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鉛蓄電池の残量について [科学と技術一般]

オフグリッド太陽光発電をやっていますが,発電した電力を蓄える鉛蓄電池の残量チェックを時々します。

充電時と放電時とで結構数値が変わります。

IMG_3612.PNG
朝発電開始時の状況。
発電量が低いながらも充電時なので少々サバを読まれているようです。
当方はバッテリーチャージャの表示を監視しているわけですが,これは単にバッテリーの端子電圧を残量に換算しているだけのようで,実際の残量とはかなり違うものと思われます。

充電中充電電流が増えると,あっという間に端子電圧が上がり,充電電流減ってくると,端子電圧が下がり出します。充電中に起電力が下がるわけがないので,これは充電電流とバッテリの内部抵抗とで発生していた分の電圧が低下して端子電圧が下がったとみるべきです。

一方,放電時は端子電圧はがっくり下がりますが,やはり内部の起電力はそんなに急激に下がる訳がないので,やはり放電電流とバッテリの内部抵抗による電圧降下が発生したとみるべきです。

以下に当家のシステムの概要を示します。チャージコントローラなどの残量表示は単にバッテリの端子電圧を残量に換算しているだけの様です。充電時のバッテリ端子電圧は内部起電力にrIcの電圧が付加され,放電中は内部起電力からrIdの電圧が差し引かれる事になります。その電圧で残量表示するため,残量が大きく変動して見えるようです。

ソーラーPNG.png
当家の太陽光発電蓄電システムの構成
仮にバッテリの内部抵抗r=0.1Ωだとすれば,20Aの充放電電流によって2Vの上げ下げがある事になります。内部の起電力が13Vとして変わらなくても,一瞬でも20Aの充電電流が流れれば,端子電圧は15Vにもなり,20Aの放電電流ならば11Vになります。残量表示は100%から0%に急降下です。

天気が良く「フル充電だ!」と喜んで,使い出します。日が照っていれば,残量表示は余り低下しませんが,日が陰って,充電電流が無くなってバッテリの放電に切り替われば,みるみる0%に向いますが,そんな極端な残量低下はないのです。

電圧と残量との関係を見てみましょう。

鉛蓄電池の電解液濃度と電圧.png
このグラフが直接残量と発生電圧との関係というわけではないですが,残量は電解液の硫酸濃度と対応しているはずです。電解液濃度40%でフル充電という事です。その時マイナス極が純鉛でプラス極が純PbO2でまっさら新品状態という事で,この時のセル電圧が2.15Vくらい(12V仕様ならば12.9Vくらい)です。ここを残量100%とみて良いでしょう。一方,鉛蓄電池の場合残量が0%という状態はなさそうです。普通使用時に電解液が水状態になるまで放電出来るとも思えないですし,電解液比重が5%未満では電圧が急激に落ち,そこまで放電させて無事に元に戻るかどうかコワいところです。おそらくセル電圧が1.9Vくらい(12V仕様ならば11.4Vくらい)を放電終了電圧(残量0%)としているものと思われます。

充放電中はバッテリの内部抵抗×充放電電流分の電圧が端子電圧に端子電圧が付加されたり引かれたりした端子電圧に基づく残量表示は,全くあてにならないので,充電電流がない夜などに,放電電流もほぼない無負荷状態でのバッテリの開放電圧から充電量(残量)を判断するのが,まあまあ妥当なところだと思われます。

何分電池はナマモノですので,単純な電気回路理論では表しきれないところがあるとは思います。
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