SSブログ

ブラームスギターと変わり種ギターの調弦 [雑感]

先日紹介した,ポール・ガルブレイスが演奏する風変わりな8弦ギターは,「ブラームスギター」と命名されています。

Fig.1「ブラームスギター」の外観(この傾け方はまだおとなしい方です)。


なぜブラームスかというと,彼がブラームスの「主題と変奏Op.21a」を演奏するために考案されたからだそうです。この楽器は8弦ですが,多弦ギターでよくある様に低音側に増やすのでは無く,両側に4度づつ音を拡張しています。すなわち,下からBEADGBEAです。

「ブラームスギター」の調弦.PNG
Fig.2「ブラームスギター」の調弦

多弦ギターはその目的に応じて,種類があります。2本ネックや3本ネックが流行った時期がありました。変りギターは現代の専売特許では無く,ソルやコストの時代にもあり,ソルは3本ネックのハープ・ギター"Harpolyre"向けの曲を作りました。

Fig.3 オリジナルのHarpolyreでソルの小品を弾くJohn Doan氏。

Harpolyreのチューニングは,真ん中が通常のギターのチューニングで,低音側の7本は半音階でE♭からAまで下降,高音側(構えて下側)に見える8本は,必ずしも高音では無くて⑤弦3フレットのCから②弦1フレットのCまで全音階で上昇するそうです。

コストの有名曲「秋の木の葉」各曲の中にも多弦ギターで無いと弾けない曲も散見されます。

一般のギター奏者が直ぐ弾けるかどうかは別として,ブラームスギターなどの多弦ギターは,音域的には演奏能力は飛躍的に高まる事が分かります。ちょっと手元のギター譜をブラームスギターで弾く想定で運指をふってみると,左手の移動が大幅に減る事が分かります。実際の楽器が無いのに妄想してしていても仕方がないですが,音域の増大,エンドピンを使ったチェロ的な奏法による左手の自由,音量の増大と,優れている所ばかり目につきますが,障害点としては,やはり楽器の入手の問題,拡張弦の使用弦の問題などが挙げられますでしょうか。もちろん,これで6弦ギターのオリジナル曲を弾いても意味の無い事で,ピアノ曲等のレパートリーを編曲せずそのまま弾けるのが強みでしょうか。

楽器の機能が拡大する分,ギターの可般性やすぐ弾けるお手軽さに多少影響が出るのは致し方ない事でしょう。
nice!(13)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 13

コメント 2

アヨアン・イゴカー

ネックが三つもあると、演奏が難しそうに見えます。
by アヨアン・イゴカー (2019-04-07 13:22) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
確かに演奏は大変そうですが,上下のネックの音は半音階と全音階で調弦され,ハープの様に開放弦で使う様です。
by Enrique (2019-04-07 16:58) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。