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小品について [雑感]

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小品というと,易しく気楽に楽しめる小さな曲というイメージがあります。

ギター曲なら,「禁じられた遊び」のテーマ曲とか,「11月のある日」とか,もう少し初歩的な曲なら,リンゼイの「雨だれ」とか,ワルカーの「小さなロマンス」とか。

「禁遊」も「愛のロマンス」ですから,ロマンスは小品の代名詞のようです。ギター曲なら2,3分の曲と言うイメージですが,ベートーベンの「ロマンス」はもう少し長いですから,必ずしも,演奏時間が短いというわけでも無く,必ずしも小品でも無いようです。そうでないと,「小さなロマンス」は「小さな小品」となってしまいます。もっとも翻訳で時々起こる現象ではあるでしょうが。

そもそも,小さい大きいはどこで区別するのでしょうか?演奏時間で何分以内が小品で,何分以上が普通の曲?ないしは大曲という基準も無いようです。短くても内容の濃い曲もあれば,その逆もあります。

「小品」は英語ならshort pieceでしょうか。
日本語の「曲」に対応するのはsong(うた),tune(しらべ),piece(作品)が対応するところだろうと見られますが,単にpieceを小品と訳している嫌いがあります。

pieceの意味が一片だから,小品と訳すのかもしれません。pieceは,musicという不可算のものの中の具体的な可算物としているだけだと思いますので,pieceは「小品」ではなく,「作品」でしょう。

それを特に感じるのは,ホアキン・ロドリーゴの"Tres Piezas Españolas"という作品です。そう長くも無い作品ですが,ギター曲としては必ずしも小品とは言えないと思いますし,とんでもなく難しいです。

piezasは英語のpieceに相当します。これが,「3つのスペイン風小品」とされていますが,「3つのスペイン風作品」が妥当なところだろうと思います。3曲ともまともに弾く人は少ないですが,さすがに村治佳織さんは10代でこれを弾いています。

パストラル

パストラル

  • アーティスト: 村治佳織,ロドリーゴ
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1997/11/21
  • メディア: CD

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アヨアン・イゴカー

小曲と言うと、短くて可愛らしい曲、口ずさみたいような曲、のような物を連想します。
Yiannis Giagourtas というギターリストのZapateado(Spanish tap dance)という曲を聴いてみました。「とんでもなく難しい」曲なのですね。
「小曲」というよりも「練習曲の一曲」のような印象を受けました。
昔、音楽評論家の野村光一がショパンの場合には、練習力でも立派な音楽になっていて、同時に前奏曲のような曲でも大変良い指の練習曲になっている、と言っていたのを思い出しました。
by アヨアン・イゴカー (2016-12-31 15:51) 

momotaro

明けましておめでとうございます
昨年は良い刺激をいただきありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い致します。
昨日は、ナイスとコメントをありがとうございました。また交流しましょう!
by momotaro (2017-01-01 00:35) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,明けましておめでとうございます。
セゴビアも3曲のうちの第1曲のファンダンゴしか弾いていません。
献呈された協奏曲「ある貴紳のための幻想曲」を除けば,独奏曲では唯一です。第2曲のパッサカリア,お聴きになった第3曲のサパデアード,3曲揃えて弾く人は余り多くないと思います。
ロドリーゴは盲目のピアニストで,楽譜が書けないので,やはりピアニストの奥様が採譜していますが非常に弾きにくいものです。第1曲のみ取り組んでみたことがありますが,オクターブ表記などをなされても,(運指が変わらない鍵盤とは異なり)読みにくいので,書き直しました。彼の特徴は変則的で弾きにくいスケール,音を抜いてわざわざ弾きにくくした和音など(ギターの技術を知らないだけだと思いますが)色々あります。
彼の代表作「アランフェス協奏曲」は献呈者のレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサが適切に手直ししたのが功を奏した様でオリジナルは演奏不能なうえ演奏効果も低かった様です。
彼の独奏曲も,曲としては面白いものですが,その難しさが楽器表現の為に役立っているのかどうか疑問なところがあります。練習曲と捉えても,楽器をよく知っていたヴィラ=ロボスなどとは異なると思います。セゴビアが弾かなかったのもその辺があると思います。
by Enrique (2017-01-01 06:43) 

Enrique

momotaroさん,明けましておめでとうございます。
こちらこそ,勉強させていただいています。
新年もいろいろ交流させていただければ幸甚です。
by Enrique (2017-01-01 06:46) 

よしあき・ギャラリー

今年もご活躍を!
by よしあき・ギャラリー (2017-01-01 07:24) 

黒板六郎

明けましておめでとうございます。
たしかに小品というと、初心者が最初に習う月光とかマリアルイサなんかをイメージします。それこそバッハの小品なんてあるんでしょうか?有名なメスエットくらいかなあ。あの曲もバッハ作ではないらしいですね。ギターのために作られた曲でも、ギターを知らない人が作ったらとんでもない小品になってしまう訳ですね。そんだけギターは特殊な楽器なんでしょう。
by 黒板六郎 (2017-01-01 15:43) 

Enrique

よしあき・ギャラリーさん,おめでとうございます。
こちらからも,お元気でのご活躍をお祈りします。
by Enrique (2017-01-02 10:14) 

Enrique

黒板六郎さん,おめでとうございます。
小品の捉え方は,人により違いますが,おっしゃるところだろうと思いますね。バッハはどれも大曲というイメージがありますが沢山ある鍵盤曲の組曲から一曲取り出せば,初級者向けの小品になります。ギターでは弾きづらいですが。リュート曲ではBWV999の小プレリュードとかが小品の部類でしょうか。あとリュート組曲ホ短調のブーレとか。
by Enrique (2017-01-02 10:19) 

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