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合奏について(ギター合奏) [雑感]

合奏について,主に他楽器とのあわせものについて,経験の狭い範囲で触れたが,ギターだけの合奏と言うのも当然あり得る。他楽器とのアンサンブルではどうしても音量バランスの問題や技術的困難が出てしまう。特にギターの本質を理解していない人に掛かると,弱点だけで判断されてしまう側面がある。

その点,ギター同士ならば問題はない。しかし,これもPAが絡むと面倒なので,生でやることを前提としよう。おそらく現在最強のギター合奏は,アサド兄弟だろう。もう10年近くなるか古澤巌さんと競演したときに聞いたきりだが,精密機械のようなアンサンブルだが,それでいて冷たくならない。ギターの音色も十全に生かされているものだった。

やはりそのころ,福田進一さんと村治佳織さんの師弟デュオによる「タンゴ組曲」の演奏がなされた(最近では福田さんとフェルナンデスに荘村さんも加わった演奏が,YouTubeにも載っている)。これを衛星放送で鑑賞した。日本で考えられる最強コンビのすばらしい演奏だった。アサド兄弟の演奏よりも,むしろ親しめる演奏かなと思ったものだが,お二人のタイムを見てびっくり。アサド兄弟よりも速い。逆に言えば,アサド兄弟の演奏の緊張感や迫力は,絶対的スピードだけではないと悟った記憶がある。

プロのパーマネントな2重奏は少ない。往年の名2重奏団のプレスティとラゴヤはプレスティの急逝で終焉した(プレスティの急逝に関わる事情には,やーさんのブログ記事に興味深い情報があった)。私は聞いた事が無いが,やはりブラジルのアブレウ兄弟もかなり有名らしい。兄のセルジオ(アサド兄とも同じ名前だが)は製作家としても著名で,村治佳織さんの最近の使用ギターでも著名である。もちろん,一時的な師弟・お友達デュオは無数に存在するわけだが,かつてのジュリアン&ジョンは後者の最も著名なものだった。

3重奏となると更にいない。もちろん,上で挙げた福田・フェルナンデスのデュオに荘村さんとか,アサド+バルエコといったすごいものも一時的には可能だったが,演奏曲自体は少ない。武満の「不良少年」が有名だが,3人揃えるのが大変なので,佐藤紀雄氏により2重奏に編曲されたいきさつがある。

4重奏では,かつてならロメロ・ファミリーのロメロ四重奏団,今ならLAGQが最右翼だろう。後者に関しては,YouTubeでもオリジナリティあふれる名演が聞かれる。東京にも,毛塚・角・佐藤弘和・永島各氏の四重奏団が時々現れる。ソウルにもいるようだ。いずれも,ソリストが一時的に集結するグループである。

それ以上の合奏になると,オケのようにパートにわかれ,ユニゾンで弾くグループが生まれる。これも一時的なものであり,曲も編曲を行なえば,いくらでも可能である。マンドリン・オーケストラは一定の歴史があるが,やはりパーマネントのギター合奏団(ギターオーケストラ)となると,極めて少なく,新堀ギターオーケストラのみといっても良いのだろう。

ギターの音域は他楽器と比較すれば,チェロやビオラ,クラリネットの中低音領域である。このことが,ギター特有のささやくような,優しい,癇にさわらない音色の一つの理由である。一本で小さなオーケストラとも呼ばれるが,やはり大オーケストラ的な音域の広さやダイナミズムを求めた場合,通常のギターのみ本数増やしても,それは出ない。新堀氏は特有の楽器を開発し,氏の名前を冠したギターオーケストラでは,音域音色の異なる多種類のギターが駆使される。

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