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フルプラントの効用 [演奏技術]

久々にギターの技術的な話題です。「フルプラント」,ないしはプランティングに触れます。

旧奏法をしていたころは,右手のフルプラントという動作を知りませんでした。
もっとも,ソルの魔笛変奏曲Op.9の第4変奏(譜例.1)とか,やはりソルの練習曲Op.32-1の連符とかOp.32-2の32分音符のところでやっていたわけですが,このテクニックを意識する事でその効果的な使用法と,また使えないところへの意識を確認することができると思います。

譜例.1 Fernando Sor Op.9のVariation IV。
ネーミングなんて知らなくても自然に出来ていれば良いのでは?と言う考え方もあるでしょう。しかし,やはりそれと意識することで学習効果は格段に異なるものです。そのような一種,道具立てを知るということは色々な分野でも見られることです。むろんそれが無意識下にまで昇華できれば完成です。天才肌の人はそういう事が首尾一貫して自然にできるのでしょうが,凡人は一つ一つの積み重ねが重要です。

いわば和音の準備動作です。同時に弾けるわけですから,バラすのもわけありません。下からpimaの順にバラしたり,pppimaとやればフルコード・フルプラント?になるわけです。魔笛変奏曲の同変奏ではpaimも使います。

一時期流行ったR.ディアンスのタンゴ・アン・スカイに散りばめられるパッセージ(譜例.2)や,ヴィラ=ロボスのプレリュード第2番の変則アルペジオ(譜例.3)もフルプラントからの応用版と言えると思います。いわばギタリスト御用達技術です。
譜例.2 Roland DyensのTango en Skaiのパッセージ。
譜例.3 Villa-LobosのPrelude第2番のアルペジオ個所。
この辺の部分はギタリスト作曲家だから書けるものと思いがちですが,タンスマンのカヴァティーナ組曲のプレリューディオの7小節目の3拍目から始まるアルペジオも,セゴビアのギター的パターンではなくオリジナルで弾こうとすると,pimのプラントで弾く方が弾きやすくなります(譜例.4*)。

譜例.4 TansmanのCavatine(Zigante)編よりPreludioのアルペジオ個所。

*こちらの記事で取り上げました。
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