SSブログ

チューニングの実際(普通の方法?裏技?) [演奏技術]

ギターのチューニングは,初心者には難しいと言われる。これは,何回にもわたって述べてきた音律の問題がバックにあり,妥協の産物だからである。

究極の妥協は平均律チューニングである。通常の楽器ではフレッティングもほぼ平均律で刻まれており,これを究極のチューニングとする考え方もあろう。また,押さえ方などで数セントの上がり下がりはあるから,細かいことを言ってもしょうがないという意見も当然あろう。しかし,音律面での最大20セント近い食い違いは,誤差範囲では片付けられない。例えば骨棒上の1~2mmの調整は数セントの狂いを問題にしているわけだから,これは音律上の小さいほうの食い違いに匹敵する。原理的な差異を考慮した上での実際面の誤差は仕方が無いが,原理的なずれは誤差範囲とは片付けられない。意識が無ければ食い違いを拡大してしまうことも考えられる。前にも述べたが名人はその食い違いを少なくなるようにチューニングや押さえを調整している。おそらく無意識でやるのだろうが,頼りは音のみ。耳で合わせた方がよいというのはこういう理由である。チューナを使う方法も含め,具体的なチューニング方法は多数存在するだろうが,それらには触れず(私自身良く知らない),ここでは,教則本に書いてある,5フレット(③弦は4フレット)を押さえて合わせる方法を用いることを想定して,思いつくことを書いてみたい。

・チューナで合わせるのと,フレットで合わせるのでは原理的には一致するはず。
誤差範囲で一致しないと困るが,チューナを入手したら確かめてみたい。一致しない可能性としてはフレッティングの平均律からのずれ,および弦の理想状態からのずれが考えられる。前回のハーモニクスでの方法(速攻ホ短調チューニング)でのずれは,原理的に前述の通りのはずだが,これも確かめたい。我が家は,現在チューナはおろか,メトロノームも無い。(こちらはあったのだが,リフォームで引越しの際,音楽関係荷物がスペイン製カスタネットや2台のメトロノームなどと一緒に紛失してしまった。往復で業者を変えたため,どちらのせいかもわからず,精神的ダメージのため買えない。)

・同じ高さに合わせればよいのだが,弦ごとに音色が異なり,違って聞こえる。
押さえたほうが弦が短くなり,同じ場所を弾くと高次高調波がより少なく柔らかい音色になるので,押さえたほうの弦(低音弦側)をやや駒寄りに弾くと音色がそろい,合わせやすい。

・オクターブを良く合わせる。
例えば,速攻ホ短調チューニングでは④弦2フレットのミと①⑥弦開放のミは各2セントづつ上げ下げしないと合わないが,現在の楽器ではやっていない。特にこれから弾く調の主音のオクターブ,主和音の響きを聞く。どうしてもオクターブが合わないときは,押さえたまま上げ下げする。例えば,④弦2フレットのミを押さえたまま,右手でペグを回す。(手を離して,音が消えても良く覚えていられる人はこんなことをする必要はない。)

・5度を合わせる。
平均律では5度の誤差は少ない(2セント弱短い程度)ので,5弦と1弦などぴったり合わせるつもりで。

・3度は合わないので,妥協する。
2弦と3弦の音間隔は,音律でかなり食い違う。平均律では長3度はより長く,短3度はより短くなっていることを念頭に置いておく。

・これから弾く曲の三和音くらいを弾いてみて,響きの状態を確かめる。
「てですこ」さんのように弾く曲で合わせる人もいる。セゴビアは曲の最後の和音が美しくなるよう微調整したそうだ。

・上の作業を繰り返し,妥協点でやめる。

楽器によってフレッティングが微妙に違うと思われるので,結局は慣れるしかない。極論すれば人の数だけチューニングがあるといっても過言でないのは今まで述べてきたことである。チューナで合わせるにしても,オクターブや5度のチェック,3度が原理的にずれることなどの意識を持っていてもばちは当たらないだろう。


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0