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音律とギター(3) [音楽理論]

音律とギター(2)では,各種音律によるフレッティングを示した。その際,ミーントーンのフレッティングとして,Eを主音として組み立てたフレッティングとした。いわば,ホ長調への移調版であった。これはミーントーンEというようだ。ピタゴラス音階ではピタゴラスのコンマ(行きすぎ)をオクターブに押し込む結果,短い5度が出るが,ミーントーンでは長3度を純正にとる結果,逆に長い5度が出てしまう。これらの響きの悪い5度(ウルフ)を,これらを普通は余り使わない5度間隔に,こっそり忍ばせる(C基準ではG#D#間)わけだが,ミーントーンEをやると,これがCG間に出てしまうという問題をkotenさんからご指摘いただいた。良く使う調の5度を優先すれば,やはり基準はCかGでやるのが普通のようだ。

Cから始まる,「音律と音階の科学」について(3)で示した数値で移調せずそのままフレットに焼きなおしてみると図1のようになる。これはミーントーンC。

ミーントーン.gif



図1 ミーントーンCによるフレッティング

コメントいただいたkotenさんの楽器を見ると,ミーントーンGのようだ。図2はGを主音としたミーントーン。

ミーントーンG.gif



図2 ミーントーンGによるフレッティング

C音はギターの開放弦に無いが,E音は2本ある。長三度純正のミーントーンを使えば,CとEはハモる。ソルが余りギター的でないハ長調を多用した理由がわかる。断定的な事は言えないが,少なくともソルの曲はピタゴラス音階および平均律はダメである。長三度純正でもさすがに純正律は使えないだろうから,ミーントーンもしくは他のウェルテンペラメント音律を使った可能性が高いのだろう。

史実を確認しない推測を書くが,歴史的楽器でも指板は後世,平均律に取り替えられているものが多いのではないだろうか?だとすれば,指板が平均律に替えられた19世紀ギターを使うよりも,モダン楽器でも指板を古典音律に改造したものの方が音色は別として,響き的に良い(正しい)だろう。

アマチュアの方が試して,その良さを実証している。プロがあまりやらないのは,営業面の課題があるからだろう。(おわり)

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