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クルマのバッテリーを−端子から外し+端子からつなぐ理由 [科学と技術一般]

クルマの補機バッテリー(通常12Vの鉛蓄電池)のマイナス端子は,ボディ・アースされているからです。

アースとは基準電位を決める事で,建物などの場合は地面に電極を刺してアースにしますが,クルマの場合は金属製の車体を大地に見立てて,マイナス端子を車体に接続して0ボルト基準としているわけです。
‎自動車電装.‎001.png
自動車の補機バッテリーと電気電子機器類の接続概略図。
車体中の金属部分はすべてバッテリのマイナス端子に接続されていますので,まずはその接続を外しましょうという事です。プラスの方から外すと,外したプラス端子がマイナス端子が接続されている車体中のどこに触れてもショートの危険があるわけです。

ただしこれを仮に逆にやったとしても,バッテリからは外れていますので,バッテリのショートではなく,車中の電気機器のコンデンサなどに溜まった電荷を放出する程度です。ただし機器類を痛める恐れはあります。

同じ理由で,つなぐ時はプラス端子を先につないでから,車体につながるマイナス端子は後につないだ方が安全というわけです。


余り無いとは思いますが,バッテリが繋がった状態でバッテリ以降のどこかのプラス端子から外すというのは厳禁です。外した端子がどこに触れても本当にショートの危険があります。「-から外せ/+からつなげ」というのはそういう状況をも見込んだ戒めでしょう。

同様にバッテリ交換以上に注意が必要なのは,ブースタ・ケーブルでバッテリ上がりのクルマを救援する際です。救援車と被救援車のバッテリーの+同士・~同士(逆にすると大変)をつなぎますが,この際も上の理屈に基づき,+側から接続します。~側から接続してしまうと,次に接続する+端子がボディのどこの金属部分に触れてもショートするからです。これはバッテリ交換の際よりも重要です。


闇雲に「どちらが先」と覚えていても間違います(少なくとも当方は)。マイナス端子はボディ・アースされているという事実を知った上で,理屈で理解する事が重要です。

戒めも忘れた・理屈もわからんという場合は,作業しないのが一番ですが,それでもどうしてもしなければならない場合は,端子がボディの金属部分に絶対に触れない様細心の注意が必要です。
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プー太の父

若い時はバッテリーの上がることが多かったためよく
やっていましたが一度、端子を接続しようとしてたとき
ボンネットの上に端子を落としてしまったことがありました。
バチーっとすごい大きな音がしてこれは大変と思って
いろいろ調べてみたらカーステレオの音が出なくなっていて
記憶ではたしかヒューズが飛んでしまったようでした。
あれ以来恐くて今も気楽にリード線をつなぐことが出来なくなり
去年も数年ぶりにバッテリーが上がりましたが自分でやらず人に
やってもらいました。車のバッテリーって予想以上に強力ですね。

by プー太の父 (2024-03-10 13:41) 

Enrique

プー太の父さん,
かつてはバッテリーを上げてしまうことが割と良くありました。
昔なら完全にアウトでしたが,現在は容量の大きなものを使うので,室内灯を一晩くらい消し忘れても平気です。
交換はさほど危険でないですが,外す時はマイナスを先,つなぐ時はプラスを先という原則を守れば大丈夫ですが,失敗するとトラウマになってしまいますね。慣れた人に任せるのが一番ではあります。
バッテリーは電圧は低いですが,電流は100A以上流れます。短絡電流だと,アーク溶接でもできそうです。
by Enrique (2024-03-10 16:39) 

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