基礎と基本 [雑感]
ギターの話では無いのですが，基礎と基本をごっちゃにしている方がいて，話がかみ合わなくなることがあります。
そういう方からしたら，基礎も基本も「初等の易しいもの」という認識の様です。
そして「基礎さえやっておけば良い」という意見が出てきます。
確かに言っていることに間違いはありません。しかし，「さえ」という表現に現れるように，「基礎」というものを「初歩的事項」だと誤認しているのです。
辞書を引いても，基礎と基本はかなり重なっていて言い換えが出来る部分も少なくはない様ですが，やはり２つの言葉がある以上，自分なりの考え方で明確に分けておく必要もあると思います。
「基礎さえ」やる事は容易ではありません。
そういう方の真意は，基礎を初歩的事項だと誤解した上で「難しいことをやる必要は無い」と言っているようです。基礎には，むろん易しい入口部分もあるかもしれませんが，きちんと押さえる必要があるため，ともすればハードワークなのです。だから「基礎さえやっておけば良い」のは正しいとしても，それは大変な事なので，ご本人が主張する意味とはかなり違うのです。
易しいからやるわけではなく，必要不可欠だからきちんとやるべきなのです。建物の基礎だと思えば分かりやすいと思います。建物の基礎つくりは普通専門の業者がやります。大きな建物ほどきちんとやります。上物にくらべて易しいわけではありません。当然難しい部分もあるでしょうから素人には出来ません。基礎物理学は応用物理学よりも易しいわけではありません。易しい事だけをやった基礎では完全にアウトです。
では，基本はどうでしょうか。
「基本」という具体的なモノは存在しません。いわば物事の根本や入り口を意味する抽象名詞です。「基礎」よりは多少入門的意味も含んでいる感があります。ですから，「基本さえ～」というのであれば「基礎さえ～」というよりはだいぶマシな印象はあります。
基礎と基本に関しては，いろんな解釈がある様ですが，私の考え方としては，以上述べたように「基礎」は具体的な意味とそれを基にした抽象的意味にも使われる語なのに対して，「基本」は完全な抽象名詞だということです。ですから，「基礎」にも基本部分はあり得ますし，「基礎」のひとつの対義語である「応用」にも基本部分はあり得ます。
基礎は文字どおり物事を支えるいしずえであり，基本は立ち戻るべきよすがです。
重なる部分もあれば異なる側面も持つということだと思います。
Enriqueさん
基礎と基本は、日本語だけでなく英語でも重なって使われている様です。私は「基本」は例えば「マナー」の基本と言った時はナイフやフォークの使い方やドレスコードの知識などを指していると感じています。すなわち「型」に重きが置かれていると思います。また「基礎」は「マナー」の「型」だけでなく、歴史的背景などまで幅広く含んだ知識などを指していると思います。だだ、私が辞書を調べた限りでは日本語も英語も明確な区別は無いように感じました。（＾＾；
それにしても、何故Enriqueさんがこの様な言葉にこだわるのかがわかりません。（＾＾；
by たこやきおやじ (2019-12-15 11:15)
楽器の場合、「基礎練習」とは言っても「基本練習」とは滅多に言いませんよね。
単にそうなっただけで、深い理由はないのかもしれませんが。
「易しい事だけをやった基礎では完全にアウト」は、音楽でも同様だと思います。
私は基礎練習が好きですが、あることが出来るようになれば、その上のメニューがあるものだし、同じことを続けるにしても「より速くより美しくよりラクに…」と追求すればキリがありません。
また身につけた状態をキープするだけでも、基礎練習はやり続ける必要があるので、「基礎をやったからもう終わり」ということは一生無いと思っています。
「基礎」という言葉に比べると、「基本」は狭く限定的なことがらだけを指しているように感じますね。
by REIKO (2019-12-15 16:15)
たこやきおやじさん，
当方こういうことにこだわる人間です。
辞書では重なった意味もあるので，敢えて私の解釈を述べております。
ギターでは無いと書いていますが，ギター含む練習事項において存在する課題ですので，こだわっております。
by Enrique (2019-12-16 09:04)
REIKOさん，
「基礎さえ」ではないですが，「好きな曲だけ」弾きたいという人がいます。もっともな事ですが，そうでない曲は「決して弾きたくない」と。大概の人は練習曲などの弾きたくない曲も弾かないと弾きたい曲も満足に弾けないと思うのですが，まあ素人の道楽なら好きにやれば良いのでしょうが，よりよく音楽をやるためには，むしろ基礎にこだわるのも一つの行き方でしょう。またそこの言葉の定義も，当人なりにきちんとしていれば，正確な言葉を用いてさらに抽象度を上げた次の段階があると思います。言葉の整理も物事の基礎だろうと思います。
by Enrique (2019-12-16 09:42)