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ある音律のための幻想曲 [演奏]

思わせぶりなタイトルで失礼します。

久々のギター録音です。G. サンスの曲です。没後300年だった一昨年に購入した楽譜で弾きます。この曲集(のVol.2)には,46曲収録されています。Vol.1はタブラチュアやコード譜らしき分厚いものですが,(Vol.2の)五線譜のほうでカンベンしてもらいます。


The Complete Works of Gaspar Sanz (Classical Guitar)

The Complete Works of Gaspar Sanz (Classical Guitar)

  • 作者: Gaspar Sanz
  • 出版社/メーカー: Music Sales Amer
  • 発売日: 2006/03/01
  • メディア: ペーパーバック


昔から,沢山有るサンスのピースを適当に?寄せ集めた「スペイン組曲」として弾かれる事が良く有りました。モダンギターでは技術的に比較的やさしいので,これで遊んだ方も多いのではないでしょうか。

作風はバロックの鍵盤曲と共通する面もありますが,むしろ音はシンプルで,ファンファーレ風だったり,オーケストラ的だったり,独特な郷愁感とスケール感とで愛好者も多いと思います。

さて,この楽譜で46曲あるので,どうやって拾い出そうかな?と思いました。伝統的にやられる,「スペイン組曲」でもいいのですが,ここでは,ギターとオーケストラで有名なロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」の題材として用いられている曲を拾い集めてみました。すると,

1. Villanos(悪党)
2. Fuga 1a, por primer tono al aire Español (スペイン風の第一旋法によるフーガ)
3. Españoletas (エスパニョレッタ)
4. La cavalleria de Nápoles con dos clarines (2つのラッパを持ったナポリの騎士)
5. Las hachas(斧)
6. Canarios(カナリア舞曲)

の6曲になります。これらを,ミーントーン・フレットのモダンギターで弾いてみました。


以下はYouTube投稿版です。

サンスだと,ミーントーンで安心して弾けますね。ここで使っているのは,昨年ミーントーン化したモダンギターです。音律だけが標準ミーントーンでピッチも奏法もすべてモダンです。

ちなみに,ロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」では,
第1曲 Villano y Ricercar
第2曲 Españoleta y Fanfare de la Caballeria de Nápoles
第3曲 Danza de las Hachas
第4曲 Canario
となっています。ロドリーゴの編曲は原曲よりもはるかに難しいことはいうまでもありません。この楽譜はだいぶ前5000円以上出して(アランフェスよりも高かった!)購入しましたが,現在ずいぶん安くなっていますね。

Fantasia Para Un Gentilhombre (1954): Guitar and Piano

Fantasia Para Un Gentilhombre (1954): Guitar and Piano

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Schott Musik Intl
  • 発売日: 1986/03
  • メディア: ペーパーバック
なお,有名な話ですが,「ある貴紳」とは時代をこえた大ギタリストであるこの曲の題材としたガスパール・サンスと献呈者のアンドレス・セゴビアとを掛けているようです。この記事のタイトルとした「ある音律」とは,もちろんミーントーンです。
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Cecilia

サンス、大好きです。
「カナリオス」は以前nyankomeさんのお師匠様のコンサートに出かけた際プログラムにあって、「あれ?ELPのCDで聴いたことがあるなあ・・・」と思って調べたことがありました。
ロドリーゴの曲の方は後々になってから知りました。

by Cecilia (2012-01-25 08:47) 

Enrique

Ceciliaさん,nice&コメント有り難うございます。
楽しんでいただけたら幸いです。ELPの演奏は聴いた事がありませんでした(今Youtubeで聞いてみましたがロドリーゴのアレンジ参考にしてますね)が,カナリオスは超有名曲で色んなアレンジがありますね。これは全然遊ばない演奏でした。2拍子と3拍子の混合が不得意なので楽器持つ前にリズムたたきが必要でした(汗)。サンスの演奏は沢山有ると思うのですが「ミーントーンで」と明示しているもの(常識ならいいのですが)は案外少ないのかなと思います。
nyankomeさん元気ですかね。
by Enrique (2012-01-25 12:47) 

Cecilia

nyankomeさんとはたまにメールでお話しています。
お元気でいらっしゃいますよ。実は去年7月のフィリップ・ジャルスキーのコンサートで偶然nyankomeさんのお師匠様をお見かけしてしまったのです。「カナリオス」を聴いた時のコンサートですでに生で(?)お見かけしていますので、思わずお声をかけてしまい、nyankomeさんの噂話をしてしまいました。・・・ということでメールで報告することになったのでした。

by Cecilia (2012-01-25 14:20) 

REIKO

私はCeciliaさんよりも忘れっぽくて(笑)、初めてサンスのカナリオスを耳にした時、「どっかで聴いたことがあるけど、何なのか思い出せない・・・何故この曲を知っているのか???」と、だいぶ長い間考えていました。
ELPで聴いてたこと、すっかり忘れてたんですね!
サンスはバロックギターのCDをかなり持っていますが、何となく古風な雰囲気がするので、概ねミーントーン(1/4かどうかはともかく)では?と思います。
バロックギターだと複弦なので、音の立ち上がりが鋭く減衰も早いから、ピキパキ(笑)とスリムなサウンドですが、モダンギターは豊かに響くのでグラマー(死語?)な感じになりますね。
でもミーントーンだと、平均律ギターの「ドヨ~ン」とした響きが改善されるので、幾分シャープな印象になっていると思いました。
by REIKO (2012-01-25 22:43) 

Enrique

Ceciliaさん,再コメント,nyankomeさんの動静情報ありがとうございます。nyankomeさんお元気ということ,安心しました。お師匠さんの方は一度FMで拝聴し,新世代のリューティストという印象を持ちました。

by Enrique (2012-01-25 23:34) 

Enrique

REIKOさん,聞いていただきありがとうございます。
「幾分シャープな印象」ということはまずは成功でしょうか。モダンギターはたしかにグラマラスです。この楽器は特に低音がすごく出て延びがあり,消音が大変です。ヘタをすれば締まりが無くなるので,少しでもシャープな印象というのはうれしいです。トーレス/ハウザー系統の締まりのある楽器ならばもっとスッキリサウンドになると思います。
ミーントーンの適合性については弾いてみた印象のみですが,ピッタリ感はあります。Villanoの一カ所にあれっと思う音が有りましたが,気になったのはそこだけだったと思います。巻きフレットでの音階ですから完全なミーントーンでは無いのかも知れませんが,ミーントーン系であることは確かのようですね。
by Enrique (2012-01-26 00:05) 

アヨアン・イゴカー

いずれもウキウキするような楽しい演奏ですね。
by アヨアン・イゴカー (2012-01-30 01:04) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメントありがとうございます。
>いずれもウキウキするような
何よりのお言葉です。シンプルサウンドで行けたのが良かったでしょうか。
by Enrique (2012-01-30 12:00) 

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