SSブログ

弦のはじき方 [演奏技術]

何とも基本的な話ですが,すべての音を理想的にはじくのは結構大変なことと思います。
私が始めた頃はアポヤンドとアルアイレが代表的な弾き方でした。
同時和音やアルペジオやトレモロは当然アルアイレですが,メロディはアポヤンドでしっかり弾き分けるというのがかつての考え方でしたが,現在は余りアポヤンドは使われません。アポヤンド多用は右手のバランスを崩し,手の負担になるからです。私はかつては弾けるところはすべてアポヤンドしていました。何の疑念も持たずにそれをやっていました。メロディは勿論,パッセージのスケールなどもアポヤンド。アポヤンドで弾き切れないのは練習が足りないと思ってせっせとやっていました。

クラシカルギターはすべての音をきちんと美しい音で弾くのが基本です。
アポヤンドはしっかりとした音が出ますが,どう頑張っても同時にできるのは低音高音の2音までです。普通は1音のみです。アルペジオに混ざるメロディなどをしっかりとした音で浮き立たせたい場合は,現在でも有効な奏法だと思います。具体的に言えば,禁じられた遊びの「愛のロマンス」やソルの「月光」練習曲Op.35-22のメロディ部分です。マイヤーズの「カヴァティーナ」だってそうです。ブローウェルの「11月のある日」のメロディはあまりアポヤンドで弾かれない様ですが,私はやっていました。「一音入魂」の様にアポヤンドで珠のような音を出すことも場合によっては必要でしょうが,それを多用していては疲れてしまいますし,曲全体の中で,ここぞとばかりに美しい音を出すのは現在のスタイルには合わないでしょう。

ではどういう弾き方が良いのかというと,なるべく均等に良い音を出す弾き方でしょう。もともとムラの出るギターの音を,鍵盤の様に均等な音にしてしまうという批判もあるかもしれませんが,基本まず均等に出せるようにした上でメリハリを付けるということでしょう。手や弦の都合でそうなってしまうのは御法度です。

均等に良い音をストレスなく出すにはどういう技術が必要なのでしょうか?その辺の説明が何か無いかなと思って探しましたら,カネンガイザーが,詳しく解説しています。英語ですが,弦と指と爪の大型モデルを使って実演込みの説明をしています。以前は自分の膝を弦に,こぶしを指先に見立てて弾き方を説明したりしていましたが,この拡大モデルではもっと詳細に弾き方が分かります。指や爪の形は人により千差万別なわけですが,各人に合った理想の爪の形の整え方,良い音を出すはじき方を熱心に解説しています。

これはGFA(Guitar Foundation of America)が作っているレッスン動画ですが,同じシリーズでMarcin Dyllaのカルカッシ!のレッスンもありました。
Op.60-7で世界最先端のレッスンを受けるとどうなるか大いに興味があります。まるで何やら別の曲の様に聞こえます。
nice!(18)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 18

コメント 4

黒板六郎

うむむ。語学力がないので、さっぱりわかりません。
by 黒板六郎 (2016-01-10 21:12) 

Enrique

黒板六郎さん,実演込みなので感じ取ってもらえれば良いと思います。
カネンガイザーの場合はタッチと爪の形を丁寧に言っているようです。人によって指や爪の形が違いますから。弦を爪でなく指頭で捉えて,弦が爪を滑り引っ掛かりなど無くスムーズに抜ければ良いと言っている様です。
マルシン・ディラはカルカッシの7番は大変良いトレモロとアルペジオの練習になると丁寧に解説しています。イ短調の部分ではトレモロやアルペジオの均等性,面白いのはトレモロをapmiと指を替えて練習してみるというのは初耳です。あと強弱と歌う事,半音階スケール。ホ長調部では経過句の弾き方を言っていますね。共鳴音を消す事を結構丁寧に言っています。彼は非常に好きな演奏家ですが,こういう基本的な練習曲を丁寧にやっているところ,益々好きになりました。
by Enrique (2016-01-11 08:20) 

休憩中

美しい音、汚い音、正しい音、間違った音、等々
定義してしまえばするほど表現の幅は狭くなって行く
発弦方等はケースバイケースなのだ
自分の頭に想い描くような音が出るまで延々と反復練習を続けるしかない
それよりもまずはまともに楽譜どうりの音がだせるかどうか(単純な事だが
それさえできずにステージに上がる人ばかりだ、)
音が普通に出せるまで、10年かかろうが50年かかろうがそこからの
スタートではないだろうか?

by 休憩中 (2016-02-16 16:44) 

Enrique

休憩中さん、重みのあるコメントをありがとうございます。
なるべく理にかなった合理的な方法で、楽譜通りの音を出せる様目指すべきだと思います。正しい方法ならば、驚くほど短期間でも良くなるものだと思います。
by Enrique (2016-02-16 22:42) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0