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曲名・作曲者名などの正確な記述について [雑感]

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演奏会のプログラムを作る時などは,普段テキトウに言っていても,きちんとした記述にしないといけません。

スペインのフォリアを「フォリャ」と記述していて直された事があります。当方は長年「フォリャ」だとばかり思っていました。一旦思い込むと,正確に記述されているものを見ても目がいかなくなるものです。

例えば地名などでも,「カムチャッカ」半島だとばかり思っていましたが「カムチャカ」半島が正しい表記のようでロシア語知らないので言われるとおり従うしかありません。フィリピンの事をフィリピンとする人もいます。父などがそうでしたので昔はそう言ったのでしょう。英語表記Philippineからすればその方が合っている様には見えますが現在はフィリピンが普通です。

作曲者名にも毀誉褒貶?があったようで,現在ベートーヴェン表記が主流のようですが,ベートホーフェンとかベートーベンとか。Vの発音に関してはヴを当てるのが通例のようです。Vivaldiはヴィヴァルディ,楽器のviolinはヴァイオリン。でも例外はあります。Segoviaはセゴビア。本ブログでは初期の頃セゴヴィアと記述していましたがスペイン語ではvとbの発音は区別しないのだそうで,セゴビアにしました。しかし,ベートーヴェンは英語の発音でヴを当てています。本来のドイツ語の発音ではベートホーフェンのようになって発音的にはvもbも関係がありません。セゴビアも英語発音で行くならセゴヴィアでも良いはずです。

しかし英語発音で行くならMozartはモザートでなければなりませんが,なぜかこちらはモーツァルトです。まあこの辺は,昔からよく言われます。モーツァルト・フリークの小林秀雄は「モオツァルト」としていました。

余談ながら,アメリカに行った最初,街で会う人会う人から,「ハイドン」,「ハイドン」と言われるので,何で私がハイドンなんだろう?と思ったら,How are you doing?が日本語耳の当方には作曲家の名前に聞こえたという,ネタのような話です。

「ハイドンとは挨拶の事かと作曲家」



カタカナ表記には,それなりにガイドラインはあるのでしょうが,いずれも正解がないですから,各自自分が信じる表記にする様です。それと現地名で行くか英語名で行くかも慣習的の様です。尤も当人自体,自国から離れて活動する際にその国風にしてしまうという事もあります**。 まああまり極端なものでなければ分かりますが,ドビュッシーの事をデブシと言われて一瞬誰のことかわからなかった事があります。かく言うドビュッシーも昔はドビッシーとされていました。



ポーランドで観光しようとした時,各国用の観光用のパンフレットが用意されていて,日本語のものもあったのですが,中身見て辟易した記憶があります。現地の難しい地名の呼び方が全てカタカナ表記なのでした。親切心なのでしょうが,これでは現地の表示と全く対応がつきませんのでカンベンしてもらいました。英語のものは,地名など固有名詞がそのまま記述されており,現地名を何て発音するかは別にして対応がつくのでずっとありがたかった記憶があります。カタカナ化に馴染んでいる英語圏ならばまだしも,非英語圏で無理やりカタカナ表記されてもさっぱりです。翻訳できない固有名詞は原語のまま埋め込むのが一番良い様に思います。



作曲者名に戻れば,Carulliはカルリ表記が普通ですが,カルッリという方もいます。同じ伊の作曲家Corelliは現在コレッリ表記が普通ですので,そのうちカルッリの方になるかも知れません。Tárregaも表記がブレます。標準はタレガでしょうが,かつてはタルレガ,当方もそう書いていたかも知れません。もう一つはターレガ。これが発音に近いのかも知れませんが,あまり使われません。そういえば,「エミリオ・プジョール/浜田滋郎訳『ターレガの生涯』」は読んでおかなければと思いつつ読んでいません。作家の方は言葉にこだわりますから,最も良いと思われる表記にするのでしょう。この原著作者のEmillio Pojolもプジョール表記が普通ですが,標準スペイン語発音ならプホールでしょう。ただ彼はカタルーニャ出身なので,カタルーニャ語ではプジョールになるようです。しかし新版では「『タレガ』の生涯」となっています。プジョールも現在は「プジョル」とするようですが,この本が出た時点ではプジョールでした。

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作曲者名でちょっと変則的なのが,ハイフネーションなどです。
例えば,リムスキー=コルサコフ。ローマ字表記でNikolai Andreyevich Rimsky-Korsakovです。フルにカタカナ表記すればニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフとします。
まず,日本語ではあまりわかち書きをしません**ので,スペースは「・」で埋めます。問題はリムスキーとコルサコフの間の「=」です。元の表記では,ハイフン"-"でつないでいます。これは欧米人などでよくある複合名です。当方は英数の"="を使っています。全角の「=」を使う方が普通かも知れませんが,これは本来等号ではなくダブルハイフンですので,その様にしています。

ギター関係でも,カステルヌオーヴォ=テデスコとかモレノ=トローバとかが目につきます。ヴィラ=ロボスもそうですが,彼の場合は欧米人の複合名とは少々異なるとのことです。いずれにしても,どちらの姓も必要でそうなっているので,それを勝手に略すのはマズイでしょう。欧米圏では長ったらしい名前を愛称的にいう場合には,イニシャルにして,C-TとかM-Tとか言うようです。ヴィラ=ロボスは音節が長くないですからV-Lと言ってもかえって言い難いです。


*余りにも言い間違えが多かったりすると,毎回直すのが嫌になってくるということもあると思います。その国風にした方が面倒無さそうです。
**署名の際,姓と名の間にスペースを入れることは日本語でもよく行われますが,文章内に記述する際は姓名続けるのが通例です。
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コメント 4

Cecilia

Corelliは”コレルリ”で覚えました。そういえば「コレリ大尉のマンドリン」という映画がありますがCorelliですよね。ちょっとのことで印象がまったく変わってしまいます。カタカナにするなら”コレッリ”が良いですね。
カルリもギターの練習曲で弾いた経験がありますが、確かに”カルッリ”ですね。

by Cecilia (2021-04-03 08:18) 

Enrique

Ceciliaさん,ちょっとした事なのですが,印象が変わります。
固有名詞は原語のままが一番いいと思うのですが,カタカナ表記も必要です。年代によって変わったりもしますので,その際の記述の仕方で年齢も分かったりしますので,最新の書き方にしておいた方が良さそうです(笑)。
by Enrique (2021-04-04 12:59) 

けんいち

カタカナ表記は難しいですね。デュアルテも最近はデュアートと言ってますね。イェラン・セルシェルもイョラン・セルシェル、ゲレン・ソルシャー、ヨーラン・セルシュールとかいろいろ言われてましたしね。
「ギョーテとは俺のことかとゲーテいい」ですね。
by けんいち (2021-04-04 19:02) 

Enrique

けんいちさん,
全くそうですね。昔はデュアルテと言っていたので,そう言うと歳がバレそうです。デュアルテいやデュアートはイギリス人なので,英語発音で良いのですがなぜか非英語圏の様なデュアルテと呼ばれていました。セルシェルはスウェーデン人なので発音が難しく,色んな言われ方をしていましたね。
by Enrique (2021-04-04 23:02) 

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