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クラシックギターと噺家と [雑感]

先週だったか,春風亭一之輔なる噺家が,小学生の問題に答えるTV番組に出ているのをちらっと見ました。
落語が好きだという小学生の子役が,「一人で子供になったり大人になったり,間違わないですか?」という質問をしていました。

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なかなかgood questionです。
この噺家も真面目に答えていました。

「どっちかに入れ込みすぎては間違う。」
「この辺(自分の頭の少し上後ろを示して)の自分が冷静にコントロールしないといけない」
と言ったような回答だったと思います(細かな文言は異なると思います)。


なるほど,何人分かを一人でやるという点ではクラシックギターも共通です。
二人分くらいが多いですが,細かく言えば三人四人分くらいを同時に弾き分けます。

古典派の大家フェルナンド・ソルは,ギター曲を書く際,弦楽四重奏を想定した様です。確かに彼の(真面目に書いた*)曲はそのまま弦楽四重奏にもなり得るものです。


「(クラシック)ギターは小さなオーケストラだ」という言葉があります。
音域も音量も限られた楽器でそれを実現するのは,至難なことです。クラシックギターは,単旋律楽器でもなければ,和音専用楽器でもありません。両方同時にやる楽器です。メロディは大切ですがバスや中声部も重要です。やはり,弾いているのは一人ですが,別の自分が「この辺」で指揮者としてコントロールしないといけないのです。


クラシックギター独奏を初めて聴く人は,2・3人で弾いているものと錯覚する様です。当方自身クラシックギターのレコードを「興味を持って**」初めて聞いた時,そう感じました。もっともそう錯覚してくれる様な演奏は良い演奏です。

まさか噺家の話を2,3人で演っていると思う人はいないでしょう。1人で演っていると了解の上で,その話芸の綾を楽しむわけです。


*ギターブームだった19世紀,「もっと易しくしろ」の大合唱に答えるべく,どんどん易しい曲を書きました。
**興味なく聞き流すと,「ああそんなもの」と言う感じではあります。
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