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バイオリンとギター [曲目]

同じ弦楽器だが,性格はかなり異なる。弦をこするのとはじく違いなど楽器の機能上の違いの他,歴史的地理的な流れもかなり異なるようだ。バイオリンはバロック期までは必ずしも主流ではなく,むしろ,ヴィオラ・ダ・ガンバやヴィオラ・ダ・モーレなどのヴィオール族が主流だった。

傍流だった楽器同士が古典期のイタリアで出会ったのか,パガニーニにはこの組み合わせの曲が沢山ある(簡易作品表)。私がその一端を知ったのは学生時代,ジエルジ・テレベジとソーニャ・プルンバウアーの演奏を多分FMで聞いた(レコードを持っていなかったので)のがきっかけだった。この作曲家をなぜか異常に好きな人もいる。確かこのLPはVol.3まで出たはずだ。現在Vol.1はCDで出ているので入手可能だ。

もちろんバイオリンは超一流だ。ギター独奏曲も沢山ある。しかしどうもあまり触手はのびない。勝手な評価が許されれば,ギター作品は余技として,ソルやジュリアーニほどではない気がする。しかし,あのリストはじめ大作曲家たちをあこがれさせたバイオリンの鬼才にして,ギターとのサロン的で気楽な作品も沢山あることは,ギター愛好者としては大変有難いことだ。だから,ギターでは二流なんて言ったら,ばちが当たる。いくつかの楽譜を見ることは可能なので,機会があれば取り組んでみたい。

ギターとの二重奏は,彼にとって重要な楽器構成だったようである。バイオリン協奏曲第6番ホ短調とされるものも,もとはバイオリンとギターだったものを彼自身が編曲したものとされる(ハイドンからベートーヴェンまで,音楽之友社・作品小事典・古典派・第39巻第11号付録)。ギターにとってはまさしく「小さなオーケストラ」の面目躍如だが,「秘法」の流出を恐れた彼はコンサート直前までオケの楽譜を渡さず,初見でも弾けるようにオーケストレーションはシンプルなものだったらしい。バイオリン,ビオラ,チェロとの4重奏曲など,いわばギター室内楽曲も沢山ある。ボッケリーニのギター5重奏曲は良く演奏されるが,パガニーニの4重奏曲の演奏機会は少ないようだ。今後のギタリストと室内楽団のコラボを期待したい。

近年ではバイオリンとギターの組み合わせをギル・シャハムとイェラン・セルシェルがやっている。写真はシューベルト(編曲)演奏の方。
SchubertForTwo.JPG

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