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山本采和さんが第40回スペインギター音楽コンクールで第1位受賞 [演奏批評]

さる10月16日,台東区西浅草のミレニアムホールで行われた第40回スペインギター音楽コンクールで,以前紹介した山本采和さんが,第1位と聴衆賞を受賞したそうです。

昨年まではジュニアのコンクールでしたが,いよいよ今年は大人のコンクールでの受賞です。

自由曲の曲目は,グラナドスの「スペイン舞曲第2番『オリエンタル』」とロドリーゴ の「歌と踊り」です。
コンクールのチラシ。采和さんは31番です。日本スペイン協会のページ参照)
得意曲?のオリエンタルに,これまた難曲のロドリーゴ 「歌と踊り」。この模様の動画は今後公開される様ですが,それに先立つ6月12日にやはり同会場で行われた第44回ジュニア・ギター・コンクール入賞者披露コンサートのゲスト演奏が,YouTubeに上がっていました。昨年のコンクールで,全学年部門を通しての最優秀賞に選ばれた記念の,今年のコンクールでの招待演奏です。

6月12日ミレニアムホールで行われた第44回ジュニア・ギター・コンクール入賞者披露コンサートのゲスト演奏
このコンクールに参加した関係者から,彼女の演奏のすばらしさについて感嘆の声を聞きました。生演奏は更に素晴らしいものだったそうです。この時からスペインギター音楽コンクールまで4ヶ月ありますから,更に磨きがかかっていたのでしょう。こういう演奏をやられたら(コンクールってそういうものでしょうが),他の出場者は気の毒としか言いようがありません。

録音で聴いても,すでに立派な音楽家です。
ソルフェージュなどの基礎訓練もしっかりと受けており,すこぶる耳が良いのでしょう。杉と松の楽器2本使い分けていますが,銘器レベルでもなさそうです。

いちおう楽器を演奏する者としては,分析して何か得られるものがないか?少し爪の垢でもいただきたいものです。

何が良いのでしょう?
まず,単に音がでかいとか,速弾きをするとかとは別次元の,惹き込まれる力を持っています。技術面は進歩していますから弾けるのは当たり前です。むしろ演奏技術を感じさせない音色の美しさ,自然さ,自然な歌,息づかい。結構音色を変えていますが,昔の奏者がやった様なわざとらしさや恣意的な強引さが全くありません。どんな有名な演奏家の演奏でも,ちょっとここはどうかな?というところはあるものですが,彼女の演奏にはそういうところがありません。ここまで魅力的な演奏と言うのは,Marcin Dyllaか,Gabriel Biancoか。。。

これを聴くと,申し訳ないですが,並みの(大人の)演奏家のギター演奏が,子供の演奏の様に聞こえて来て,全く聴けなくなってしまいました。

P. S.
クロサワ楽器2Fの試奏フロアで行われた「銘器弾き比べ演奏会」の模様が上がっていました。

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風神

今の若い子達は、ジャンルを問わず、世界的な活躍は目覚ましいものがありますね。
by 風神 (2022-11-08 19:19) 

Enrique

風神さん,
演奏技術は当然としても,素晴らしい感性です。バリバリ弾ける人は沢山いますが,ここまで惹き込まれる人は滅多にいません。これは国内コンクールですが,今後じっくりのびのびと勉強して海外での活躍も期待したいものと思います。

by Enrique (2022-11-09 06:39) 

Ujiki.oO --> 人の脳と瞑想

かつて、盲目の天才たちが豪雪地帯を死をも乗り越えて、寒さに抗って歩いて、そして歩いて案内された狭い民家の狭い部屋には暖房も無くて、それはそれは凍てつき、体も指も動かない瞬間から、津軽三味線の撥が撃ち込まれる・・・ いつしか集まった人々の熱気と演者の鼓動が三味線に伝わって、糸が緩んでしまう。 どんどん狂う糸。 演者は切れるか切れない程の撥を打ち続けながら糸を締め直す・・・

 エンリケさんの過去記事で既に教えて戴きました彼女のギターは、もう死ぬ位に繰り返し拝聴しました。 そして、この記事でYouTubeを聞かせて戴きまして、素晴らしい。 途中でギター本体を変更し、それはもう「音が走る」ことを実験しているのですね? 8分10秒前辺りから彼女の運指に「遊び」が見られました。 豊潤な人生経験を得て「遊び」を試せる程に魂が進化(?)した。 淑女が脱皮するのは・・・・ きっと大人になったのでしょう? 涙が出る程に聞き入りました。 エンリケさんは、頭脳も耳も一流です! エンリケさんの過去記事で教えて戴いたと言う出会いに感謝!! ありがとうございます。
by Ujiki.oO --> 人の脳と瞑想 (2022-11-12 10:08) 

Enrique

Ujiki.oOさん,
熱烈なコメント,ありがとうございます。
おっしゃる「いわば魂の叫び」と,彼女の「美への挑戦」は,演奏行為という意味では共通項があるのだろうと理解します。本来は演奏行為は一期一会のものですが,繰り返し聴いてもその良さが分かるということは本物なのだろうと思います。当方は一回のみ聴きましたが,他の方の演奏がワンフレーズ聴けなくなってしまいました。
by Enrique (2022-11-13 06:03) 

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