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フステロの糸巻きを整備 [楽器音響]

アルカンヘル についているフステロが少々くたびれています。

フステロはスペイン製です。この手の製品はドイツやイギリスなどの非ラテン系の国の方がきっちり精密に出来ているイメージがあります。いっそ,最近の高性能なものに交換してしまうのも手かもしれません。

しかし,楽器本体スペインの中心マドリーで名工が製作したものですし,いちおうオリジナルのスペイン製フステロにこだわりたいところではあります。かの国の人は,機械的精度とかそんなチマチマした事には余りこだらない様で,ギアのかみ合わせが多少悪ければ,手でぐるぐる回して当たりが出るのを待つくらいのおおらかさです。日本人の様に目の色変えて精度にこだわる事はなさそうです。

ただ,当のフステロ社ですが,そのこだわりの無さが災いしたのか,すでに廃業しているようで,新品は手に入りにくくなっています。この楽器に付いているものは,ほぼラミレスタイプのもののようです。国産楽器に良く付いているヘッド側が竪琴のデザインになっているヤツです。たしかゴトー製の普及版もそうなっていて,松岡良治などについていたものもそのデザインでした。ラミレスコピーでしたからムリもありません。

何分見慣れているものですから,すぐに手に入ると思っていましたが,案外ダメです。FANAのページでは,ラミレスタイプは既に販売終了で,手に入るのはラミレスタイプでもトレドデザイン,フレタタイプ,エステソタイプとなっています。当然アルカンヘルタイプなどはありません。やはりスペイン人のアルカンヘルはその辺にはこだわらないようで,昔アンダンテで試奏した楽器でも随分と質素な糸巻きが付いていた記憶が有ります。当然ぎらぎらしたトレドデザインは似合いませんし,わざわざ他の銘器向けの糸巻きをとってつける気も起きません。

まず弦を外します。
ここは,付いているものを最大限生かすことにします。
まず,弦の交換がてら,弦を全部外した後,糸巻きを楽器から外します。留めている木ネジですが,古い楽器では替えられている事がよくあります。良くあるのが,プラスの頭のネジになっているものがあります。伝統的な(とはいえウォームギアのものは使われ出して100年程度でしょうが)糸巻きでは,マイナスネジの専用のものが使われますが,良く一般用のプラスネジのものに替えられていたりします。ネジの頭がうるさくなって,オリジナルのデザインと合いません。

私の65年製アルカンヘルにフステロを取り付けていたこの木ネジ,マイナスはマイナスですが,鉄製のものに替えられていました。木ネジを一回外すと,ゆるくなるためか,オリジナルよりも少し長い木ネジを使った様です(前の木ネジ穴を埋めると言う作業はしなかった様子です)。金メッキのプレート中に黒いアタマが目立って余り気分よろしくありません。

それもそうと,ウォームとギアがへたり気味です。ギターの糸巻きのウォームとギアは,ウォームがスチールでギアが真鍮製の様です。同一素材だとケンカをしてしまいますので,軟らかくて滑りの良い真鍮製のギアが硬いウォームに対してバッファになっている様です。精度の良いものであれば,さほどグリスも必要としないのかもしれませんが,やはり最低限の潤滑は必要でしょう。私はいつもMoS2(二硫化モリブデン)入りのグリースを使っています。これは荷重の掛かる摺動部などに好適ですので,ギターの糸巻き部にも良いと思います。ギターの糸巻きのウォーム・ギアにもそこそこ荷重が掛かっています。一個に付き10kgf近くの弦の張力が掛かりますのでバカにはなりません。

古い楽器などで,糸巻きのウォーム・ギアが固着して,渾身の力で回してもチューニング不能な楽器が時々あります。普及品ならば,新品に交換するのが最も手っ取り早いですが,それなりの糸巻きであれば,ひと手間かけるだけでそこそこ回復します。

糸巻きを外しました。
糸巻きを外します。
外した後,巻き軸をプレートからはずします。この際,外すと同時に巻き棒にギアを戻し,巻き棒に弦番号を振るなりして,今まで組んでいたウォームとの組み合わせが変らないようにします。

重曹水で煮沸
これを重曹水で煮沸します。これにより錆が落ち,金メッキの輝きも少し戻る様です。錆や汚れが落ちたのを見届けた後,よく水洗いして,乾燥させます。

再度組んで行きます。
巻き軸を付ける前に,ウォームのみでペグの回り方を確認します。当然軽くするする回るわけですが,ここでの回りが悪い様ですと,どうしようもありませんが,普通は僅かにガタがあってするする回る状態です。まず,ペグと受け部分の摺動部にグリースを練り込みます。回転させながら,注射器の様なもので隙間に注入するのが一番なんでしょうが,ここは多めにつけておいて,つまようじで隙間に入る様にします。

次に各ウォームにオリジナル位置のギアを取りつけていきます。

丁寧にやるにはギヤを付ける前のウォームやギアの谷間につまようじでグリースを摺り込んでいくのが良いと思いますが,面倒であれば組んでから,グリースを多めに乗っけて回転させて馴染ませて行くのでも良いと思います。

ペグの巻きの重さをチェックして,ギアの中心の巻き軸を締めるネジを調整します。ここをきっちり締めても,ペグが軽く回るのが正解です。ギア中心のネジをゆるゆるにしないとペグが軽く回らないとすると,組み付けの悪さが考えられます。かじっている様な場合は,かみ合い部にコンパウンドなどの研磨材を付けてぐるぐる回して修正しないとけません。

オリジナル木ネジで取り付け。
ペグの重さが一定に揃ったら,楽器に取り付けます。
その際,元の木ネジの穴は,爪楊枝とタイトボンドを用いて一旦埋めます。しかる後木ネジを打ちます。今回,木ネジをファナさんから購入したフステロ・オリジナルの金メッキのもの(@200円也)に戻しておきました(以前の状態はこちら)。

最後に弦を張りますが,テンションが掛かると,ローラーが引っ張られて,ヘッドの木穴の部分に触れますから,そこでの摩擦で,巻きの重さが変化するかもしれません。昨今のボールベアリング付きの糸巻きですと,その心配は無いわけです。

いずれにせよ,分解掃除してグリスアップしましたら,巻き上げがけっこう滑らかになりました。まだ当分いけそうです。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

良いコンディションで弾けるようになると良いですね。(^^;


by たこやきおやじ (2019-09-17 01:02) 

Enrique

たこやきおやじさん,
ボディは専門家に整備してもらったので良くなりました。
糸巻きは手付かずだったので自分でやりました。
当たり前のことながら,糸巻きの調子は演奏にも影響する事に気づきました。
by Enrique (2019-09-17 06:31) 

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