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曲の難所について考える(3)~具体例その2~ [演奏技術]

実際の曲の難所について,具体例を見ています。

第二回目は,やはり人気の高い「11月のある日」です。大萩康司さんが弾いてからブレイクしたと思います。この曲もまた映画音楽ですが,その映画はあまりなじみのないものですが,その情報については以前書きました。

この曲もというか,後半に難所が待ち構えています。前半ローポジションで易しく,きれいなメロディですので,弾いてみたくなるのですが,後半冒頭の左手のストレッチが少し厳しいかも知れません(下の譜例5小節目)。しかし,ココさえ乗り切れば(2回出て来て繰り返しいれると都合4回のストレッチと言う事になります),あとはそんなムリな押弦は無く何とかなると思いますので,何小節もストレッチとセーハが必要な「禁遊」の後半部分よりも手としてはラクだと思います。

11月の難所.png

力を抜いて,4指だけでなく3指も置いて目一杯広げてから,1指を延ばせば,左手が安定して良いのではないかと思います。楽譜の音は,4指の①12フレットのE音が先に来るので,先に4指のみ置いて,音の登場順に1,3と置いて行ける人はそれでも良いと思いますが,こういうキツいところはなるべく手が楽になるような運指(指を置く順番)にした方が余裕ある演奏になると思います。手の大きさや形などは個人差がありますので,あまり手の大きくない私の場合の意見です。

難所では手の都合どおりに音が登場するとは限りませんので,指の配置順序を検討することで,弾けなかった部分が弾ける様になったりするものです。

後半部に入る準備段階として,3,4小節目のラミミミミミですが,ここのミをハーモニクスにしている楽譜もあります。私のChester Music版の楽譜では,実音で書いてありますが,ここはどちらでも大差無いので,技術的な都合もしくは好みで決めても良いと思います。私はハーモニクスを弾いてからいきなり押さえるよりも,4指で押さえて楽譜通り弾くついでに3指も置いて準備していたらラクかなと思います。もっとも,ここで曲調が変わる訳ですから,ここで意を決してがばっと押さえるというのもアリかもしれません(今まではその様に弾いていました)。

なお,ここのセーハは全弦に掛かる訳ですが⑥③④弦が音が出る都度押さえられていれば良いわけで,そのような意識があれば,必要以上の力は入らないと思います。腕の重みを使うというのもポイントかも知れません。

ブローウェルという現代作曲家の曲ですが,曲想も技術もやさしく,難所はこの辺だけですのでここさえクリアすればアマチュアのレパートリーにもなり易い曲でしょう。そういう意味でも名曲といえるかもしれません。
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アヨアン・イゴカー

>指の配置順序を検討することで,弾けなかった部分が弾ける様になったりするものです。
私の場合初心者レベルのバイオリンですが、これは痛感しております。全くの独学でやっておりますので、チェロの運指法がヒントになったりしている、そういう笑い話のような酷く低い水準で申訳ございませんが。

by アヨアン・イゴカー (2013-11-05 23:19) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメント有り難うございます。
私のヴァイオリンは全く音階程度なのですが,降りて来る時も開放弦を使って娘に直されました。アルペジオは得意なのですが,初心者がやるものではないと言われました。楽器によって得意技が違う事が分かります。パガニーニは,ヴァイオリンとギターにそれぞれの技術を使ったので,魔術的な演奏が可能になったと言われます。チェロの技術をギターに使う人もいます。他楽器からの技術導入はレベルによらず有効なのかもしれません。
by Enrique (2013-11-06 07:33) 

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