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取り組んでみた曲(ポンセ/ソナタクラシカの2バージョン) [曲目]

4月1日に新年度の抱負で取り組んでみたい曲をあげた。
その中の,ポンセのソナタ・クラシカに取り組んでいる。

これには幾つか演奏がある。アナ・ビドビッチの颯爽とした演奏は好ましい。
ピアノなどでは,原典版(ウルテクスト)を使うのが当たり前だが,ギターではセゴビアがポンセやテデスコなどの作曲家と二人三脚で曲を生み出した事情もあるためか,原典版の出版はそう多くはないようだ。
今回,ショットから出ている原典版を使い,第1楽章に取り組んでみてびっくりした。

セゴビア版の楽譜はどれも原典と結構異なる。音の追加や削除,オクターブの上げ下げは日常茶飯事なので,慣れっこになっている。ギターを知らない作曲家の曲をギターのイディオムに直す。これはある程度は必要かなと思っていたが,これは数あるセゴビア編の中でも最もすごい違いの一つではなかろうか?小節数も全く異なり,対応付けるのも面倒になるくらいに,違う。これは全く改作である。ほぼ同じなのは最初の4小節くらいで,5小節目からは全く違う。セゴビア編ではいかにものフレーズに置き換わっていた。これが普通だと思っていた耳には,原典版は新鮮だ。
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最近出たショットの原典版(取り組んでみたい曲参照)による「ソナタ・クラシカ」冒頭


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従来のセゴビア版による「ソナタ・クラシカ」冒頭

原典版(というか原曲)が出版されていなかったので,無理は無いのだが,アナ・ビドビッチほかの演奏はすべてこのセゴビア版であり,まだ原典版にもとづく演奏の録音は無いようだ。

原典版の楽譜は真っ白で運指も全て自分で付けないといけない。そのため大変勉強になるが,時間は掛かる。セゴビア編は,大家がギターで弾けるように運指をつけ,場合によっては改作してあるので楽だ。ましてやその表現が好きな人にとってはぴったりはまるものだ。

手っ取り早く原典版の感じをつかむには,ピアノで弾いてみるのも一つの手だ。私の腕でもピアノの方がずっと音を拾いやすい。自身で弾かずとも,ピアノの心得のある人ならほぼ初見で弾いてくれるはずである。ポンセ自身ピアノで作曲したはずだから,作曲者の意図をつかむことにもなる。

しかし,ソナタクラシカの原典版も,第2楽章の12小節まででおわり,13小節目以降,4楽章までセゴビア版の運指を取り除いただけのものとなっている。自筆原稿が見つからないためのようだ。1楽章は確かにそのままでは弾きにくいところもあるし,かなりの速筆で走り書きの雰囲気が印刷譜からも伝わる。作曲者は曲の素材提供で,好きにいじってくれと言う,あうんの呼吸でもあったのか。そのため,演奏者が思いっきり改作したのかも知れない。

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松田晃演

私のホームページにイタリアのシエナでのセゴビア先生に受けた体験談を載せています。先生にはポンセのクラシカへ「いうことなし」との評価を受けました。
by 松田晃演 (2016-09-01 11:02) 

Enrique

松田晃演さん,大先生からのコメント光栄です。
先生のホームページこちらですね。
http://www.matsudaguitar.join-us.jp/index.html
時々拝見しています。
by Enrique (2016-09-01 21:14) 

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