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やったほうがいいこと(2) [演奏技術]

編で,ツイツイ細かくなってしまったので,後編にしました。あそこで触れた「禁じられた遊び」のテーマですが,カルカッシのOp60を弾いた後にやればずいぶんと良かったのかなぁと思いますが,済んでしまったものは仕方ありません。「学生時代もっと勉強しておけば良かった」というのと同じです。気がついた時やるしかありません。

ルカッシでもソルでもあの手のメロディ+アルペジオ+ベースのパターンの曲は時々あります。ギターの最も得意とするところですが,細部がいい加減では折角のギターの美点が生かし切れません。

て,「やったほうがいいこと」としては,大きく分けて,技術面と音楽的な内容に関すること,があると思います。もっとも,技術練習というのは音楽やるための手段ですから,分けられないという面もあるかもしれませんが。なかなか純粋な技術練習というのは出来ないものですので,「禁じられた遊び」でも「アルハンブラ」でも,「アラールの練習曲」でもなんでも良いと思いますが,「これがちゃんと弾ければ」というモニター曲があればいいと思います。

学時代は右手などどうにでもなると思っていたのですが,師についてからその重要さに気づきました。多分6:4くらいで右手に注意したほうが良いのでしょうが,どうしても逆になってしまいますね。5:5にすべく努力しています。それにしても最近右手が不調です。アルペッジオが全然弾けないです。スケールならば親指などで支えがとれるのでまだしも,アルペッジオはそれができません。今ワタシの技術課題です。

楽面はキリがないので,各自の音楽性に基づいてそれなりに感じるところでやるしかありません。先生についている人は,常に先生から「ここはこうした方がいい」というアドバイスは受けていると思います。生徒が出来ることを要求していると思いますから,技術面であれ音楽面であれ,それは納得・理解して従うのがいいでしょう。子供だと素直で,「先生に言われた通り」に弾いている。でしょうが,ギターやる熟年世代では,長年熟成された好みもあります。中々そのとおり出来ないという人もいるでしょう。

ン・タイ・ソンの例
を持ち出すまでもなく,まずは先生の提案に従ってみれば,そうでない面も分ります。客観的に見て,先生の提案受け入れた方がもっと上達するのにという人はいます。

タシはあまり聞かない方なのですが,ギターだけでなく他の楽器や歌などの演奏も良く聞くのがいいでしょう。端的な例ではアルベニスやグラナドスです。ピアノの演奏は勿論ですが,オケ編曲版も参考になると思います。例えば,繰り返しを違う楽器で弾いています。ギターで弾く場合参考にすれば,機械的に音色変化させるよりもずっとイメージ豊かな演奏になるのではないでしょうか。


こちなさを自然でムリのない動作にまとめて,音楽的な演奏にする。それを定着させるべく練習をするわけですが,前編からの内容を(さらにその前の「やってはならないこと」も含めて)まとめますと,

・楽曲分析は楽器を持つ前が効率的
・なるべく早い段階で,問題点に気づく
・弾けないところを分析する
 左の押さえが苦しいところを無理なくする
 移動がスムーズに行かず音が途切れるところはどうするか?音楽的にブレスの位置なのかどうか?
 右手がきちんと弾き切れているのか?
・繰り返し練習:速度落として正しい事のみ繰り返すこと

などでしょうか。スケール・アルペッジッオなどの基礎練習,練習曲としてカルカッシはギター弾くには必修だと思います。難しい曲をいい加減に弾くよりも,やさしめの曲を細部きっちり仕上げることが,重要なことだと思います。特に結構弾ける人で,易しい曲をバカにしている人がいますが,そう言う方がバカにせずに取り組む難しい曲も細部が仕上がりません。やさしい曲にもイロイロ課題点がありますので,そこをきちんと仕上げた経験が,後々取り組む曲にドンドン生かされて行くのだと思います。

ちろん,易しい曲を快適レベルに浸ってやっていてはダメで,細部をきっちり,ややしんどいナくらいの日課を繰り返していれば,じわじわとは上達するのだろうなと思っています。ニガテな暗譜の件など書くべき事はイロイロあると思いますが(とりあえず終了します)。
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glennmie

とても参考になりました。
ありがとうございます!
一生に一度でいいから、思うような演奏ができたらと落ち込む毎日なんです。
by glennmie (2012-06-19 11:04) 

Enrique

glennmieさん,nice&コメント,素人レベルの心がけの話に付き合っていただき,有り難うございます。
プロレベルの方は,要求レベルも高まりますから,ナカナカ満足出来る演奏にはならないのでしょうね。耳の良い奏者は聴衆が聞こえない様な音まで聞いて弾いているので,完璧な演奏にきこえるのでしょうね。細部気をつけるのはいいと思う反面,いかにも「ここはこう弾いてますよ!」という演奏もわざとらしくてあまり好きではありません。細心の注意払いつつも,全く何も考えずに伸びやかに弾いている様な演奏が理想です。とても出来そうにないですが理想だけは高く持っています。
by Enrique (2012-06-19 15:11) 

黒板六郎

わかってるんです。カルカッシ、カルリ、もちソル・・・
基本が大事なこと、わかってるんです。
ああついつい・・・
今日もきょうとてアストリのラスゲヤード前の運指、いろいろ楽譜(インターネットの)見比べ弾き比べて夜は更けてゆきましたとさ。
by 黒板六郎 (2012-06-19 22:46) 

Enrique

黒板六郎さん,スペインものは基本もさることながら,ノリや粋が大事で,基礎が無くてもギターで上手に弾く人もいますね。オモシロい事に鍵盤では上級の部類ですが,ギターでは割と弾けちゃうのですね。その魅力に,この曲「さえ」やっつければ。という気持ちになるのですね。良く分かります。
逆にバッハやヘンデルの,鍵盤では初級クラスの小品を弾く方が難しかったりします。上級の曲をバリバリ弾くのですが,ソルの練習曲などは?の人も時々います。逆もありで,私おととしカルカッシOp.60の25曲全曲練習・録音しましたが,スペインものは上手くなりません。ソルもそこそこ弾いていますが。
アストリアスはギターの準オリジナルの様になってはいますが,編曲モノですので,版により多少楽譜の音の違いもあるかもしれないですね。運指もそうですが,弾きやすい版を使うのも手かもしれませんね。
by Enrique (2012-06-20 20:12) 

アヨアン・イゴカー

>難しい曲をいい加減に弾くよりも,やさしめの曲を細部きっちり仕上げることが,重要なことだと思います。
耳が痛い。どうしても、一定の演奏技術を身につけようと焦っていた頃は、特にこの傾向が強かったと思います。
by アヨアン・イゴカー (2012-06-24 04:53) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメント有り難うございます。
この件は,自分の経験からの結論で,今でも私自身その傾向があり,心がけています。学生時代などは練習量が多く,そのような表面的な練習でもある程度弾けていたと思うのですが,勢いのみなのでしばらく経つと全く弾けなくなっていました。ノウハウの蓄積が無かったのだと思います。
by Enrique (2012-06-24 07:13) 

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