側・裏面板の憂鬱 [楽器音響]
前記事ではギターの側・裏面板としてのハカランダ材の希少性について書きました。
硬く締まった音質は,他の材では得られないという評価もあり,その希少性と相まって人気はうなぎ上りです。楽器の価格に希少性やネームバリューが左右するのはいうまでもありませんが,同じ作者のハカランダの楽器が500万円でシープレスのものが300万円ということもありますので,いわば,数百gのハカランダの価値だけで200万円余。貴金属なみの評価です。
宝石の様に珍重されつつも使えないとなれば,いきおい代替え材が探索されます。
ハカランダの代替え材として有名なのはマダガスカル・ローズウッドといわれるもので,木目を見ただけではブラジリアンと区別が付きません。
ブラジリアンと種も産地も近いアマゾン・ローズウッドというもの。
しかしこれも熱帯雨林産の材で,ワシントン条約による規制が掛かっています。インドローズと同じCITES附属書II で IUCN Red Listにも載っているようです。
ホンジュラス・ローズウッド,これも同上の規制。
ココボロ。
そもそも,ローズウッド類はすべてCITESの規制に掛かっているようです。代替材といえど,それなりに貴重なものです。
木目の画像を見ると結構異なるように見えるかもしれませんが,ローズウッド類は木目が多種多様です。図らずも図1と図2で見たように,同じブラジリアンでも全く別の樹種のように見える事もあります。それぞれのローズウッド類が木目のバリエーションを持ちますので,(本物の)ブラジリアンでも他のローズウッド類に見えることもあれば,他のローズウッド類でもブラジリアンに見えることもあります。
インド・ローズはおとなしい柾目材が多いので一番見分けやすいかも知れませんが,ハカランダでも初期に使われた上質なものは柾目材ですから,却って間違われやすいという非常に厄介なものです。
木口を顕微鏡で見たり,心材抽出物が水溶性,水抽出物の蛍光反応(が生じないこと)で調べるのが確実のようですが,そもそも楽器では木口が現れるような使い方はありませんし,木口を見たり削ったり出来る製作家ならばいざしらず,楽器になってしまった材を素人が見分けるのはかなり難しいでしょう。
むしろ,年代と楽器の製作者から,「この年代のこの作者ならばこの材を使っているはず」と推定するほうが確実です。
次回は,実際の楽器の画像を見ながらチェックしたいと思います。
硬く締まった音質は,他の材では得られないという評価もあり,その希少性と相まって人気はうなぎ上りです。楽器の価格に希少性やネームバリューが左右するのはいうまでもありませんが,同じ作者のハカランダの楽器が500万円でシープレスのものが300万円ということもありますので,いわば,数百gのハカランダの価値だけで200万円余。貴金属なみの評価です。
宝石の様に珍重されつつも使えないとなれば,いきおい代替え材が探索されます。
ハカランダの代替え材として有名なのはマダガスカル・ローズウッドといわれるもので,木目を見ただけではブラジリアンと区別が付きません。
ブラジリアンと種も産地も近いアマゾン・ローズウッドというもの。
しかしこれも熱帯雨林産の材で,ワシントン条約による規制が掛かっています。インドローズと同じCITES附属書II で IUCN Red Listにも載っているようです。
ホンジュラス・ローズウッド,これも同上の規制。
ココボロ。
そもそも,ローズウッド類はすべてCITESの規制に掛かっているようです。代替材といえど,それなりに貴重なものです。
木目の画像を見ると結構異なるように見えるかもしれませんが,ローズウッド類は木目が多種多様です。図らずも図1と図2で見たように,同じブラジリアンでも全く別の樹種のように見える事もあります。それぞれのローズウッド類が木目のバリエーションを持ちますので,(本物の)ブラジリアンでも他のローズウッド類に見えることもあれば,他のローズウッド類でもブラジリアンに見えることもあります。
インド・ローズはおとなしい柾目材が多いので一番見分けやすいかも知れませんが,ハカランダでも初期に使われた上質なものは柾目材ですから,却って間違われやすいという非常に厄介なものです。
木口を顕微鏡で見たり,心材抽出物が水溶性,水抽出物の蛍光反応(が生じないこと)で調べるのが確実のようですが,そもそも楽器では木口が現れるような使い方はありませんし,木口を見たり削ったり出来る製作家ならばいざしらず,楽器になってしまった材を素人が見分けるのはかなり難しいでしょう。
むしろ,年代と楽器の製作者から,「この年代のこの作者ならばこの材を使っているはず」と推定するほうが確実です。
次回は,実際の楽器の画像を見ながらチェックしたいと思います。
私はカリンバで板が「ハリネズミローズウッド」のを持っていますが、これも記事で紹介されている各種の何とかローズウッドの仲間なんでしょうかね?
木目は黄褐色~焦げ茶色の縞模様が美しく、音もしっとり落ち着いていて気に入っている楽器です。
ただし重いです…でもオクメやクスノキなど軽い板のカリンバは相応に音も軽くなりますね。
色々な木のものを集めたくなるんですよね。
カエデや松のカリンバも欲しいなぁ…(^ ^;)
by REIKO (2023-05-04 17:27)
REIKOさん,
「何とかローズウッド」の仲間だと思います。最も貴重なブラジリアン(ハカランダ)と言え,昔は大きな丸太が港に膨大に積み上げられていたそうです。
どんな種類のローズウッドでも幅広材はいずれも稀少ですが,カリンバに使うサイズだと色々な素材が使えると思います。ギターでもブリッジやヘッドの化粧板くらいならよくブラジリアンが用いられます。
振動体を支える素材としてはある程度硬く重い材が良いのでしょう。
ギターでは,表板が振動体(よくある誤解が弦が振動体だと思われる事ですが)でスプルース(ドイツ松)やシダー(米杉),それを支えるサイド・バックが各種ローズウッドもしくはカエデということになります。
by Enrique (2023-05-06 10:45)