取り組んでみた曲(ポンセ/南のソナチネの2バージョン) [曲目]
ソナタクラシカ第1楽章の原典版とセゴビア版の大幅な違いを知り,以前セゴビア版で取り組んだものも,ものすごく違うのではないかという疑念が沸いてきた。
有名なところでは,「南のソナチネ」。早速,今回入手した原典版のものと,セゴビア版をとつき合わせて見る。
あれっ。セゴビア版は運指とギターで弾きやすいよう和音の追加がなされている程度で,期待?ほどの大幅な改作はなさそうだ。1楽章は,ほぼ原典どおり。2楽章も大きな相違は無い。しかしセゴビア版の楽譜には一部低音の無いところに,録音では音が追加されていたところがあった。原典に無い音を録音で追加したのかと思っていたら,原典から引き写したときのセゴビア版の楽譜の単なる間違いだったようだ。
この辺が不思議だが,全般にセゴビア版の楽譜には音が明らかに間違っていて,運指の方があっていることも多い。単なるミスプリなのだろうが,勝手に直すのは大家に対して僭越ということなのか,間違いのまま出版されているようだ。間違いなのかセゴビアの趣味なのか,どちらとも判然としない場合もあるから,録音も聞いてみないとわからない。楽譜と録音,両方で確認して,やれやれ。しかし,実は原典版は異なっていた。。。ではしゃれにならない。いやはや。
原典版「ソナチネ」 セゴビア編「南方(子午線)のソナチネ」
3楽章もほとんどそのまま,と思いきや,最後大詰めでやってくれました。セゴビア先生,少しフレーズを追加している。ジョンはセゴビアの変更が余程気に入らなかったのか,さらに2箇所にわたり16小節と8小節挿入している。実はセゴビアは4小節追加だけだったのだが。1930年当時,作曲者の楽譜のままに演奏するのは演奏家として未熟とでも考えられたのだろうか?必ずどこか変える。音の魔術師と言われ,やはり改作で有名だったストコフスキーもバリバリの時代である。オリジナルに忠実と言うのは,かなり最近の文化なのかもしれない。
ちなみに前回とりあげた,ソナタ・クラシカは1927年に作曲され,1929年にはセゴビアが録音していた。今回,ポンセはソナタ・クラシカでのセゴビアの大幅改作演奏に懲りたのか?きちんとした自筆譜を残したようである。さすがのセゴビアも大幅な変更は出来なかったようだ。また,それだけ緊密に作曲された作品だったともいえるだろう。
私の場合、C=テデスコのソナタなどで、まったく同じことを感じました。
原典版とセゴビアの楽譜ではかなり違いますね。
テデスコは、セゴビアの変更を前向きに認めていたようですが、
内心はいろいろ思うところがあったみたいですね。
ジラルディーノが運指をつけていますが、弾けたもんじゃあありません。
弾ける曲に仕上げている点は、セゴビアには感謝してますが・・・・。
by てですこ (2009-09-03 18:19)
セゴヴィアの足跡というか,つめ跡というか,は,あちこちに残されているのですね。テデスコも二人三脚の作曲家ですね。ロドリーゴは殆ど弾いていませんが,さすがに改作もちょっと大変だったのかも知れません。アランフェスは全体に音を下げたかったようですが,オケもありますから,さすがのセゴヴィアも無理だったのでしょう。
by Enrique (2009-09-04 04:09)
私も南のソナチネの原典版が欲しいのですが、なかなか手に入りません。
どこで手に入ったか教えていただけませんか?
by お名前(必須) (2012-02-17 07:44)
お名前(必須)様
コメントありがとうございます。
以前弾いた時セゴビア版を使っていましたが,その後,Schott原典版を入手しました。以下のページの一番下左側にあります。
http://www.guitarsalon.com/c10-sheet-music.html
ただ掲載曲すべてが原典版というわけでなく,ソナタクラシカの第1楽章と,第2楽章の一部まで,と南のソナチネ,スペインのフォリャの変奏とフーガあたり?が原典版で,ソナタロマンチックその他はセゴビア版のようでした。手書譜が見つからないので仕方無いようです。
by Enrique (2012-02-17 14:15)