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クラシックギターの弦交換について [雑感]

クラシックギターの弦は,アコギやエレキ,マンドリンの弦とも異なり,単なる切っ放しの弦です。
ボールエンドもループエンドもついていません。

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図1.現在のスチール弦アコースティックギター(左)とナイロン弦クラシックギター(右)の弦の留め方。
張り方が謎だという方がいるようです(当家の女性陣はそうです)。

ギター教室で直接学ぶとか,現在ではウェブページを探せば詳しい説明が有ります。弦の結び方を教わった事の無い当方としては「見ればわかるのでは?」とつい思ってしまいますが,やったことが無い方にはトンとわからないようです。伝え聞く話によると,教室で先生にやって貰っている生徒さんがいるとか。ケチな当方などとしては,それではレッスン代がもったいないのでは?と思うわけですが。

クラギ弦の交換と掛けて,スキーのビンディングの調整と解く。

そのココロは,滑って外れないことです(何のヒネリもありません)。

ボールエンドやループエンドの弦ですと,緩みようがありませんが,単なるのっぺりなクラシックギターの弦では,結わえ方に少々コツが要りますが,滑って緩まない様に弦の張力によってぎゅっと締まってほどけないことです。弦の張力が弦の結びを締める方に作用しないといけません。これがテキトウだと一時的には持っても,直ぐに「にゅるにゅる」と滑って緩んでしまいます。特に弦の張力が掛かってから外れると,弦飛びが発生してしまいます。

当方は弦飛びという現象を実際にこの目で見たことが無いので想像ですが,表面板を傷つけるそのハゲしさからして,結びの甘さもあるでしょうが,必要以上に弦を張って切ったとかでは無いかと想像します。慣れないと弦の張り具合というのはナカナカ分からないもので,電子チューナーを使うにしてもオクターブ間違えたら元も子もありません。日ごろから標準調弦の音の高さになじんでおいて大枠は耳で合わせ,絶対値の微調整のみ音叉かチューナーを使うのが妥当だと思います。高音弦は伸びが激しいので,伸びの少ない⑤⑥弦を先に合わせ,それに高音弦を合わせるのがコツかと思います。①②③弦は2・3日は伸び続けますので,それに惑わされていると演奏が出来ません。後,結び目の緩みなどをキッチリと取る事も地味に重要です。

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図2.①弦横にある深い弦飛びのキズ。
余程激しい弦飛びだったのでしょう。
中古楽器で,ブリッジ部の表面板に激しい傷のあるものがありますが,「弦飛び」のキズですが,これはいい加減な結え方で弦が外れたり,強く張りすぎて弦が切れたりした際,弦の端部がその部分を抉った傷痕です。③弦あたりが一番やられています。これがある楽器はどんな扱い方をされて来たかを知る一つの目安になるかもしれません。

昔のガット弦では滑りにくかったでしょうが,現在のナイロン弦やフロロカーボン弦では滑りやすいので,弦の結び目をしっかりと殺す必要があります(恐ろしい表現ですが)。あるいは結えるのがどうしても面倒という方は,スーパーチップ*を使う手もあります。とはいえ,大したものではなくちょっとしたコツです。

モノフィラメントの①から③弦は特に滑りやすいので,グルグル巻きにした上で,ブリッジとの結び目が張力で締まるようにします。①弦は細い上に弦がかなり余る為か穴を2回通す方法もある様ですが当方はやりません。


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図3.当方の楽器の結び。
今はやりませんが,昔松の木の雪つりをやったことがあります。プロのやったものは美しいですが,そのコツは縄をケチらない事です。それにより手際よく美しく仕上がります。「見た目6割,実質4割」と聞きました。ケチな当方などは,上の方は短く下の方は長くなどとやるので,作業効率が悪い上に仕上がりも悪いのです。

ギターの弦は,雪つりの藁縄ではありませんが,どんな不器用な人でも大丈夫なくらいかなり長めに用意されているので,余裕を持たせて張り,交換作業終了後は短くキレイに切り揃えます。やったことのない人が,キレイな出来上がりだけ見ると,大変そうに見えるかもしれませんが,「松の雪つり」の様なもので,長めにやって余分をビシバシ切るのです。図3は当方の楽器の弦の結びです。低音側は当方の流儀でひとねじりしてあります。ループ状にする流儀もあります(図1右側がそれです)。機能的に差は無いと思います。低音側もぐるぐるねじる人もいますが,低音側はフリクションが強く緩まないので敢えてその必要はないと思います。


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図4.糸巻ローラー部。当方の別の楽器。
こんなに巻き込む必要はありません。
なお,ブリッジ側のみ注目されがちですが,糸巻き側もゆるまいないよう,スリップ防止策を取っておいた方が確実です。弦が柔らかいという特徴は,クラシックギター特有の音色の源でもあります。弦をしっかり結ぶというのは(当たり前ながら)重要な事だと思います。

最期の余分な弦の切り揃えですが,当方は電気工事用のニッパーを使っています。軽く切れるこれが一番です。結構硬いので無理にハサミなどで切るのは危険です。爪切りもヤワ**です。

あと表面板等に傷を付けないよう注意深くやるわけですが,丁寧な人は厚紙や布などを敷いてやるようです。マジメにやると結構時間が掛かります。よく替える人は慣れているので早いのかもしれません。妻が使っている楽器の弦替えを頼まれて,朝やったところ,10分くらいのつもりが30分くらいかかり,朝練の時間が無くなってしまいました。

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  • 出版社/メーカー: ホーザン(HOZAN)
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: Tools & Hardware

*これはGG社のネーミングですが一般名称は何ていうのでしょう?「クラシックギター弦用エンドピース?」現在色んな形状のものがあります。弦替えの省力化というよりも音をハッキリさせるという効果で発売されたものです。
**老人の足爪用などのしっかりとしたニッパータイプならば良いかも知れません。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

私は、図1の右を基本としています。ただし最近は、3弦は6~4弦の様に輪っか状にしています。2弦は2回ひねりですが1弦は3回ひねりです。以前2回ひねりで抜けた事があったので、1弦は厳重に3回ひねりにしています。
蛇足ですが、弦のしっぽは下向きにするのが私の好みです。(^^;

by たこやきおやじ (2021-06-01 10:48) 

Enrique

たこやきおやじさん,
各人流儀はあるようで,基本さえ守られていれば細部は好みですね。
当方はしっぽの向きは行きがかりでどっちとも決めていないですが,どちらかに統一はしますね。
by Enrique (2021-06-01 18:39) 

アヨアン・イゴカー

バイオリンの絃の張替えでは、何度か失敗し、基本的なことに気づいたりしております。何でも、ろくに調べないで思い込みでやってしまう癖は非常によくない、と反省しております。バイオリンの場合、巻き方をよほど注意しないと隣の絃に接して、弦を痛める原因になってしまうのでした。交換した二本目の弦が切れた時に気づきました^^;
本件には関係ないのですが、PCにお詳しいEnriqueさんにご教示頂きたいことがあります。
私の古いPC(XP)にWord2003が入っていて、その文章を友人にメール添付で送りました。先方のPCでマクロが入っている、と表示されたようなのですが、ワードでマクロは使用していません。彼はこのワードファイルがウイルスに感染したりしていないか、心配しています。そのようなことはあるのでしょうか?私は古いwordは慣れているので、そのまま古いPCでは使いたいと思っているのですが。宜しくお願いします。

by アヨアン・イゴカー (2021-06-02 00:48) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,

マクロウイルスはかなりあるもののようです。ワードやエクセルのマクロ機能を悪用したウイルスはさほどの知識がなくても作れてしまいます。
マクロを使ってないのに,先方のPCがマクロ付きと反応するというのは可能性ありとみないといけないでしょう。
先方のウイルスチェックソフトが反応しているのでしょうか?

ウイルスに関しては当然危険サイドに見ないといけませんが,大丈夫なケースとしてはアヨアンさんが無意識にマクロの操作をしてしまったファイルを先方のPCが警戒しているという可能性も無くもないですが,全くその意識がないならばマクロウイルスの可能性が大でしょう。

ワード2003以前のバージョンではファイルの拡張子はマクロ無しも入りも,ファイル名.docですので,開いてみるまでわかりません(善意か悪意かも分かりません)ので,使わないのが得策でしょう。ワードファイルは非常に多くの人に使われているのに,滅多に使われないマクロ機能がついており,それがマクロウイルスに悪用されてしまうという危険なものです。その為,想像ですが新しいPCでは2003以前のワードファイルはマクロが付いている可能性があり全て危険としている可能性もあります。

ワード形式では無く,書式が関係なければ単純テキストファイルにするか,pdfにするかですが,面倒なので,標準のワードファイルのままが良いというのが人情でしょう。ウイルス作成の悪人はそこを狙います。

危険性のあるものは使わないのが一番良いと思います。
しかしながら,Windowsは,XP, 7, 8, 10とどんどん操作が変わりますし,ワードソフトも全然別のソフトかと思うほど操作が異なってしまいます。開発する社内の連携が取れてないどころか敵対しているのでしょう。顧客の利便など全く考えていません。

現在のPCとワードソフトを使い続けられたいとすると,危険は覚悟する必要があります。自己責任のみならず,他の方にメール添付で送るのは感染を広げる事になりますから,絶対に慎まなければならない行為です。

アヨアンさんXPの機械にはアンチウイルスのソフトは新しいものが入っているのでしょうか?仮に入っていてチェックしてもMS自体が放棄しているOSとアプリですから,使われない方が良いと思います。
by Enrique (2021-06-02 06:37) 

アヨアン・イゴカー

Enrique様
詳しいご解説、有難うございます。
早速、友人にすぐ伝え、今後は新しいWordはバージョンを購入して使うようにします。
重ねて、御礼申し上げます。
by アヨアン・イゴカー (2021-06-02 11:14) 

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