SSブログ

発表会がすんで [メンタル]

今年も発表会が終わった。本格再開後10年くらい続けているが,毎回反省の念と,翌年に向けての抱負を持つ。今回はどうだったか?まああがり症の私にしては70点ぐらいの出来だったと思うが,最も手厳しい妻と末娘が結構良かったと言ってくれたのがせめてもの救いである(上の娘は聞いていない)。曲は「ソナタクラシカ1楽章」原典版。

そう有名曲ではないので知っている人は少ないが,知っている人でも練習で弾くと,「あれ違う」と言っている。やはり,セゴビア版の演奏が殆ど(原典版はまだ聞いた事が無い)なので,聴衆には新鮮のようだった。

余り人が知らない曲を弾くというのもあがりには有効かもしれない。間違っても,あまり目立たせなければ分かりにくいからだ。もちろん聞き方によりけりだ。意地悪く聞こうと思えば,いくらでもミスや音の出損ないを指摘することはできるが,つまらない。ミスのところで咳払いをする人もいるが,ほめられた聞き方ではない。もっとも,すごくミスが多いとそういう人は窒息してしまうだろうが。

自分が暗譜するくらい弾いたことのある曲ならば,ミスは演奏者とほぼ同様に分かる。しかし,聴衆の中にその曲を自分で弾いた人は存外少ないはずだ。有名曲の場合,自分で弾かなくてもCDで繰り返し聞き,1音たりともたがわず音を記憶していると言う人もいるかも知れないが,自分が弾かない楽器の曲をそう1音たがわず覚えていると言う人は少ないのではなかろうか。一部のマニアックな聴衆にはわかるが,多くの場合例えば自分が4箇所間違えたと思っていても,聴衆には1箇所か2箇所しか気づいていないというのが普通だろう。1・2箇所のミスだったら,無傷のように聞いてくれるかもしれない。またミスった場合の立て直し練習をしておくのも必要で,ミスを聴衆の印象に残さないことも重要だろうし,自分の気持ちも前向きに,ミスをすぐ忘れることも必要だ。暗譜の不備が露呈して,どうしても出てこない場合は飛ばすのも一手段だ。自分の場合,何度弾きなおしても出てこない事がよくあった。

今回大きな破綻無く弾けたささやかな原因は,リハーサルで暗譜の問題点が明らかになったところである。いつも何でもないところでつまづく。これは,油断しているから忘れるのであるが,何分油断している箇所だから弱点と気づかない。だから,リハーサル等でのプレッシャー下でのダメ出しでそれを発見してつぶしておかないといけない。いつものことながら非常に容易な箇所だった。「メロディがオクターブ上がり,開放弦の伴奏はおんなじ。」そう覚えれば絶対に忘れないのだが,曲の中で最も簡単な箇所。なにしろ油断しているのだ。メロディがオクターブ上がっているので,伴奏も何となく変わるような錯覚に陥り,主題提示部の第2主題後半が展開部の同型の箇所につながってしまった。伴奏の方は頭の中で歌っていないことも原因だった。間違いの原因に気づかないと直らない。特に同型だが臨時記号の有無で次の展開が変わるパターンは注意が肝要だ。バッハのリュート組曲4番のプレリュードなどでは,音型がずっと同じなので,特にそのような臨時記号の有無や和音の変化には気を使うが,ソナタでは多彩な要素に惑わされ却って油断してしまう。「リハーサルで失敗すると良い。」というのは正解だと感じた。問題点が明らかになるからである。

今回心がけたことと,得られた教訓,今後の課題を以下にまとめておく。

・楽式構造を理解して覚える。これは効果があったと思う。
・技術的に簡単な箇所は忘れやすい。そういう箇所は整理して確実に覚えておく。
(リハーサルは最後の貴重なダメ出し。よく利用しよう。)
・音符ないしは左手の押さえをイメージ出来るようにしておく。これは,かなり不完全だった。
・終盤,右手の動きが悪くなった。演奏中力を抜く訓練が必要だ。

複数のフェイルセーフを心がけたい。それによって,演奏に対する不安が取り除け,あがりも改善するはずだ。

nice!(2)  コメント(3) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 3

やーさん

発表会、70%の出来であれば大成功ではないでしょうか。おめでとうございます。

ソナタクラシカ第1楽章は、私は弾いたことはありませんが、難曲だし多分時間も7分ぐらいかかる大曲ですよね。これを本番で弾くとはさすがです。

アナ・ビドビックがケネディセンターで演奏した際のライブ配信でこの曲を何度か見ましたが、スケール的なところが何カ所かあり、ポジション移動も結構あるので、私には怖くて弾けないですね。この曲の第4楽章は、2007年のGFAの課題曲でしたので、懐かしい気分になりました。



by やーさん (2009-12-08 02:14) 

Enrique

有難うございます。60点と書こうか70点と書こうか迷ったのですが,妻がまあまあだったよといってくれ,いつも3割くらいの出来なので甘くつけました。少し自分をほめるのも必要かなという気持ちもあります。それとセゴヴィア版でなく原典版でやったので,これも少しプラス評価です。原典版の録音はまだ無いと思います。
この曲の2楽章の途中からは,ポンセの草稿がなく,原典版といえ,セゴヴィア版から運指とスラーを除いただけになっています。ポンセ原典版を弾くより楽ではありますが。
第4楽章は古典(的)ソナタを締めくくるにふさわしい楽しいロンドですね。
by Enrique (2009-12-08 11:43) 

Tomoko

Aw, this was an incredibly nice post. Spending some time and actual effort to produce a top notch article… but what can I say… I hesitate a lot and never manage to
get anything done.
by Tomoko (2019-10-15 20:42) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。