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補助具に関して [雑感]

ワークを万力で固定すれば楽な作業を,手で持ってやると大変です。
作業に関係のないぎゅっと持つという無駄な力が必要で作業が捗らない上にケガの危険性も高い。何も良い事はありません。

複雑な重作業はしっかりとした固定無しでは決して出来ません。手で持って出来る作業は,ごく軽い単純なもののみです。

ギターなどの楽器演奏に関しても全く同じことが言えます。

鍵盤楽器の様に据え付け型の楽器の場合は,フォームの問題です。むろんそれはそれで重要ですが,持って演奏する楽器の場合は,その保持が問題です。

クラシックギターの保持は,少なくとも古典派の時代の200年前から,そう大きな違いはありません。足台にのせた左足の腿にくぼみをのせる。

ただし,クラシックギター以外のギターの構えは,千差万別です。楽器や弾き方がかなり近いフラメンコギターであっても全く異なります。右足の腿に載せて楽器を水平に構えます。さまざま種類の楽器の構えを見慣れている一般人には,クラシックギターの構えの方が奇異に映る様です。


構えが全く異なるクラシックギター以外の楽器も対象にすると話が発散するので,クラシックギターの構え方のみを話題にしてにも細かな変化は起こっています。

左足を楽器のくぼみに乗せ,サウンドホールを体の中心に持ってくる基本は同じでも,かつて当方がやっていたのは,右手を添えての楽器の安定でした。それが当たり前かと思っていましたが,現在の指導者に就いて最初にやったのが,右手を添えずに楽器だけでの三点支持での固定でした。

フォーム1.jpg
現在のフォームの基本と思われる三点支持(S.テナントのパンピングナイロンより)。図では右手を添えていますが,右手を離しても楽器が静止することが重要です。

手を離してピタリと楽器が安定する状態が基本と教わりました。
冒頭の万力作業の例えではありませんが,そもそも楽器を手で持ったり支えたりしていたら,演奏に注力出来ません。左手はもちろんのことで,握っていたら大きなポジション移動などが出来ませんので,これは,はるか昔からの基本です。近年では,右手を離しても,右肘で楽器を押さえなくても安定させることが基本なのです。

見た目は似ていても,原理が重要ということです。
過去の巨匠たちのフォームも少しづつ異なります。クラギの人間から見たらかなり異なります。形だけを真似てもダメと言うことです。そもそも体格は人それぞれ異なります。自分の体と楽器で,力学的にピタリと定まるフォームを見つけないといけません。

原理が重要で,フォームはその結果なわけですから,三点支持でぴたりと固定さえすればむしろフォームのほうにヴァリエーションが生まれます。

そこで現れるのが,補助具の使用です。楽器単体で三点支持でぴたりと固定するには,足台に左足をのせる必要がありますが,補助具を使用すれば,左足を上げる必要がなく足台が要りません。
最近ではこの種の器具を使う人も増えてきた様です。

この方も補助具を使っていますが,目立たず種類は確認できません。
楽器の構えは,多くの人の試行錯誤もあり永年掛けて最も合理的なスタイルになっているので,それを無視してオリジナルなスタイルでやっても良い事はほぼありません。独学で陥りやすいワナの一つがそれです。当方がそうでしたが,構えなど二の次三の次で,練習さえすれば良いと思ってしまうのです。練習の時と本番の時で構えが異なってうまく弾ける訳もないですし,逆に悪い癖や習慣を付けてしまうのでした。若いころは,体の柔軟性もあるので,多少のムリがあってもそこそこ弾けるのですが,最新の合理的な構えでやれば,まずはムリなく弾けるのです。


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