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芳志戸幹雄のカルカッシOp60を聴く [雑感]

芳志戸幹雄さんといえば,昔NHKの「ギターをひこう」でテレビを通してお目にかかったのが最初でした。
当方がギター中断中の1996年に亡くなってしまっていたのでした。

当方が見だしたのが,1973年度の阿部保夫さんの終わりのころで,まともには74年度の荘村清志さんの初回からでした。

74年荘村さん,75年渡辺範彦さん,76年度芳志戸幹雄さんでした。
演奏のスタイルも取り扱う教材も三者三様でした。芳志戸さんの演奏は,それまでのお二人ともかなり異なるもので,独学3年目の当方の耳にはすこし生硬な演奏にも聞こえるほど理知的で鋭いものでした。

芳志戸さんは,むろんギターの典型的なレパートリーも弾いたのですが,自身で編作曲した独特な「ペルーの歌」とか,特に「聖母マリア頌歌集」からのギター編曲は,今ほど古楽が一般的でなかった当時としては画期的なものだったのではないでしょうか。

荘村さんのテキストではカルカッシOp60からの曲,No.9, 11, 13, 21などは初級編にとりあげられていたのですが,芳志戸さんの最初のテキストでは,Op60のもっと前の曲のNo.2やNo.6が中級編の後ろに取り上げられていました。

荘村さんの取り上げ方は当時のカルカッシの扱いとしては標準的だったと思いますが,芳志戸さんの扱い方は技術面もさることながら,音楽的内容を大事にしていた感があります。

ところで,芳志戸さんの演奏はリサイクルショップで発見したLPレコードのものです。
言葉は悪いですが,はきだめで鶴を見つけた様な気分でした。大変申し訳ない様なお値段で購入しました。

今聴いてみると,全くクセのない模範的な演奏なのにパッションも十分感じられる,素敵な演奏です。わざとらしいところが全くありません。40年も前の演奏とは思えない瑞々しいものです。

これを聴いておけば,当方のカルカッシももう少しマシな演奏になったのにと後悔です。むろん,また復習はしないといけないとは思っています。曲になっている練習曲は技術練習には効率が悪いと言われますが,やはり,カルカッシOp.60は,これを全曲きちんと弾くのは,技術練習のみならず,すべてにおいて古典ギターの基本でしょう。

芳志戸さんのレコードには世界初録音と書いてあります。
芳志戸さんのLPレコードジャケット
その後カルカッシOp.60の演奏には稲垣稔さんのものがあります。

カルカッシ 25の練習曲 作品60

カルカッシ 25の練習曲 作品60

  • アーティスト: carcassi
  • 出版社/メーカー: サウンド マトリクス
  • メディア: CD
いずれの方々も40代50代の若さで惜しまれながら亡くなってしまいました。
まさか,これを録音すると早世するというジンクス?では無いでしょうが。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

Enriqueさんがリサイクルショップに行かれるとは意外です。(^^;
私はOp.60はやった記憶がありません。Enriqueさんが古典ギターの基本と言われるなら、リハビリがてら練習てみようと思います。


by たこやきおやじ (2019-12-31 01:29) 

Enrique

たこやきおやじさん,
Op60を私は25曲通して2回やりました。1回目は1日1曲づつ仕上げるつもりでしたが,後半はそうは行きませんでした。さすがに2回目はもう少し真面目に取り組みました。
福田進一氏によれば,Op59も時々振り返るのが良いとのことです。例の溝カルとか阿部カルとか言われるものですが,かなり改変されているので,現在GGなどから原典版が出ています。かつてカルカッシというと易しい入門用の練習曲という位置づけでしたが,現在Op60は中級から上級への架け橋という感じでしょうか。

by Enrique (2019-12-31 08:48) 

プー太の父

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします。
by プー太の父 (2020-01-01 11:53) 

Enrique

プー太の父さん,
あけましておめでとうございます。
新年のご挨拶ありがとうございます。
こちらこそ,よろしくお願いいたします。
by Enrique (2020-01-02 03:55) 

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