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ギターで弾くバッハ~無伴奏チェロ曲編~ [曲目]

やはりギターで弾くバッハとして外せないのは,無伴奏ヴァイオリン作品とならんで,無伴奏チェロ作品ですね。

この曲に関してもすごく語られていることと思いますが,やはり素朴な疑問が,なぜチェロ曲がギターで弾かれるのか?ですが,ヴァイオリン作品と同様,

・楽器として近いリュートのための曲がギターで弾かれる
・BWV995のように,チェロ曲(BWV1011)からリュート曲への編曲が見られること
・バッハの曲が,あまり特定の楽器に依存したものではないこと

など無伴奏ヴァイオリンと共通の理由のほか,むしろヴァイオリン譜をそのまま弾くと,ギターの実音は1オクターブ低い事になりますが,ギターとチェロとは音域的にほぼ重なることが挙げられます。それから,楽器が大きいためか,無伴奏ヴァイオリンよりも音がまばらで,気楽に弾ける感じがします(そんなに沢山取り組んだわけではないですが)。あと長調曲が多いので,中低音の音域と相まって全体的におおらかな印象が強いのかも知れません。

バッハの無伴奏チェロ曲はBWVの1007番から1012番までに分類整理されています。
無伴奏チェロ曲6曲は,いずれもプレリュードから始まってジーグで終わる典型的な組曲形式で構成されます。各曲の形式にばらつきが多いヴァイオリン作品と異なり,曲の形式は統一されています。しかし,第5番が変則チューニングを使っていることや,第6番が5弦の楽器を想定しているといったように,奏法的な新しい試みも忘れていません。無伴奏の組曲をヴァイオリンとチェロに6曲づつそろえると言うだけでも離れ業ですが,そこに,さらに統一と新奇のバランスが図られた名曲であるという,何とも驚異的なものです。

BWV1007,無伴奏チェロ組曲第1番ト長調です。ギター編ではニ長調にすることが多いです。このプレリュートはひときわ有名です。

BWV1008,無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調です。ギター編ではイ短調にすることが多いようです。

BWV1009,無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調です。チェロでは最低弦がCなので,ハ長調は結構弾きやすいはずですが,ギターでは弾きにくいので,ギター編ではイ長調にすることが多いようです。私はこのアルマンドやブーレI,IIを学生時代から愛奏していたので,後年全曲をポンセ編?とも言われるものを頂いてやりました。無伴奏チェロは人により追加した低音が異なります。私も弾いていて,たまたま間違って触って出た対旋律音が良かったりで,それに変えて弾いたり,少し自分の編曲に変わっていました。壮大無比なプレリュードから始まって,元気良くてリズミカルでカッコいいジーグまで,どれをとっても魅力いっぱいの組曲です。

BWV1010,無伴奏チェロ組曲第4番変ホ長調です。ギター編で,山下和仁さんはハ長調,バンゲンハイムさんは変ロ長調にしています。

BWV1011,無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調です。リュート編BWV995ではト短調になっています。ギター編ではイ短調にすることが多いようです。

BVW1012,無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調です。ギター編でも原調どおり。むしろ,オリジナルのチェロでも,モダン楽器では弾きにくいらしいので,ギター編の面目躍如?かも知れません。

各組曲,取っつきやすさの違いはありますがどれもいずれ劣らぬ名曲ぞろいです。
演奏はまずやはり,山下和仁さん。
J.S.バッハ / 無伴奏チェロ組曲 (全曲)

J.S.バッハ / 無伴奏チェロ組曲 (全曲)

  • アーティスト: 山下和仁,バッハ
  • 出版社/メーカー: 日本クラウン
  • 発売日: 1990/10/21
  • メディア: CD


それから,ドイツからバンゲンハイムさん。調の選択含め編曲にもかなり工夫があるようで,ごく自然に耳に入って来ます。
バッハ : 無伴奏チェロ組曲(ギター版)

バッハ : 無伴奏チェロ組曲(ギター版)

  • アーティスト: バンゲンハイム(アンドレアス・フォン),バッハ,バンゲンハイム
  • 出版社/メーカー: BMGインターナショナル
  • 発売日: 2000/04/21
  • メディア: CD



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コメント 4

黒板六郎

バンゲンハイムさんだ。名前が出てこんかった。とても流麗な演奏です。
山下さんの聞いたことないんですが、どんなんでしょう。さぞや超絶テクで圧倒させられるのでは。
しかしバッハのおかげでなんとギターのレパートリーは豊かになったことでしょう。これむかーしの現代ギターの受け売りですが、ほんとそう思います。
by 黒板六郎 (2012-11-19 21:02) 

Enrique

黒板六郎さん,コメントありがとうございます。
バンゲンハイムさんの演奏,本当に自然に聞けますね。違和感全くありません。バッハの音楽の骨格が強いからなんでしょうが。
山下さんのこのCDそのものは聞いていないのですが,生を含めて昔からチェロ組曲を色々聞いていますが,山下さんの音色とか弾き方とかチェロに合っている感じがします。
本家のチェロのヨー・ヨー・マとかミーシャ・マイスキーを聞いていました。
by Enrique (2012-11-19 21:42) 

志望動機

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
by 志望動機 (2012-11-26 16:03) 

Enrique

志望動機さん,コメントありがとうございます。
ギターで弾くバッハに興味もっていただき,ありがとうございます。
また,いつでもご訪問下さい。
by Enrique (2012-11-26 20:04) 

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