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アルハンブラ宮殿の思い出(1) [曲目]

alhambra.jpg超有名なトレモロの曲だが,ギターを知らない人に,この曲を聞いてもらうと,感嘆の声が聞かれる。超絶技巧,2・3人で弾いているようだ,その他と,ある程度の経験者ならば,大変おもはゆい賛辞を受ける事になる。クラシック・ギター曲での知名度,人気度,話題性,どれをとってもダントツの曲であり,改めて紹介するのもはばかられる。ジョンのビデオでも,弾きかたを紹介していたし,先週だったかの,NHK-FMの「名曲リサイタル」に福田進一さんが登場して,文字通りこの名曲を演奏した後,弾きかたを説明していた。福田さんは,蚊に刺されたとき,かゆい場所を掻くように弾くとうまくいくと,独特な説明。

 La Alhambra by Jen SFO-BCN with CC License Attribution

原曲名は,Recuerdos de la Alhambraで,直訳すれば,「アルハンブラの思い出」。では,「アルハンブラ宮殿の思い出」は間違いかと言うと,そうでもなく,Googleのヒット数では「宮殿」の方が若干多い。「ラ・アルハンブラ」に宮殿の意味が織り込まれているわけだが,日本語でその意味を補っていると言うことだろう。ドイツ方面の「~burg城」と似たようなものか。「burg」で城の意味。また標準スペイン語では,hは発音しないので,「アランブラ(宮殿)の思い出」とされることもある。森英恵さんがアナエ・モリ,日立がイタチとなるあれである。

曲をフルに弾くと,前半繰り返し,後半繰り返し,ダカーポしてコーダと,結構長くなるので,ダカーポしない演奏も多い。更に前半・後半の各繰り返しもやめると,半分以下に短縮される。最後締めくくりの3小節を除き全曲通して印象的なトレモロで奏される。技術的にもやや難しいスペイン風のこぶし部分を除けば,メロディは音階的な単純な動きであるが,伴奏とのバランスが絶妙であり,伴奏のアルペッジョ・パターンをわずかに変えても違和感を覚えるほどの完成度である。メロディは複雑だからよいというものではない良い例だろう。何と言ったところで,このタルレガ作・名曲の地位は揺るぎそうにない。村治さんが右手の故障からの再起の際,この曲が弾けるかどうかが回復したかどうかのチェックだったそうで,思い入れのある曲のようだ。

部分的にトレモロが入る曲は結構あるが,曲を通してのトレモロ曲は存外少ない。同じタルレガの「夢」のトレモロもそうだが,演奏機会はごく少ない。むしろ,ジョンの演奏で一躍名曲となったバリオスの「最後のトレモロ」は定番になりつつある。

名曲は種々の楽器に編曲されるもの。色々あろうが,上松美香さんのアルパでの演奏 を聴いたことがある。


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MASA

この曲は、宮殿の中庭の噴水をモチーフにして作曲されたそうですね。

スペインには1回だけ行ったことがありますが、残念ながらアルハンブラ宮殿は見れませんでした。 もし今度スペインに行けることがあったら、この噴水をぜひ見てみたいですね。

そういえば、思い違いかもしれませんが、村治佳織さんは、NHKの番組で、実際にアルハンブラ宮殿の中で弾いていたように記憶しています。

by MASA (2009-04-24 12:36) 

Enrique

私も噴水という話を聞いた事がありますが,建物の細かいアラベスク模様であってもよいような気もします。曲もすばらしいですが,そのような名建築にかかわる話題性も人気の秘密でしょうか。私もマドリッド,バルセロナ方面しか行ったことがありませんので本物は見学していません。続きを書きますので,また見てください。

村治さんはアランフェスだったような?気もしますが,良く出ておられたのでどれがどうか私もあまり自信がありません。
by Enrique (2009-04-24 13:22) 

ぎたりすと

ギター歴40年になりますがこの曲が一番難しいですね
 この曲が弾きたくてギターを始めましたが未だに弾けませんし
どの先生に習っても一生無理なような気がします
 そんな作品なのです

by ぎたりすと (2012-12-10 01:12) 

Enrique

「ぎたりすと」さん,コメントありがとうございます。
どの曲もそうですが満足出来るレベルに弾くというのは大変なことですね。特にこの曲に関しては,得意不得意もあると思います。
私は数十年前この曲を独学でやり結構得意曲にしていましたが,二十数年後初めて先生についてやり直して,かなり再発見がありました。現在私にとってはいつでも暗譜している数少ない曲ですが,かなり手の調子に左右される曲でもありますし,移動時に音を完全に鳴らし切るのは大変な曲だと思いますね。
by Enrique (2012-12-10 22:00) 

馬場 宏

私は80になります。これ聞いたのは50年前、独学 今でも諦めていません。が 生涯だめでしょう。しかし どなたの演奏でも聞き入ります。弾いている人を尊敬しています。Adurに転調して6度とぶところ はじめて聞いたときは、しめつけられました。生演奏きくために往復180キロが苦になりませんでした。今夜も練習します。いつも つまるところばかり。ぼけ防止。お笑いめされ。こんなにひかれた女はいない・・・・匹敵する人・・・はいない。嫁はんはおいておく。葬式にはこれ。
by 馬場 宏 (2014-01-15 21:10) 

Enrique

馬場 宏さん,コメントありがとうございます。
圧倒的な人気を誇る曲です。つくづく思います。トレモロ奏法は得意不得意があるので,かなり弾ける人でも苦手な人もいますし,その逆もあります。私は始めた頃に弾いたため割と慣れていて,数少ない暗譜曲です。細部まできちんと仕上げるのは大変ですが,じっくり取り組まれれば必ず弾けると思います。ゆっくりゆっくり1日1小節づつでも継続されれば必ず弾けるはずです。
かなりお年召したご婦人で,これさえ弾ければと言うことで始めて,3年で弾けてレッスンやめたという話を聞いた事があります。
by Enrique (2014-01-15 23:17) 

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