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譜面作成における運指の位置など [音楽理論]

演奏に用いる楽譜は,記譜ソフトで書き直すことが多くなりました。

理由は,一段譜に音が重なるギター譜はごちゃごちゃすることが多く,左右の運指に加え,いろいろ書き込みをすると,非常に見にくくなるからです。書き込みなどをしなくても最初から見にくいものもあります。

書き直す際は,譜面の画像情報を変えないために,極力オリジナルと譜割りは変えず,連桁なども極力同じにするようにしています。それでは意味ないのでは?と思われるかもしれませんが,オリジナルを尊重しながら見やすく。というのが当方のコンセプトです。譜割りや連桁なども自分が見やすい様に変えるという手もあるのですが,当然オリジナルはそれも考えられている訳ですから,そこはいじりません。むしろ,ただでさえ面倒臭い作業ですから,余計なところはいじらず,見やすさのみに特化するというという事です。

あと,運指が書き込んである楽譜の場合,運指のない白い楽譜も欲しいからです。むろん適切な運指が入ったものは大変助かります。一から運指を振る手間が省けます。以前の指導者のアドバイスで,「大家の運指は一度は試してみる。」というものがあり,最初から変えるということは極力しないようにはしています。ただ,古い運指付けですと,「付けたご本人はこれでまともに弾けたのだろうか?」と思うようなものもありますので,それで延々練習しても時間の無駄ですから,今の自分にあったものに変えることになります。

その際,オリジナルの譜面にどんどん書き込んで行くとぐちゃぐちゃになって使い物にならなくなります。コピーに修正した運指を書くというのも,従来からやってきた方法ですが,もとの楽譜自体が見にくいものですと,きちんと練習するために綺麗な楽譜が欲しくなります(そう書くと,「自分はそんな事していません」というコメントをいただく場合がありますが,練習法は人それぞれです。「そうしろ」と言っている訳では全くありません)。何分書き直しは非常に手間がかかります。当方もその手間を掛けてもそれをする価値がある場合のみ行っているわけです。


さて,前置きが長くなりましたが,書き直す主な理由は,運指の変更です。白い楽譜に一から振り直す訳です。記譜ソフトで運指を書き込む手間は音符を書く以上に手間です。ですので,赤ペンなどで手書きのままという事も多いものです。弾いているうちに気が変わって変更することも少なくありません。そうすると,やはりぐちゃぐちゃになります。運指が固まって,演奏もそこそこ落ち着いたところで,またぞろ欲望が湧いてきて,確定版をきちんと書き込みたくなります。

そうすると,この身にまたぞろ煩悩が湧いてきます。
運指の位置です。上で書いた「記譜ソフトで運指を書き込む手間」とは,位置の調整です。
まともにギターの運指を書き込む機能が揃っているソフトであっても,運指の表示位置が思った通りの場所にすぽんとハマる事はまずありません。音符と遠く離れた位置でランダム(と思える様に)に付き,和音の場合などは指と音との対応がうまくつきません。従って,一つ一つ位置合わせする必要があります。これが非常に面倒です。良かれと思った位置に移動すると,符玉が妙にずれたりしますので,妥協点を見つけないといけません。譜割りを変えたくないので,これが余計に大変です。

musescore編集画面 3.jpg
MuseScoreによる譜面編集画面。運指入れに関して。赤マーク部は手動で修正した部分。青マーク部はデフォルト。緑のマーク部の操作で音符の旗の上下だけでなく,運指数字の場所の上下も可能。これによる変更もデフォルトに含む。
上図の譜例で,赤で囲んだ部分は変更箇所および問題箇所です。一段目の和音はデフォルトでは4小節目の青で囲んだ様な表示になります。それにより,上部に大きなスペースを食った間延びした譜面になりますので,全く使い物になりません。音符で譜割りが変わるのはまだしも,運指の表示によって譜面の体裁が変わってしまうのはいただけません。セーハ記号含め,運指画面はレイヤーを分けてもらうのが良いのではないかと思います。

以降,2段目2小節目の装飾音符の部分などは,デフォルトでは全く使い物になりません。左手の運指に加え右手運指,弦番号に,スラー,小セーハがあります。うまくバランスとって調整する必要があります。3段目はセーハ記号とタイの干渉,4段目は運指と三連符の3との干渉が問題です。
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U3

脱紙化はインボイス制度だけではなく楽譜にまで!!!
by U3 (2023-10-01 10:48) 

Enrique

U3さん,
そうですね。これは編集画面ですが,pdfでそのままタブレットで使うほか,プリントアウトすることも多いです。
by Enrique (2023-10-02 08:21) 

REIKO

「運指と三連符の3との干渉」や連符の3を運指と見間違う危険はピアノ楽譜でも良くあり、私は連符の3の方に思いっきりバツ印を付けています(笑)。
老眼が進んだ最近困っているのは、運指番号のフォントによっては「1と4」「2と3と5」が見分けづらいことです。
(古くからある版に多く、ヒゲや丸が大きすぎるのが原因)
運指番号は大きすぎるのも何ですから、小さくても見分けやすいフォントを使うことは重要ですね。
市販の楽譜もそこらへんもう少し配慮してくれると、こちらの手間が省けるのになあと思います。

by REIKO (2023-10-02 13:10) 

バク・ハリー

古い印刷物のフォントでは、「4」の縦棒が太くて斜めの部分が細い書体だと「1」に見えてしまったり、逆に「1」が五線と交わって「4」に見えたりして困ることがよくあります。
老眼&乱視なので。(^^) (いっそ弦指定だけでいいよと思う場合も。)
by バク・ハリー (2023-10-03 12:06) 

Enrique

REIKOさん,
3連符も分かり切っているような場合は,その3を省略したりもするのですが。
運指のフォントは独特なものがあります。私はアレは割と好きなのですが,記譜ソフトだと逆に(クサル程種類があっても)アレが無い場合があります。「運指の番号だよ」とはっきりするのは良いのですが,確かに1と4を見間違うことがありますし,2と3も苦しいですね。弦楽器だと5が無いのが救いですかね。ピアノ譜だと2段譜なのでスペースに余裕あるのは良いですね。
by Enrique (2023-10-03 13:54) 

Enrique

バク・ハリーさん,
古い譜面だと組版だと思いますので,そこの腕の見せ所なのでしょうが,不鮮明なものも多いですね。
その点最近のコンピュータ編集のものは綺麗ですが,記事にも書きましたが,運指の配置のせいで,譜面が乱れてしまうのは困りもので,本末転倒です。
運指をコンピュータ編集で書き込むのは手間な作業なので,白い楽譜に朱書きで手書きするのが一番のような気もします。
ですので白い楽譜を作り直すという意味もあります。
by Enrique (2023-10-03 14:03) 

U3

拙ブログへのコメント&nice!ありがとうございました。

以下、記事に関係ない話で恐縮です。
昨日のジャニー喜多川性加害問題の記者会見を見ていて、ああこの構図って、例のお山の●●の件と、極めて似通っているなと思った次第です。
日本人の当事者観の無さ、無関心さがこうした不法行為を許して来たのだと思うしかないでしょうね。
その事を<追記>で書いてみました。
by U3 (2023-10-03 14:12) 

Enrique

U3さん,
この件に全く興味ないですが,まさに日常風景だなという感じです。
by Enrique (2023-10-03 15:17) 

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