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力が抜けるという事 [雑感]

「脱力」に関しては,
このブログでも何度か扱って来ました。

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さすがに,「『脱力』は悪いこと」というイメージは無くなり,「力が抜けたら弾けないじゃないか」というようなツッコミも,さすがに現在ではあまり無いと思いますが,誤解の多い語でもあります。

逆に,「脱力」が市民権を持ってくると,「果たして自分は『脱力』が出来ているのだろうか?」という不安感に駆られる人もいるようです。

その気持ちはよく分かります。
なぜなら,私当人がこのブログを書き出したころはあまり脱力できていませんでした。
ある時,ふっと,「あれっ,なぜこんなことに気づかなかったのだろう?」という気持ちで力を入れない弾き方を感じました。

端的なのが左手です。かつては左手の重みを使わず,握力で押さえていました。これではスムーズに弾けるわけがありません。ただ全く分かっていなかったわけでは無く,意識が出来ていたか出来ていなかったかです。稀に力が抜けて良く弾けるときがありました。

良く弾き込んでいて,手のさばきが自然に無理なく行った時です。
「上達する」というのは,無駄な力が抜けて最小限の力で弾けるようになるということだろうと思います。練習途上だと余分な力が入っています。むろん暗譜する(当方は出来ないですが)というのも,余分な力を抜くという意味では必要な事だろうと思います。その証拠に,譜読みや初見で弾こうとしている時は体のあちこちに無意識に力が入っています。譜面を見るにしても,余裕を持って先読みしていける状態でないと使い物になりません。

世の中には全く力が入らない弾き方をしている方もいるようです。理想的な弾き方かというとそうでも無くて,蚊の鳴く様な音しか出ない。エナジー・ミニマムの観点からすれば,力がゼロというのも一つの解ですが,それでは演奏になりません。必要な音量を出すのに必要最小限の力を使う。ということです。左手で言えば音がビラない程度に腕の重みを使えれば握力はゼロでも良いわけですが支える力は必要ですし,右手は大きな関節を使って,弦を隣の弦や指板に触れる程度まで押し込む力がマキシマムです。それはそんな大きな力ではないはずですがゼロではありません。

March Break Homework: RELAX!より。
当方の場合,ものすごいエネルギーを使って汗だくになり息も絶え絶えで,蚊の鳴く様な音の演奏しか出来なかったことがありますが,無駄な力の最たるものだったのでしょう。最初から脱力できるのが理想です。しかし言葉のアヤながら,抜くというのは,無駄な力も目一杯入れてみないと分からない感覚なのかも知れません。入らない力を抜き様がありませんので。

「脱力」を一般人が聞くと,クタクタでだれたイメージになります。むろんそんな状態で演奏ができるわけもありません。むしろ,意味は広まってしまいますが「リラックス」と言った方が良いのかも知れません。
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