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近況 [日常]

2020年・謹賀新年

暮れから,酔狂?にもジュリアーニに取り組んでいます。ジュリアーニと言えば,思いつくところは120の(アルペジオ)練習曲,練習曲Op.48,パピオン,ソナタOp.15,3つのソナチネOp.71,フォリアによる変奏,ヘンデルの主題による変奏,大序曲,6曲のロッシニアーナ,3つの協奏曲,まだまだ沢山あると思います。ソナタ・エロイカがOp.150ですから,少なくとも150曲(とうぜん練習曲集などはセットで1曲と数えて)はあります。ソルよりも作品数は多いと思いますが,取り組んだ曲目は極端に少ないことに気がつきました。

もっとも,少ないというソルの作品でさえ,そう沢山は弾いていませんが,ジュリアーニ程でもありません。 そこで,古い石月編の曲集を引っ張り出して弾いています。

時代性なのか,少し退屈に感じるものもありますので,気に入ったもののみ真面目に取り組んでいます。ジュリアーニの曲はテクニックが独特で,演奏に工夫を要するものもあります。

現在弾いているのは,ソナチネOp.71の第3番です。Op.71だけでも3曲入っていて,合計22ページあります。
第1番と第2番が3楽章構成,第3番が4楽章からなりソナチネというよりもソナタに近いものです。
長いですが,第1番,第2番は譜読みで初見的に弾けますので,楽しめます。
第3番も他の曲に比べれば弾きやすいのでしょうが,第1番,第2番に比べると,圧倒的に内容は濃い感じです。

第3番・第1楽章はAndante sostenutoで始まります。ニ長調6/8のゆっくりとしたテンポで始まりますが,ジュリアーニお得意の急速なカデンツァ風スケールが散りばめられます。ここは左右のシンクロが課題になります。また内声の動きの強調,従来私の課題であった⑤④③②で弾くDFisADの和音の押さえなどの確認に役立ちます。


つづく第2楽章は,Tempo di Marcia,4拍子で文字通り行進曲のテンポです。付点をするどく軽くするのが課題です。指定の運指ではスムーズに弾けないところもありますので,適宜合理的なものに変更します。あと,第1楽章もそうですが,ウイーン版を参照して,編者がつけたと思われるスラーで不要なものは取り除きます。第1楽章から第2楽章へは休まずに譜面通りに入る様です。ですから,4楽章あるとは言っても,Andante sostenutoが序奏的な役割を果たし,このTempo di Marciaとセットで第1楽章と言えるかもしれません。


さらに,Trioがつきます。ここは付点だらけの文字通りきれいに3声でできています。


ここを終了後Tempo di MarciaにD.C.します。技術的には,DFisADの和音の押さえの再確認と重音の付点の軽さなどが課題で,運指の問題を解決しながら進みます。ここまでの,Andante sostenutoとTempo di Marcia,Trioまででもかなり充実した内容で,ここまでを1曲として弾いても良いくらいだと思います。

第3楽章は,Scherzo com motoで3拍子ト長調です。拍子を変え,調はニ長調からの下属調になります。リズムが付点とそうでないものが交錯しますので,弾き方の工夫が要りそうです。私は付点のつかない時はレガートに,つく際はスタッカート気味に弾く事にしました。Scherzo com motoは「動きを持った諧謔曲」ですから,その様なテンポや雰囲気で弾きます。この楽章の主調からは属調にあたるDFisADの和音の押さえも時々出てきますので,運指や技術上の工夫が必要です。


この楽章にも簡単なTrioがつきます。



第4楽章は,華やかなFinaleです。Allegroで2拍子,調はニ長調に戻ります。型通りロンドです。当然何度も出てくる重音とつづく16分音符の動きのテーマはスムーズに弾きたいものですが,テキトウに弾くと引っ掛かりズッコケ風になりますので特に右手の運指の工夫が必要です。譜面には書いてないですが,私には(階名でいうドソミソの)アルベルティ・バスが伴奏として聞こえる様に感じますので,その伴奏に乗ったレガートで軽快なテーマが理想です。


途中でテーマは様々な変化を見せながら軽快に進み,ジュリアーニ得意(というかこの時代の標準的手法)の大見えを切った終わり方で終了です。


ジュリアーニ ギター名曲選  石月一匡 編

ジュリアーニ ギター名曲選 石月一匡 編

  • 作者: 石月 一匡
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 2004/02/23
  • メディア: 楽譜

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コメント 4

たこやきおやじ

Enriqueさん

「時代性なのか,少し退屈に感じるもの」私もそのように感じます。ギターの古典期の曲は、モーツアルトやベートーベンの曲ほど音楽的に昇華しきれていないものが多いと思います。(^^;
ギターの構造、機能的制限や当時の演奏技術の制限などによるものだと思います。特にジュリアーニの曲は、私はピアノでモーツアルトが同様の曲を作ったら、ここはこういう風にするのではと思う事がよくあります。(^^;
by たこやきおやじ (2020-01-02 10:05) 

Enrique

たこやきおやじさん,
モーツァルトやベートーベンは別格ですが,ソルやジュリアーニといえ,ボッケリーニやパガニーニ並の音楽能力はあると思っています。この二人以外のギター作曲家は急激に落ちますが。
ソルかジュリアーニかと言えば,私は間違いなくソルです。ソルはギターの特性をよくわきまえ,弦楽四重奏の音楽をギターに移し替えましたが,ジュリアーニはもっと奔放にギターの特性を生かしたいと考えたのでしょう。ソルとはまた異なった弾きにくさがありますので,新しい技術を身につけるべく取り組んでいます。今まで食わず嫌い的なところがありましたので。
by Enrique (2020-01-02 23:46) 

ネオ・アッキー

明けましておめでとうございます。
穏やかな新年をお迎えのことと存じます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
by ネオ・アッキー (2020-01-03 05:47) 

Enrique

ネオ・アッキーさん,
明けましておめでとうございます。
こちらこそ,どうぞよろしくお願い致します。
by Enrique (2020-01-03 08:14) 

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