ハイポジションはなぜ難しいか [演奏技術]
「ギターで弾きやすい調」で述べたが,弾きやすさは開放弦が使えるかどうかがポイント。
通常の易しい調であれば,ローポジションでは開放弦を使えるのが易しい原因。あと,位置の分かりやすさだろうか。ローポジションの低音側は開放弦で下限が決まっているが,ハイポジションは上も下もあり,位置が分かりにくい。村治パパの指導方針にもあったと思うが,特に7フレットと12フレットの間の音を良く覚えるのが肝要だろう。音の位置を覚えてしまえば,ハイポジションは技術的には指を広げなくても良いからむしろ楽である。特にスケールはそうである。
スケールは楽でも,一般の曲の中の奏法ではハイポジションはセーハが伴うことが多いので,これが難しく感じる原因だろうか。主に人差し指で複数弦をいっぺんに押さえる技術をポピュラー系ではバレーと言うが,クラシックギターではスペイン語でセーハという。セーハ技術の攻略は,独奏の多いクラシックギターの技術の要だろう。むしろ指の拡張も伴うローポジションのセーハは技術的に難しい。「禁じられた遊び」の後半ホ長調の部分,B7のコードに相当するC.2の部分は最も難しい押さえだろう。注意を怠ると熟練者でも音を出しそこなってしまう。
セーハを伴う押さえはむしろハイポジションの方が楽だ。音の位置さえ覚えれば,ハイポジションは恐れることはない。さらに,12フレット以上に至っては,音の位置が開放弦と同じになるのは,ある程度やった方ならご存知だろう。その代わり,ボディにかかるので,レイズド・フィンガーボードででもない限り,押さえにくくはなる。12フレット以上のセーハはありえない。また,音自体初級・中級曲では余り使われないが,「はちすずめ」の最高音シへの移動などは有名なところだろう。移動点をあらかじめ見ていて,左手の開きを決めておいて必要以上に前面に出さず,硬直させないよう力を抜いて押さえられればうまくいく。
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