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ギターと他の趣味と(6) [雑感]

「ギターと他の趣味と」を続けて来て,本筋からは少々離れ気味なので,ここでギターとの関連をおさらいし,終わりにしたい。 

茗荷亭はわずか3坪の建物ではあるが,棟上以外はすべて一人でやった手作りである。ジャッキと電動工具以外の機械的道具は使っていない。基本的には土日休みだが,時期によってたびたび出勤する事もあるし,泊まり仕事もある。休める土日は朝から夜8:00(一応近所への騒音を考慮して)までをほぼ作業にあてた。材料の刻みに4ヶ月ほど掛かっている。
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電気配線と照明の取り付け。天井は張らず,化粧天井とした。屋根は薄いながらも,断熱通気層と蒸着フィルムを入れ,熱をカットしたので,夏あまり熱くならない。

昔の大工さんならば,普通の家一軒分をこのくらいのペースでやったのではないだろうか。もちろん,現在のコンピュータ制御のプレカットマシンならば加工自体は一瞬だろう。専用の工具が使えたり,必要な寸法の材料が手に入れば,手間はかなり減っただろう。例えば,太い貫は柱を挽き割って作ったが,後で半柱や筋交い用の材が使えることがわかった。だから,掛けた時間がすべて役に立ったとは思えないが,これだけ時間を掛ければ,頭の中に建物の細かい仕口までがしっかりと入っている。上棟以降,冬までに最低限のしつらえをして冬を越したが,それ以降ペースは極端に落ち,内装も含め丸2年以上掛かった。

図面は何枚か書いたが,結果的には上棟の時に協力者に作業指示をするためのものだった。上棟日の朝,協力者に図面を示し,組み上げの段取りをする。だから,棟梁(私のこと)と作業員とは圧倒的な情報量の差があった。棟梁(本物の方を想像して)の偉大さは,建物を隅々まで知り尽くしていることに尽きる。近年なかなか,ここまで,目的と手段,リーダーとフォロワーとの関係がわかりやすい仕事も無い。

今でも,かの建物の部分部分が具体的にイメージできるし,ささやかな建築物でも自らの手で作ってみると,建築に対する感度がぜんぜん変わってくる。演奏もこれではないかと思う。暗譜に際し,あくまでも楽譜は音楽の基本図面であるから,これを覚えた上で,音だけでなく部分部分の肌触りまでがしっかり脳にインプットし,イメージ出来ることが必要だろう。前にも書いたが,美術をやるには解剖学が必要だ。演奏の場合も,理想的には作曲が出来ないといけないのだろう。

せめて,その前段階として和声進行の理屈くらい分かっていたら随分良いと思う。これだけでも曲の構造がはっきりするし,和声進行で覚えるという,暗譜の一手段の理論的裏づけともなる。極端な話,ジャズは和声進行と即興である。ブリームはジャズが弾けたようだが,ジョンは弾けない(と自分で語っていた)。仲良しの二人,どちらの演奏も好きだが,端正な中にも破天荒さを秘めているブリームと,何ぼハメを外してもクラシカルな雰囲気漂うジョンとの性格の違いを感じる。(おわり)

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