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「ご飯一合炊き」炊飯で気づいた事 [日常]

電子レンジでの「ご飯一合炊き」の最適炊飯条件を探し,その計画を終了しましたが,開始後気づいた事です。

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水と加熱時間をパラメータにしましたが,それだけでもなさそうです。
いずれも重要なパラメータだとは思いますが,さらに重要なものがあります。

容器の中の温度です。
水の沸点が100℃なのは1気圧(=1013hPa)においてです。
低地ですと,低気圧が来ていて例えば980hPaに気圧が低下しても,それに伴う水の沸点は99℃程度なので,殆ど問題ありませんが,当方の出稼ぎ先では少し標高がありますので,影響を受けそうです。

天気図に示される気圧は,海面での気圧に換算されて表示されます(そうしないと地形によって気圧図が乱れてしまいます)。

晴れていて海面気圧が1030hPaあれば,当地の実際の気圧での水の沸点は98.6℃なので問題ないでしょうが,天気が悪く,海面気圧が980hPaですと,水の沸点は97.2℃に低下して*,やや怪しくなってきます。さすがに通常の気象条件で95℃を下回ることはなさそうですが,この95℃〜100℃の間の温度変化は炊き上がりに効きそうです。「赤子泣いても蓋取るな」の格言は,温度低下を戒めているわけです。


通常,熱活性現象では時間よりも温度が効きます。
しかも,コメの糊化温度の95℃というのが一種のシンギュラーポイントならば,この温度を超えない限り,いくら長時間加熱しても,ご飯はまともに炊けません。圧力釜で上手く炊けるのは,蒸気を密封することで内圧を高めて2000hPaにもすることで,水の沸点を120℃にも上昇させ,コメを効果的に加熱できるからです。

もう一つのポイントは,加熱がマイクロ波だということです。
電子レンジの加熱原理は,外部からの高温で加熱するわけでは無く,水分子をマイクロ波の周波数に共振**させて温度を上昇させます。従って,正確に言えば,水を外部から加熱しているわけではなく,水自体を「発熱」させているわけです。

燃焼にしろ電気のジュール加熱(抵抗加熱でもIHでも)にしろ,外部から加熱するのであれば,水温自体は100℃を超えなくても,釜肌の接触や輻射によって少なくとも部分的には100℃超えの加熱があり得ます。「おこげ」の発生がそれを物語っています。それに対して電子レンジではそれが決してありません。加熱(発熱)時間を長くすると乾燥して硬くなるのみです。


今回気になったのは,気圧条件(天候)を気に留めることも必要だという事です。天気が悪い日は沸点低下が起こっているので,温度条件が変わります。むしろそれは時間よりも効くかも知れません。

積極的な対策としては,電子レンジでも圧力鍋効果が得られないか?ということです。
圧力鍋は強度を持すために通常金属製ですので,マイクロ波を跳ね返してしまい電子レンジでは使えません。

レンジ炊飯を目的とした焼き物の容器もあるようですが,圧力効果よりも遠赤外線効果を狙っているようですが,電子レンジでは原理的に難しそうです。

強度の高いセラミック鍋があれば圧力効果を狙えそうです。ざっと見た限りでは,金属にセラミックコートしたものはありますが,純セラミック製の圧力鍋というのはなさそうです。

感覚的な話ですが,加熱(発熱)時間が短いと「炊き切っていない感」があり,かといって長くすると,おこげが発生するわけではなくひたすら硬くなる点が,レンジ炊飯の限界のように感じます。


*この数字は計算サイトを利用しました。
**マイクロ波は電磁気の外部振動ですから,これは共振現象です。
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よしあき・ギャラリー

すごい分析ですね。
悟りの境地のようです。
参りました!
by よしあき・ギャラリー (2023-12-09 16:42) 

Enrique

よしあき・ギャラリーさん,
ありがとうございます。
ただ,まだ悟りの境地には達していないようで,ごちゃごちゃ言っております。
by Enrique (2023-12-11 08:10) 

Ujiki.oO --> SSブログ カテゴリー:truck delivery cash on delivery

「プラスチックを加熱する人」でGoogle検索すればずらずらと健康被害がレポートされますが、これら一方の狭い悪手を考え過ぎると何も買えなくなるし、何も食べれなくなる。 これもあれも、人類種の存続の淘汰なのだと達観します。 赤子なら考えるべきであっても、ご同輩の老人の食事なら今さら何でも良い。 環境を無視した素材を利用する中華製製品を大量輸入する100円ショップで誰もが簡単に入手できるプラスチック系電子レンジ補助調理器は全て捨てて、例えば「炊飯土鍋 ごはん おもてなし和食 2合炊き ガス火 電子レンジ OR-7109」を利用しています。水を沸かすのも土瓶、米を電子レンジ炊くのも土鍋を利用しています。
by Ujiki.oO --> SSブログ カテゴリー:truck delivery cash on delivery (2023-12-17 09:50) 

Enrique

Ujiki.oOさん,
ダイソーの「ご飯一合炊き」は日本製ですね。

確かにプラスチックの加熱は注意しないといけませんが,電子レンジの「加熱」原理は水分子を共振させて発熱させているわけで,プラスチックを直接加熱しているわけではありません。健康関係の情報には物理原理を全く分かっていない人のものが多そうですし,医療関係者であってもそれは否めません。

それから,「プラスチック」は合成樹脂全般のことを指しており,多種多様で,それぞれ性質が異なるはずですし,そこに添加される可塑剤も様々でしょう。「プラスチックを加熱する」という時点で,化学知識も物理知識も怪しいと言う事が判明します。

公的機関の評価が信頼できないという事であれば,自ら電子レンジで加熱した水の中の溶存物質で調べる必要があります。

それを言うと,焼き物であっても釉薬の溶け出しが気になるところです。ガラスだって水に溶けます。電気釜に使われるテフロン樹脂加工が危ないという情報も一時期ありました。

作製温度よりも使用温度が十分低ければ大丈夫そうではあります。
by Enrique (2023-12-17 12:35) 

Ujiki.oO --> SQL backup without thinking:Ujiki.oO's SS Blog

電子レンジの「嘘」があると考えてもいます。自宅のあいりす電子レンジは二流品です。 便利なスチーム機能を付属した中華製です。 「嘘」とは、500Wを選択しても、実際には休止を繰り返す600Wです。 電子レンジで利用する温め専用の製品の中には「割れの原因となる600W以上での利用は禁止します」と書かれた陶器モノがありますが、電子レンジの500Wは嘘であって、休止機能によって連続はしないものの、500Wをメニューで選択しても、600W出力します。 自動モードがあって、ついつい牛乳の温めなどなど自動モードを使いたくなるのですけど、1000W強で温めます。 そんな「嘘」モードの電子レンジを、このまま壊れるまで使う予定です。
 また、イオンのネットスーパーで購入した「お椀」にも、通常は剥がしてしまうだろうシールに印刷されているのですけど、表面には大きくはっきりと「電子レンジ対応!」と印刷されていますが、シールの裏面には小さな文字で「電子レンジの使用は避けること」と日本語で印刷されています。まあ、メーカーですから、訴えられた時の逃げ道なのでしょう。 「嘘の電子レンジ」を使い続けるのなら、耐熱ガラスの「お椀形状」しか無いのかと考えもします。 もう十分に肉体寿命を生きてきていますので、いまさら嘘を気にする精神的な不健康さはこりごりです。 (大笑)
by Ujiki.oO --> SQL backup without thinking:Ujiki.oO's SS Blog (2024-01-08 12:20) 

Enrique

Ujiki.oOさん,
おっしゃる「嘘」は大した問題では無いと思います。
国産メーカーの数万円以上する電子レンジではインバータ搭載ですから,高周波出力の調整はきめ細かにできますが,そうで無い安い機種ではオン・オフの制御も致し方ない事でしょう。嘘というよりもそうせざるを得ないと言うのが実態です。当方が使うものもその手のもので,インバータ搭載のものと加熱状態に大きな差は無いと思われます。
むしろ,お椀に関して,樹脂素材の表示の方が問題でしょう。
「ご飯一合炊き」はポリプロピレン(PP)製なので,可塑剤は使われず,耐熱温度は140°Cで,一般に「電子レンジ対応」とされるものです。
一方,耐熱製の低い樹脂や,塩化ビニル(PVC)系などの可塑剤を含むものはその溶け出しが問題(工業会は発がん性などは無いとしていますが)ですので,そこは留意の必要はあると思います。

こちらの記事で,少し詳しく書きました。
https://classical-guitar.blog.ss-blog.jp/2023-12-20

一時期,ラップの素材が問題になりましたね。
by Enrique (2024-01-08 21:50) 

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