソル・ミーントーン説はかなり濃厚のようです(笑)。kotenさんの啓蒙活動もあり,結構ミエミエなのにギター界ではそう定説でもないのですよ。
by Enrique (2011-02-14 22:03) 

koten

最後の演奏は凄く音程が良いと思いました。一方、それより前の演奏で、低音弦を使っている演奏の低音(6弦?)の音程が「怪しい」と感じました。やはり最初は電子チューナーの導入が良いかと。

>ソルの肖像画の楽器のフレットも消されたり直されたりしているものもあります
・・・何か本当嫌ですね、、、どうしてここまで平均律化に拘らないといけないのかが良く分からないです。最近、著作権について考えさせられる場面が多いのですが、作曲家の「想定音律」からかけ離れた音律での演奏って「作曲者の著作者『人格権』を害しているのでは?」と感じるようになっちゃいましたよ(爆)。

by koten (2011-02-18 18:00) 

Enrique

kotenさん,聞いていただきありがとうございます。
チューニングも少しづつ上達しています。やはりびしっと来ないと,魅力半減ですね。1,2弦の3度が合えば実に気持ちいいものですが,フレットが足りませんね(笑)。
また少し弾いてみますのでチェックしてみてください。
少なくともOp35は,ミーントーン確実のようです。合わない調でもうまく料理していますね。


by Enrique (2011-02-18 20:53) 

koten

結局あれですよね、ソルが当時「他のギター作曲家とは『一線を画していた』」と言われる理由は、「ちゃんと古典調律を想定して曲を書いていたから」とか、案外そういうことかも知れませんよね(笑)。 ソルも或いはもしかしたらキルンベルガーの「純正作曲の技法」読んでたかもしれませんよね・・。良いですよね、色々こうして考えていると夢(妄想?)が広がっていって。
by koten (2011-02-18 21:03) 

Enrique

kotenさん,再コメントありがとうございます。
まだまだ検討足りませんが,ソルは楽器と音律の制約の中で良く響きに考慮して作曲しているように感じます。そこがブーム時代のユーザから単に手回りの点で「弾きにくい」というブーイングを浴びた原因かも知れません。
by Enrique (2011-02-19 08:21) 

koten

おおぉ、見違えるほど音程良くなったじゃないですか!!!!
niceを12個くらい押したい気分ですよ(爆)
最後の演奏なんて「あー入り込んでるなEnriqueさん(内面トリップ?)(笑)&ノリにのっているな~」というのが良く感じられてgoodjobですよ、やはり演奏はこうでないと。
これなら狭い5度も殆ど気にならないのでは?
ミーントーンにハマルと、多少のミスがあっても、「それを補って余りあるもの」を実感できるようになりますので、「ねぇねぇ、この響き凄い綺麗でしょ!? 聴いてよ聴いてよ!!」って、どんどん演奏upしたくなりますよ、これ保証&予言します(爆)。これ(つまり「ミス発生」と「演奏upのモチベーション」)に関しては、平均律の楽器で演奏すると、全く逆の(心理)現象が生じますので(きっぱり)。
 しかしあくまで電子チューナー使わずにやるところがEnriqueさんらしいですよね(爆)。でも逆にこれで、「ミーントーンは調子笛などが無くてもフレッティング可能である」ということが実証されたことにならないですかね? ならば「ギターでもミーントーンは実際に使われていたはずだ!」って理論を展開することもできそうですよね(笑)
by koten (2011-02-20 11:47) 

Cecilia

音程が良くなったから良くなったとも思うのですが、最後の演奏はかなり弾きこまれているようにお見受けしました。
入り込んでいるなあ・・・と感じます。(笑)素敵な演奏です!
by Cecilia (2011-02-20 19:05) 

Enrique

kotenさん,再コメントありがとうございます。
だいぶピシッと来ました。電子チューナを使わない私ですが,正確な物差しと計算尺があればフレッティングは十分できる(平均律よりシンプル)と思います。私はエクセルを使っていますが,これは計算尺の代わりのつもりです。ハイテク機器は確かにあると便利と思いますが,やれるところまでやってみようと思います。
調子笛って大昔ギターを買った時にオマケでもらいましたが,音質が違って合わせにくかった記憶があります。
by Enrique (2011-02-20 20:14) 

Enrique

Ceciliaさん,再度聞いていただき,ありがとうございます。
フレットをいじっていたので,あまり弾いてはいないのですよ。
でも,何か楽しくウキウキする気分になり,テンポも上がっていました。
by Enrique (2011-02-20 20:19) 

夢笛myu

前にコメントした「5度が気になる」のは間違いでしたね。こうして聞いてみると、3度又は6度を多用して作られた曲である事が良くわかります。普通の(平均律の?)ギターでは味わえない甘い響きです。
作品35は、若年の頃にはじめてソルに目覚めた思い入れのある曲集です。今後も引き続きお願いします。ここまでは、シャープ一つまでのの調性ですが、二長調やイ長調もそのまま行けるのですか?9番を早く聞いてみたい・・・です。
by 夢笛myu (2011-02-20 21:24) 

Enrique

夢笛myuさん再コメありがとうございます。
チューニング(フレッティング)が悪かったのが大きいですね。
曲自体はうまく5度が直接ぶつからないように書いてありますが,弾き方により,5度が残るとやはり気にはなります。譜面どおりに弾けばいいのですが,休符や音の残りかたに無配慮だとダメですね。響きに敏感になります。
現時点ではフレットが足りないので,弾けない曲もあります。ミーントーンフレットをオーバーする一つ二つの音は,そうっとごまかして弾いていますが。
ニ長調はもちろん,イ長調も大丈夫です。ホ長調は本当はダメなはずですが,うまく書いています。短3度はどの調も純正でないので,短調は苦手なはずですが,これもうまく書いているようです。
by Enrique (2011-02-20 22:06) 

REIKO

一瞬「別楽器」!?とか思ってしまいました!
すごく音が澄んで、明るい響きになっていますね。
弾くのが楽しくなってきますよね♪
by REIKO (2011-02-21 03:13) 

Enrique

REIKOさん,再コメありがとうございます。
フレッティングが少しずれていたようです。何とか合わせようとチューニングに苦労した訳です。
そうですね予想していたよりも明るい響きですね。気分良くなって来ましたので,また弾きたいと思います。また聞いてください。
by Enrique (2011-02-21 13:26) 

koten

Enriqueさん、早くブログ本文で叫んでくださいよ。「あーーこんなに良いんだったら、もっと早く試すんだった!!(私はなんて・・・)」的な台詞を(爆)。 私、それが楽しみでこの布教活動やっているんですから(爆笑)・・・以上、「悪趣味」なkoten君でした。 ちなみに私も、「初音ミク」、本当、もっと早く買っておくんだった~! って叫びたい気分です(笑)。
by koten (2011-02-23 15:14) 

Enrique

kotenさん,こちらのコメントに返事し忘れていました。
「あーこんなに良いんだったら~」に関して,試すことはもちろん最重要なのですが,実践に走ると逆に(あまり)理屈を考えなくなります。バランスが大事。。。冷静な対応の方がインパクト大きい場合も。。。などと,思っているのでした。「人生やり直しはいつからでも遅くありません(笑)」。クラギの人は何事も「控え目」の人が多いのですね。
by Enrique (2011-03-02 09:40) 

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