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細部と全体の両立 [演奏技術]

分析の話を書きましたが,具体論となると個々の細かな話になります。
曲が仕上がるというのは,細部と全体の両立だろうと思います。上手なプロの演奏は細部が磨き込まれていますし,曲全体の構成も見事で惹き込まれるものがあります。

アマチュアが真似るのも大変だとは思いますが,むしろアマだからこそ,練習の工夫の余地は十分あると思います。一般に言われている話もあれば,個々のちょっとした工夫レベルの話にもなるでしょう。

運指の工夫は常にしていますし,練習方法の分析もやっています。
大枠の技術面と音楽面は切り離した方が良いと考えていますが,運指に関しては両立を目指すことになります。技術的にラクで音楽的にも優れた運指が理想です。おそらくギタリストの作品であれば,作曲家が実際に弾いた運指が最良に近いものでしょうが,ギタリスト作曲家であったソルやジュリアーニの作品であってさえも,様々な運指が存在・発生します。

単純な例を引きましょう。
以前,セゴビア版のソル練習曲20曲に取り組みましたが,その10番(正式にはOp.31-19)です。
こんな感じで取り組みました。
運指も含めたその具体的な練習のコツをこちらに書いています。
譜例を再掲しますと,
第1ステップ; これならばラクに弾けるはずです。これで終わりまで弾いてしまいます。
Fig.1 トレモロ省略版。冒頭から2音はpで弾きます。
第2ステップ; これも平気でしょう。
Fig. 2 一段階オリジナルに近づいた版。やはり上冒頭から3音はpで弾きます。
第3ステップ(オリジナル譜面):
Fig. 3 オリジナル譜面。pppにiを追加してソル指定のpipipへ。
この曲では右手のトレモロ連打がポイントでしょう。運指は各人の工夫の産物ですので後世の運指を否定するものではありませんが,当方にとってはオリジナルのソルの指定運指が最も弾きやすいと思いました。

ダメ押し的にその一般論です。

いつも同じような事を書いている気がしてきました。当然の事ですが練習曲は練習課題の宝庫です。
いわば練習曲は練習の仕方の練習でもあると思います。練習曲は弾きたくないという方がいます。もちろん超絶な天才か素人であればOKでしょうが,中間的な方ならば練習曲を練習しないと本当の曲?の練習もうまく行かないのではないかと思います。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

私は、練習曲なので色々な右指の組み合わせで練習すればよいと思います。ただ、音楽的に考えるとオリジナルのpipipがこの曲を引き立てると思います。
by たこやきおやじ (2019-12-13 12:04) 

Enrique

たこやきおやじさん,
たしかに練習曲の一般論としては様々な指の組み合わせというのもありでしょうが,ソルは明確にpiの技術練習を目的としています。しかも,他の運指を使うと私のとった練習方法も余り意味がなくなります。分解・単純化した練習方法で運指が変わるのは極力避けるべきと思います。練習曲の運指と言えどオリジナル尊重で良いのでは無いかと思います。
by Enrique (2019-12-13 23:49) 

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